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公認心理師試験の覚書②~試験対策編~

本題の『試験対策編』。第四回公認心理師(Gルート受験)の超個人的な対策法をご紹介します。だれかのお役に立てて、公認心理師仲間が増えたら嬉しいかも。

1.受験対策前の個人的な知識ベース・背景

(1)心理・福祉の知識が若干あった

自営の心理カウンセラーおよび講師時代に、心理療法や歴史の部分は、ざっくりと知識があった。
また、社会福祉士資格があるので、ある程度の福祉的な知識と業務上の経験もあった。

一方、下記についてはかなり腰を据えた対策が必要だった。(問題集は、たいてい23~24章構成)

研究法(5章:心理学における研究)
統計(6章:心理学に関する実験)
発達障害関連(12章:発達)
心理査定(14章:心理状態の観察及び結果の分析)
薬物療法(22章:精神疾患とその治療)

 このあたりは、とにかくブループリントを最低ラインとして網羅しないと話にならず、関連書籍を読むほか、スマホアプリやyou tubeも活用した。スマホアプリでは、ブループリントの網羅のためにゲーム感覚で一問一答に励み、you tubeでは、苦手な章の名称で動画を検索し、わかりやすい動画を理解の助けとした。さまざまな角度からの過去問にふれるうちに、なんとなく外してはいけない勘所がわかってくる。

(2)国家試験の「型」を活用

社会福祉士の国家試験を2019年に受けたので、福祉領域のおおまかな知識(公認心理師試験では、だいたい午後の試験範囲に含まれている)と、マークシートで午前・午後2時間ずつ実施という試験の構成に免疫があったと思う。

 見直しの時間も含めて、一問にかけられる時間が一分半ほど。選択肢を瞬時に見分けていく必要がある。逆に難しい問題や一度も見たことがないワードにこだわり続けず(ほぼ捨てる。動揺を引きずらない)、解答ペースを崩さないという点は、社会福祉士試験と同様。

 問題構成として、ある一定割合で重箱の隅を突くような難問奇問が出ることになっていると感じる。3割失点(試験は全154問で230点満点)しても十分合格できるので、解けない問題があってもびびらない。ただし事例問題の得点配分が高いので、事例問題は確実に抑えにいくつもりで。 

2.受験対策(得点率70%以上を目指す)

社会福祉士の国家試験対策の際、大学の担任教員から教えてもらった勉強法に自分の特性に合ったやり方をプラスした。

最初から過去問を解き、後から知識のネットワークを作っていく方法。知識のネットワークの出来具合の確認は模試で行う。

70%以上の得点を目指して学習し、結果として75%以上の得点率で合格できているので、悪くない勉強法なのではないかと思う。 

(1)まず過去問を解く

現状を分析して、無駄なく対策を立てることをおススメ。準備が十分でなくてよいので、まず紙ベースでの過去問を解いてみる。問題集の巻末についていることもある。なければ無料アプリでもOK。
※午前・午後に分かれた本番の試験形式で解いてみる、ということ。

以下、ポイント。

①問題の構成やパターンを知る
午前・午後に分かれているとか、4択とか、5択とか、正しいものを一つ(または二つ)答える、または間違っているものを一つ答えるなど、解答の仕方を間違うともったいない設問のパターンがある。
私は、問題文で聞かれていることや重要な情報に下線を引く、丸で囲むなどの書き込みをしながら解答の道筋を立てた。選択肢には、思考の過程を記号(〇×や斜線)などで書き込んで、最終判断を間違わないようにした。

試験で問われることにアンテナを立てながら過去問を解いていくと、その後の勉強で知識を関連づけて理解するときに役立つ。

 ②今の実力で何%取れるのかという確認
あくまでも受験対策をするために、現状を把握するだけ。点数で一喜一憂しなくていい。合格ラインは60%なので、それを目安にして、どれくらいの勉強量が必要か、何から取りかかるかという対策を立てていく。目指すのはプラスアルファの70%得点。

(2)問題集の章ごとに進捗管理をする

①章ごとに理解度を確認しながら進める
だいたいの問題集は、23~24章立てになっている。

ちなみに私の進捗管理は、アナログ一辺倒。
子が病気をしたり、自身も体調を崩したり、仕事が忙しかったりして、一か月単位で学習ができない時期もあった。少し学習から離れると頭がリセットされてしまい、どこから手をつけていいか分からなくなって焦る。
何度かそういう失敗を経て、過去問の24章のどこまで、どのような理解度で進められているかを目次部分に記録しておきペースメーカーにするようになった。

