最近観た映画、その2

『リバーズ・エッジ』

観たいなーと思いつつも誰かと観に行かないと絶対しんどいよねと思っていた。

まだちゃんと喋るようになって日が浅いけど

絶対に気が合う確信が持てる知人と行って、

観終わった後は実に楽しく喋れて

「また映画観に行こう」みたいなノリになれたのが最高だった。

あの原作を「90年代コスプレ映画」というまとめ方にした行定監督の解釈には

思春期に原作に出会った人間としてぜんっぜん納得がいってないけど、

「まず見た目から入る。見た目を原作に寄せる」というやり方は

賢いといえば賢いようにも思った。

主要キャラに関してはかなり岡崎京子の作画に寄せてる感じがあった。

無力だし平凡に見えるけど、ラスト近くまで動かず、揺るがないことで

揺れまくり動きまくる他の登場人物を魅了するという

非常に難しい役をこなした二階堂ふみはやっぱりすごいな。

今までエキセントリックでパワフルな役を演じているところしか

観たことがなかったので新鮮だった。

あと、泣き顔がめっちゃ岡崎京子の作画になってたのが見事だった。

こういう風に泣く女の子、高校の頃にたっくさん彼女のマンガで見たよ。

行定監督の「90年代コスプレ」作戦は大方成功しているんだけど、

どうせやるならちゃんとやってくださいよ、と

文句をつけたいところももちろんあって

主人公のハルナの友達の井上ちんが聖子ちゃんカットだったのと

(ちょっと聖子ちゃんカットっぽい髪型ではあったけど、

ちゃんと90年代らしいシャギーが入ってたじゃないかよ、

そういうの大事にしようぜと思った)

山田君の思い人(とそのガールフレンド的な女子)が

すげーもっさりしていたのだけはちっとも納得できなかったですね。

山田君の思い人こそ、岡崎京子の作品に登場する

たくさんの男子の代表のように

小ざっぱりした髪型で簡素な顔つきで

華奢な体つきでパーカーをさらっと着て、

みたいなカジュアルなかっこよさが必須なのに

なんで光GENJIにいそうな古風なイケメンを選んできたんだよ…

連れの女子もなんでアメコミに出てくるみたいなポニテなんだよ…


…気を取り直して。

『リバーズ・エッジ』の原作には、初めて読んでから20年以上経ってからも

覚えているセリフがたくさんあって、

やっぱりそういうセリフを待ちながら映画を見てしまう感覚って

あると思うんですよ。

「失礼だよ/ゲイだからって/すぐセックスの話を/もち出すのは」

「自分のことばっか/喋って楽しい?」

冷ややかな正論に初読でぶちのめされた、山田君のセリフが再現されるのは

やはり独特の衝撃があった。

でも、

「でも/ぼくは生きている時の/田島さんより/

死んでしまった田島さんの/方が好きだ//

ずっとずっと/好きだよ」

の「ずっとずっと/好きだよ」が削られてたのは

まっっったく納得がいかない…!!!!!!!!!

エンディングの「アルペジオ」、

二階堂ふみと吉沢亮のラップは耳心地が良かったけど

(私は二階堂ふみの声がすごく好きなんですが、

同じ意見の人に会ったことがありません)

歌詞の内容をtwitterでちょっと知って、

ええ…???ってなってしまったので興味が持てませんでした。


結論。愛着は持てないけど、

やんややんや話すにはうってつけの映画だったなあ。








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