【掌編400文字の宇宙】ミッション・インポッシブル
ベッド・ルーム。
女が男耳元で「ポッシブル?」と囁いている。男の肩に手をかけている。
男「エーット」
「ポッシブル?」
女は男の肩にかけた手をゆっくり下ろし、腕を撫で、さらにその紅色のくちびるを舌で舐める。
男は俯いている。
「……インポッサブウ。ソーリー」
「ノウ。ドンマイン」
「イェア……。バット、アイ・トゥライ。ベイビー」
トム・クルーズは演技も上手だがアクション・シーンにこだわっている。危険なシーンをスタントも付けずに自分でやる。自殺願望があるんじゃないかと思われるほどである。
上記の男女の会話は、トムの心境を表している。彼は死にたいのではなく、挑戦したいのである。インポッシブルをポッシブルにしたいわけである。そういう人生。
ちなみに真田広之とトムは、瓜二つとまではいわないがよく似ていると思う。
H・チャールズ・ブコウスキーの墓には「Don't try」という言葉が彫られている。
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