伊藤敬子『年魚市潟』

伊藤敬子『年魚市潟』(角川書店)

ここ2週間ほどひとり暮らしをしているんですが、

いやーもう家が広い…そして寒い…そして人と喋らない…wwww

日中ほとんど人と会話しない仕事に変わって約4ヶ月というところなので

もう一日の会話量がひどいです。

まあ徒歩5分のところに住んでいる義理の父母と

なんやかんやとやりとりをしているので

かろうじて人間らしさを保っているというかなんというか。

まあそれはいいんですけど、ひとりなので読書が捗るんですよね。

なので、句集をたくさん読む期間ということにして、

なるべく時間をかけずにさくさく読み進めてみよう、と。

というわけで色々読んでいった中に今回ご紹介する

『年魚市潟』があったわけです。

いやーなんか。新鮮でした。

すごい、ベタなんですよ。

一周まわってベタが最高、みたいな気持ちになれるなら

いいんですけど、そういうのとは少し違ってて…。

〈悪い意味でちょっとどうかと思った句〉

  それぞれにいのちひろげて白牡丹  

  壁炉燃ゆ思ひ出はみななつかしき

  真つ直ぐに生きよの家訓初写真

  春の雁誰にも幼き日の山河

  父祖の世をしづかに呼べる初鼓

  一同の礼美しく卒業す

  桜鯛過ぎ去りし日のはるけしや

いかがでしょうか。

最初はちょっとどうしようと思いながら読んでたんですが、

だんだんおお、これは、という句が出てきて。

〈いい意味で目に留まった句〉

「『笹』新年会」と前書きがあって

  福引に当ることなく帰りけり

……このダサさは推せる!!!!!!!!

亡くなったお兄さんを詠った

  遍路姿の兄を棺に納めやる

「やる」が切なくていいですね。

  新涼や水とんがりて曲りゆく

ちょっと間違えるとダサくなりそうなんだけど

なんだかアリな気が。

  手袋にいまだ雪の香関ヶ原

地名がいい。

結果的に、こういう時に読むのに

ぴったりだったかも!と思える句集でした。

 


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