「ナイトクルージング」10句

初出/BL俳句誌『庫内灯』1号(2015年発行/完売)

初出の雑誌がめでたく完売しましたので、こちらに作品を載せておきます。

こんなことしてる場合では全くないのですが

(ショートのネーム切り1本と原稿1本が今週の絶対ノルマ)

思い出深い連作なので。

社会人になってから高田馬場に住み始めて、

終電を逃して当時の会社があった四谷三丁目から歩いて帰ると、

夜中はだいたい明治通りで大江戸線を通す工事をしていたんです。

夜通し歩いたり、朝まで遊んだり飲んだり、

そういうことが楽しかった(今でも本当に時々やりますが)

毎日のことを思い出していたら、大学生くらいの男の子同士が

同棲ごっこのように相手の家に押しかけあったり

恋人のようになったりしている姿が思い浮かんだのでした。

……前置き長いし、

こういうのって一番ダサい種類の自句自解ではなかろうか。

まあいいや。お楽しみ頂けましたら。

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吉野家に頬杖をつき桜桃忌

道玄坂から円山町へ大西日

短夜のミラーボールの小ぶりなり

モヒートの葉をむしやむしやと星祭

シャッターに涼しく月の映りけり

明易や明治通りは工事中

寝てみてもいいけどメロンかき氷

同棲やビーチサンダル脱ぎ散らかし

友達の形見だといふ夏布団

夜遊びに飽きしと蕗を煮てをりぬ

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