「ねむっておきてバター」を読んだ

ネプリ、自分でも作ったりするんだけど

自分が受け手として出すのはどうも苦手だったりする。

いつの間にか出力期限が過ぎていることが多いし、

意外とコンビニに行きそうで行かない

(会社の昼休みの終わりかけにファミマかローソンに飛び込んで

コーヒーを慌ただしく買っていく、というパターン。

なぜこのふたつかというとTポイントかPontaポイントを貯めたいので…)。

でもこれは頑張って出力するぞ!と思うものが時々あるので

それは頑張って出している(つもり)。

ということで出しました、井口可奈さんと三島ちとせさんの

書き下ろし俳句ネプリ「ねむっておきてバター」。

もう出力終わっちゃってるのでアレなんですが。

まずは井口さんの句(15句)から。


記憶よりバターやわらかく霜焼

湯ざめして家はだいたい箱の形

寄鍋やすがりついてもいい異性

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霜焼の句、ぐじゃっとした字余りが内容と不思議な調和。

湯ざめの句、「四角形」と収めないところに作者の意地が見えました。

「形」って言いたかったのかな?とも。

寄鍋の句、取り合わせ方に鈴木真砂女めいたものを感じました。

美味しいものとちょっと危ない異性関係。

「寄」って漢字を入れて関係の危なさを匂わせている、のかな!?などと。

どの句にもちょっと綻びがあって、

その綻びがチャームポイントになっている作者だなと思ってます。


続いては三島さんの句(30句)から。


立冬や給料に米含まるる

船に酔ふ身体か冬のはじまりぬ

冬ざるる賄ひ飯は茶に浸し

ゆきもよひ拳握つてゐる湯治

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立冬の句、事実がどかっと詠まれているように見えてすごくいいです。

船酔いの句、酔っちゃうのか俺…という失望と共に

始まる冬っていうのがしょうもなくてリアリティを感じました。

賄い飯の句、汁物っぽくしてざざざっと食べてすぐ戻らないと、

というせわしなさが見えました。結構美味しかったりするんですよね。

湯治の句、めちゃくちゃ熱いとかしみる薬湯とか、

そういうハードさが握られた拳で一気に見えてくる面白さ。

仕事に関する句に勢いがあって面白かったです。

〈履歴書に涎のあとや冬ぬくし〉という句もありましたが、

季語が緩かったので抽こうか迷ってやっぱりここで紹介してみましたw


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