BLコミックスの中に定型詩の断片を見つける

きっかけは、知人がtwitterで蔓沢つた子さんというBLマンガ家さんのコミックスの話をしていたことでした。

『くさかんむりに化けると書いて』

そのタイトルを見て、あ、七七だ、と思ったんです。

蔓沢さんの他のコミックスで『好物はいちばんさいごに腹のなか』というのがあると知り、あ、今度は五七五、って思いますよね。

それから一年くらい経ったんですが、今日ちょうど蔓沢さんがコミックスを出されている竹書房のBLコミックスを読んでいて、表4の折り返しにある既刊コミックス一覧表を何の気無しに眺めていたら、蔓沢さんにとどまらずあるある!定型感覚にあふれたタイトル。

五七、あるいは七五のもの。

『神楽坂ラブストラクト』

『六畳一間の同居人』

『客と家族になりまして』

『初恋を処する方法』

『どうせ掘るなら深い穴。』

『毒ある花にも愛はある』

『隣の彼が痩せまして。』

『根暗男とフェチ王子』

『トモダチ以上のこと、シたい。』

『いとしの絶対君主さま』

『君の待ってるコンビニへ』

『ボクの筆、卸してくださいっ!』

『可愛い花には毒がある』

『守ってやるって決めたのに』

『花盗人は露に酔ふ』

『そしてすべてが動きだす』

『帰らなくてもいいのだけれど』

『世界は光に満ちている』

『オレの男に手を出すな』

『ぎこちないけど愛だろう』

『永遠のボーイフレンド』

『そして続きがあるのなら』

『わかってくれとは言えないが』

『僕の知るあなたの話』

『だまって泣いているのです』

『こんな男に誰がした』

『ちょっとやそっとじゃ止まらない』

『俺はあなたの犬だから』

『いつもみているものだから』

『ここが世界のまんなかだ』

『ラストキスから始めよう』

『月の砂漠をはるばると』32冊。

七七(っぽいものも含む)のもの。

『いたずらな手は我慢ができない』

『イイ子レベルは先生次第』

『先生ホントは肉食系?!』

『おとなの手練こどもの手管』

『目と目が合ったらサヨウナラ』

『ひずむ三角、ほどけて絡む』

『ボクと上司と彼の恋人』

『言い間違いは聞き手の粗相』

『彼の嫌いな生徒について。』

『光木八尋の甘美な憂鬱』

『このよのはじまりこのよのおわり』

『誰がおまえを好きだと言った』

『一生続けられない仕事』(句またがりっぽい)13冊。

五七五っぽいもの。

『人はなぜ働かなければならないのか』1冊。

さっき紹介した2冊も含めて、合計48冊。

竹書房のボーイズラブカテゴリに入っている363冊をさっと洗い出してみました。

計算すると約13%。1割超えてるってのはすごいっちゃすごいですよね。

ほんとーにさっと洗い出しただけなので、ヌケがあるかもしれないです。

洗い出しての印象は、3〜4年前までは山田ユギ、深井結己、鹿乃しうこなど

長いキャリアをほこる作家が多用しがちだった七五調(七七調)が

ここ1〜2年で若手〜中堅作家の間にも浸透しているのかな、と。

定型を一番頻繁かつ見事に使いこなしていたのは、

竹書房で長年執筆している内田かおる(カヲル)。

17冊竹書房でコミックスを出していて、

そのうち7冊が七五調、もしくは七七調タイトル。

『だまって泣いているのです』『そして続きがあるのなら』など、

さりげないのですがよく見ると七七だったり七五だったりするのが

何とも言えずしびれます。

他の会社のコミックスは数えたり注目したことがないので、

気になる会社ができたらまたやってみようと思います。

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