したがって私の赤本は、目次部分がメモだらけでとんでもないことになっている。章ごとの出題率、苦手な章にマーカー、自分が取り組んだ日付、得点率などを書き込んで、どんなに学習がこま切れになっても、どこから取り組むか迷う時間を少なくした。
※デジタルがお得意な方は、エクセルやアプリなどで別途進捗を管理されたし。

②私は、下記の二冊の問題集を活用
『講談社:公認心理師国試対策(河合塾KALS赤本)』
『翔泳社:公認心理師完全合格問題集(青/ペンギン)』 

③ブループリントを意識する
赤本は、問題の前に章ごとの概説と最低限のブループリントキーワード解説がある。参考書を読み進めるよりも、まずはブループリントを含む全体を把握するつもりで、赤本に取り組まれるといいかもしれない。

一冊でいくなら赤本が効率がよいと思う。講師オリジナルの問題も盛り込まれており、ペンギンと比較すると少し難易度高めと感じた。
※あくまでも主観

ペンギンの問題集は、「左に設問、右に解説」で見開きになっており、難問珍問は少ない素直な問題構成で解きやすい。知識量が少ない時期は、ペンギンがおすすめ。
※あくまでも主観

 私自身は、赤本よりペンギン本の構成の方が使いやすく感じた。しかし、効率的な受験対策ノウハウの点では赤本に軍配。知識量が増えた8月半ば頃から、赤本を総ざらいした。 

④おそれず得点率を把握(とにかく70%前後取ることを目指す)
問題集は、だいたい23~24分野の章立てになっている。章ごとに得点率をしつこく計算してメモしておくと、どの章が苦手なのかが浮き彫りになってくる。

「問題を解く→正誤を確認する→解説を読む→知らない単語は書き出して調べる→この作業に加え、章ごとの得点率を計算して記録」

(例:取り組んだ章の問題が20問あって、10問正解したなら、10÷20で得点率は50%。これでは70%得点できていないので、要復習の章としてマーカー等で目次にチェックしておき、周辺知識を固めてから期間を空けてまたトライする。)

これをひたすらやり遂げる。あほらしくてやっとられんようだが、これが案外効く。

以後、2回目は何%取れたか、3回目は何%取れたか数字で把握。問題を覚えてしまって得点率は上がるが、逆に何回やってもちんぷんかんぷんのものは毎年恒例の難問珍問の可能性が。試験対策としては、捨ててもいいものと勝手に判断。

※ブループリントのキーワードがだいたい頭に入ってくると、そういう問題も判断できるようになる。「こんなん、誰が解けるのさ」みたいな問題が必ずある。

⑤過去問の選択肢に出てくるキーワードから知識を広げる
問題集に関しては、二冊なら2回やれたら十分ではないかしら。一冊を繰り返しやるのでもいいかもしれない。知らない単語や周辺知識を徹底的に調べるうちに、いつの間にか解答力がつく。

本試験は、選択肢がある中から正解を選ぶ形式。周辺知識や章ごとのブループリントが頭に入り始めると、かなりの正確さで違和感のあるものを除外できるようになる。

模試を2回受けるくらいまでには、「自分の解答に絶対的な自信があるわけではないが、採点してみたら正解だった」ということが増える。違和感によって選択肢を除外していった結果、正解を導けるようになる感じ。

⑥出題率は必ずチェック(赤本だと、章の初めのページの右上に記載)
赤本には、各章からの出題率の記載がある。たとえば統計などは問題全体の2%くらいしか出題されないのに、一通り理解するまでに時間がかかる分野。余裕があれば超苦手の克服に腰を据えてもよいと思うが、最初は8~9%の出題率の章(赤本だと14章~18章あたり)から確実に固めていく方が、得点としては大幅アップできるかもしれない。

※とはいえ、私はどうしても統計を捨てきれず、一冊本を買って読みまくった。これは良書。
「統計嫌いのための心理統計の本:白井祐浩/創元社」

統計をやるのは、実は初めてじゃない。大学院で臨床心理学の科目履修したときも、社会福祉士受験のときも、ひととおりやったんだけど。相変わらず苦手は苦手。

(3)アプリでスキマ時間の活用

子どもの習い事や通院の待ち時間、通勤時に活用。
アプリは、反射的に正誤を判断するトレーニングと割り切った。移動中や戸外では、紙ベースの問題集は使いにくかった。解説があっても文字が小さくて詳しく読めないし、じっくり考えて選択肢を選ぶ問題もやりにくかったので、落ち着かない環境のときはスマホの一問一答アプリだけに絞った。

