入院した話〜年中さん編〜

どうも、「外出んしミスってもノーダメやな!髪ちょんぎったろ!」と見切り発車でキメたセルフプチ散髪が意外と上手くいって人生最高なてふてふです。

私は過去に3回というアホになりそうな回数入院&手術のコンボを繰り返しています。普通の人から見たら若干多く、病気がちの人からすれば「それくらいでイキんな」と言われそうな数ですが、入院回数オークションをしたいわけではないのでスキップします。

手術といっても、命が危ない!!みたいなシリアス展開は一切ありません。内訳は斜視2回と「せいちゅうけいのうほう」という激レア病1発です。こんなコミカル手術ですから、もちろんこのお話の内容も重いものではありません。私が重いのは前髪だけです。体重だって地球規模で見れば誤差やし。

前置きはこの辺にして、今回は初めての手術だった年中さんの時のお話です。

かなり昔のことですから、ほとんどのことは覚えていません。ですが入院&手術という稀なシチュエーション、加えてそれは人生で初めての経験。断片的なそれは、小さなアナログテレビの前でアンパンマンを見ていたとこから始まります。

隣にいた喋ったこともない女の子が画面に出てきたメロンパンナちゃんを見て、

「ロールパンナちゃん!!」

と言うのです。もし今の私なら(え、そこ間違えるか?)と心の中とツイッターで呟くだけでしょう。ですがその時の私は違いました。

「ちゃうで、メロンパンナちゃんやで!」

めんどくさいオタクやめーや

と思いますが、やはり子どものコミュ力は私達とは段違いです。その子は平然と言いました。

「あ、ほんまや」

まず『お前誰やねん』ちゃうんか

そこでそのときの記憶は途切れていますが、次に覚えているのはこの子と次に見るビデオを探しているシーン、なんとこの2人仲良くなっているのです。なんというコミュ力。私は一体この力をどこに落としてきてしまったんでしょうか。そしてそこで「動物図鑑」というデッカイ像が描かれたおもんなさそうなビデオを選んだ私は本当にそれでよかったんでしょうか。

その女の子とは名前が奇跡の激似ということもあり、退院するまで仲良く過ごしました。「一人称をアタイにするごっこ」等、本当に仲良く過ごしただけなのでそこは割愛します。

ここで小話ですが、入院となるとやはり怖い体験というのは付き物かと思います。私にもありました、めちゃくちゃ怖い体験。「名前間違えただけで突然知らんやつに指摘される」というかなり怖い体験をさせてしまった罰でしょうか。いいえ、それは私だけでなく小児科勢全員を恐怖に突き落とした事実…

「手術までにお通じ来んかったらケツに得体の知れんもんぶちこまれる」

お化けより怖い。

私は無事ギリギリ回避しましたが1人どっかに連れてかれてました。ひえぇ怖い……ちなみにお化けは1回も遭遇してないです。もったいない。

アンパンマンオタ記憶、仲良しの記憶、恐怖の記憶、と来て最後の記憶ですが、それはもちろん手術前のことです。

聞くところによるとあんま泣かなかったらしいので、年中さんにしてはメンタルつよいな〜まあ理解して無かったんだろうな〜と上げて落としつつ続けます。

シーンは既にベッドの上で寝かされているところからのスタートです。エンドロールのように下から上に流れる天井を見ながら、看護師さんの話に耳を傾けます。

「みかんかいちごかチョコ、どれが好き?」

本当はチョコが好きでしたが、手術前の緊張が変な形で出たのか、

「みかん」

と答えてしまいました。(あ、やっぱりチョコ…)と呑気に後悔したのを覚えています。アンタ手術前やで?

「じゃあ今からみかんの匂いするお部屋行こっか〜」

若干のワクワクと消えゆくチョコの影を悲しみながら、ふわりと香る空気を吸い込みました。

きっと全身麻酔関係のものだったのでしょう。その後の記憶はプツリと消えています。初めての手術、初めての全身麻酔。まあまあの強メンタルと言えどまだ年中さん、しかも切るのは目と来たら、やはり多少は怖かったろうと思います。私は心の中で叫びました。


「くっっっっっっさ!!!!!!!」

やっぱりチョコにしとけば良かった。


その後中一中二と手術をしましたが、二度と いちごorみかんorチョコレート?と聞かれることはありませんでした。あれが本当にみかんの香りだったのか、はたまたまだ小さかった私を落ち着かせるための看護師さんの優しさだったのか、あの女の子はどうしているのか、おもんなさそうだったゾウビデオは本当におもんなかったのか。それを知る術はもう私にはありません。

断片的かつ癖のある記憶でしたが、こうして今茶化して文章にできているということはそれなりに楽しかったんだろうなと思います。ゾウはマジでおもんなさそうやったけど。

以上で入院した話〜年中さん編〜はおしまいです。中学生編は干支の計算めちゃくちゃ早いおばあちゃんと、壊滅的に下手なジバニャンを点滴に描き残していった看護師さんと「産湯で調理したんか?」ってくらい味の薄い、通称 産湯いんげん の記憶しかないので多分書きません。

ということで、最後に気になったことをひとつ。

手術前の比喩でエンドロールはあかんやろ


ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?