札幌見聞録「技術同人誌読書会を通して見た札幌」
札幌読書会を終えたので、その報告を書き残す。
立地について
今回の会場は「コバル計画」なる札幌駅前の仮設イベントスペースをお借りした。
札幌駅から徒歩で2分程度の距離。
立地としては、(底辺亭がそうであるように)考えられ得るほぼ最高のものであったと確信している。
会場面積は15坪程度。
例によって机と椅子だけを使用したシンプルなイベント構成にした。
PHPカンファレンス札幌
今回、開催にあたって、人経由でさくらインターネットのエヴァンジェリストである@kumikumitm様のご助言を得て活動した。
ただ申し訳ない事に、読書会が彼女が運営を務めるPHPカンファレンス札幌なるイベントの開催日と重複してしまったので、恐らく迷惑を掛けてしまったのだとは感じている。
我ながら非常識な話だが、自イベントである読書会を抜け出して2回PHPカンファレンス様を訪問させて頂いた。
一度目は読書会参加者の方に先導をお願いしての挨拶回り。
読書会会場に戻った所、「経済的に苦境にある高校生エンジニア」が来場したので、天啓を感じて再度カンファレンス会場を訪問。
そして、彼の専門分野と関係がありそうな企業様(1回目の名刺交換のおかげで非常にスムーズに話が進んだ)を狙って手当たり次第に引き合わせた。皆様概ね好意的であったが、特にクリプトン・フューチャー・メディア社担当様が親身になって下さった。
ただただ頭が下がる思いである。
こういう非常識な振る舞いは断じて許されるべきではないが。
私にとっては、この旅で最大の収穫であった。
地方のエンジニア
読書会の参加者は20名弱であったが、そのうちの2名が近く東京に転職するとのことであった。
一人は私をPHPカンファレンスに案内して下さった方で、日頃は札幌で勉強会を主催されておられるということ。
どの地方に行ってもそうだが。
優秀な人間は皆、東京に旅立っていた。
きっと東京からは優秀な人材が深センやシリコンバレーに流出していることと推測する。
2人に上京理由を尋ねた所、「いいイベント・勉強会は全て東京でやっているから」とのいつもの回答を得る事が出来た。
優秀な人材程、勉強会を好む。
勉強会が豊富な場所(我が国の場合は東京)に優秀な人材が流出するのは当たり前である。
地方に人材を残したければ、消防団や青年団での下らないコンパニオン遊びを本気で楽しいと感じている層から速やかに発言権を剥奪し、向学心の強い人材の意見を汲み上げる必要がある。
酒場のマスターとして敢えて言わせて貰うが、酒宴は雑兵に提供する為の娯楽である。
この札幌読書会には多くの優秀なエンジニアが訪れた。
誰もが街を愛していたが、(待遇面の話をした相手に関しては)自分への報酬が適正額と考えている者は居なかった。
「技術書の執筆が地方エンジニアを潤す」という私の主張は所詮は詭弁である。
良著を刊行して有名になったエンジニアは、書籍の売り上げで東京に引越しして、書籍の力で東京企業の面接を突破する事であろう。
それらを差し引いても。
札幌は大阪同様にテクノリージョン化する事が可能であると確信した。
必要なのは、後述する農学校同様に学生寮(それもかなり快適で巨大で文明的なものでなくてはならない)である。
絶対条件は、言うまでもなく雪かきをしなくて良い構造である。
札幌の街に関して
今回は地元スタッフを用意した上での大会開催であったので、街を案内して頂く事が出来た。
札幌の時計台にも行った。
その場に近づくと観光客が口々に「がっかり」と笑っていたが。
(日本三大がっかり観光スポットなのだそうだ。)
料簡違いも甚だしい。
札幌農学校の若き精鋭達が奮励したからこそ、札幌の街は時計台が埋没してしまう程に立派なビルが立ち並ぶようになったのである。
北海道全体はきっとインフラが行き届いていない事と思うが
(円状の土地であるにも関わらず、一都市に機能が集中している国家・地域事では全体にインフラが行き渡らない。)
札幌に関しては資本投下が継続している印象を受けた。
特に最近新設されたらしい、札幌・大通り・すすき野を結ぶチカホ(大型地下歩道施設)はかなり地元民に愛されている印象を受けた。
「街の規模に反して勉強会が少ない」というのは出ていく2人の率直な所見である。
(主催者側の彼らが流出する事で更に減るだろう)
もしも札幌の方がこの文章に目を通されておられたら。
どうか貴方の故郷の未来の為にも善処して欲しい。
現代の榎本武揚は幾らでも貴方の側に棲んでいる。
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