(4)無料動画を活用

苦手な章をあぶり出してから、ピンポイントで活用。
私は耳からの情報処理が苦手なタイプだが、図表のあるものは参考になった。脳の機能局在やゴロ覚えの動画など、図やイラスト、覚え方が工夫されている秀逸動画には感謝。

※動画での過去問解説が役に立ったという方もいらっしゃったので、ご自身でいろいろ試聴してみられるとよいかと。
※章の名称や知りたい単語で検索し、わかりやすい動画を選んで利用。公認心理師対策用に限らず、他資格の対策動画にも秀逸動画は存在する。 

(5)自分だけのキーワード集をつくる

社会福祉士受験のときは大きめの単語帳を活用。そして今回の公認心理師試験では、マルマンのミニサイズ(ポケットティッシュくらいのサイズ)のルーズリーフを活用。

章ごとにインデックスをつけて、知らない単語と調べたことをルーズリーフにがつがつまとめて綴じていく。試験直前の気もちが落ち着かないときに見直したのも、試験会場で見直したのも、結局それだった。
※書いて覚えるのは向かない人もいるので、あくまでも参考までに。

(6) 模試を活用

初回は情報収集、回を重ねるごとに苦手克服で得点アップという作戦。

①初回は情報収集
初回の模試を、2月~4月あたりに受けてみるのはどうかしら。初回の模試の得点は、さほど気にしなくていい。
早めに模試を受ける目的は、本番に向けて度胸をつけること、時間配分や問題構成への慣れ、苦手の掘り起こし、必ず得点しなければならない問題を確認(全国的な正答率が高いものは、必ず得点しなければ損)することなので。

②模試は2回で十分かも(3回やれたら十分すぎる)
模試を1回受けたら、その後は問題と選択肢と解説とにらめっこで全分野の見直しをする。知らないワードや周辺知識は、ミニルーズリーフに入るくらいの情報量でまとめる。けっこう骨の折れる作業。私自身は、見直しと苦手な章の強化が終わってから、次の模試を受ける主義。

※模試は、社会福祉士試験でも活用した「ファイブアカデミー」一択。いろいろ調べている余裕がなかったというのが理由だけど。自宅受験コースや複数回受験のセット割引があって助かった。

③模試の間隔を空ける
できれば模試ごとの間隔は一ヶ月くらい空けて、しっかり苦手対策をして臨み、確実に得点をアップすることで自信をつけていくことをおススメ。

3.さいごに

(1)試験当日までのふりかえり

一年前から細々と過去問題集に着手し、早めに苦手分野の掘り起こしをした。学習に時間のかかる分野(統計や心理査定、精神医療や薬物関連)は、時間を作ってテキストや書籍(購入したもの、図書館で借りたもの)でこってり学習。

学習精度の確認は、一問一答アプリにて。本試験の時間配分を考慮し、設問を読んで反射的に解答していくことを重視。ブループリントのキーワードを網羅し、設問の選択肢から違和感のあるものを除外する特訓については、断然アプリが便利だった。

受験資格があることが確実になった8月に入ってから、自宅受験の模試を10日~2週間ごとに3回受けるという荒行に出て仕上げた。本当は、1か月に1回、3か月かけて3回の模試を受けたかったのが本音。

受験までのスケジュールは、また次号にてご紹介。ラスト2か月で鬼スパート。けっこう、めちゃくちゃなスケジュールになっちゃったことを告白。

(2)学習に使ったもの

・ 過去問題集2冊(赤本とペンギン青)、一問一答問題集1冊(ペンギン赤)
・現任者講習テキスト、公認心理師試験対策テキスト(ペンギン緑)
・公認心理師受験用アプリ(無料)
・関連書籍(統計・心理査定関連、精神医療や薬物関連)
・you tubeの試験対策動画(無料)各種
・マルマンのミニルーズリーフ などなど

以上、試験対策(大作)でした。
その他、思い出したらまた追加します。
今回は、最後までお読みいただきお疲れさまでした。

「どんなことでも、なんとかなる」「なにごとにも意味があり、学ぶことができる」という考え方をベースに、人の心に橋をかける言葉を紡いでいきます。サポートいただいた場合は、援助職をサポートする活動に使わせていただきます。