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機能性とコットンライクな風合いを両立したポリエステル繊維「アスティ®」とは

「コットンライクなポリエステル」を求める声にこたえて
みなさん、アウトドアやスポーツウェアはどんな素材のものを着ていますか?やはり軽さや吸汗性・速乾性に優れた機能素材としてポリエステルを選ぶことが多いですよね。一方で、身に着けるものなので肌触りや着心地も重要なポイントです。「コットンのようなナチュラルな風合いも欲しい」という声は、以前から聞こえていました。そんなあるようでなかった素材をポリエステル100%で作り出し、ニーズにこたえることはできないかと考え、私たちは開発を始めました。
コットンは柔らかくて肌触りがいい一方で、水分保持力が高く、嵩高性もあるため、商品によっては重く、乾きにくくなったりします。
アスティ®は、特殊な加工技術によって一本の糸の中に細い部分と太い部分を不均一に混在させた芯糸と、ウーリー糸を組み合わせた複合糸です。この複合糸と様々な編み方を駆使して、インナーやアウター、薄手のものから厚手のものまで色々な生地が作れるようになっています。
こうして作られた生地の表面には微細な凹凸があり、優しい肌触りと上質なコットン調の質感や見た目を生み出します。また、吸汗速乾性やUVカット性などの優れた機能性も兼ね備えており、着用した時の快適性を追求しています。
 
手間を厭わない丁寧なものづくり
アスティ®の強みは、石川県にあるグループ会社の帝人フロンティアニッティングによる細部にまでこだわったものづくり無しには語れません。
編み上がった生地を染めると糸に縮みが生じ、太さのムラが作り出されます。また、芯糸とウーリー糸では染まり方が微妙に違うので、天然素材のようなまだらな色合いが外観に出てきます。これらの微妙な変化を見越して、染色後の縮んだ状態でベストな風合いが出るように計算して糸を加工し、生地を編み、染色加工をする必要があるのです。これらの難題をクリアーするために、何度も試作を繰り返し、沢山の手間をかけて、ようやく開発に漕ぎつけることができたのでした。
一筋縄ではいかないことの連続ですが、グループ一丸となって、私たちが持っている技術を生かし、とことんこだわりを追求する姿勢がこの品質を支えています。
 

アスティ®


環境にも配慮したポリエステル繊維
アスティ®を開発するうえで担当者がこだわったのは、「100%リサイクルポリエステルで作る」ということでした。海外展開を見据えた場合、リサイクルポリエステル100%でないと受け入れてもらえないケースも多いからです。また、アスティ®は長繊維を使用していることから毛羽が少なく、洗濯した時の繊維の抜け落ちが少ないため、社会課題となっているマイクロプラスチックの課題にも配慮しています。
 
変わりゆく社会に対してポリエステルができること
アスティ®は、通常のポリエステルよりも吸汗速乾性が向上している点が大きな特長の1つです。これは芯糸と、それを取り巻くウーリー糸という二重構造がもたらすもので、毛細管現象により優れた水分拡散性を発揮します。また、芯糸の太さのムラにより生地の肌面にランダムな小さい凹凸構造が発現するため、汗をかいたときのベトツキ感を軽減します。
以前は、「やはり子供の服はコットンでなくては」という意識も世間では根強かったと思いますが、最近はポリエステルの使い勝手の良さが浸透し、共働きが多くなった家庭においては、夜洗濯して朝乾いているということも大きなメリットでもあるので、今後アスティ®の愛好者が増えるチャンスは十分にあると感じています。
また、アウトドアやスポーツウェアだけでなく、機能性の素材を普段使いする傾向にあるユニフォームやファッション用途などにも幅広く展開していきたいと考えています。
機能性とコットンライクな風合いを兼ね備え、かつエコフレンドリーなアスティ®の活躍の場はさらに広がると考えています。私たちの技術に新しいアイデアを掛け合わせながら私たちにしかない素材を開発していきたいと担当者は語っています。
 
                               以 上