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【Review】 The Neville brothers / Yellow Moon(sgt152さん)

 ニューオリンズ。ブラックミュージックの歴史をしらべると、その音楽史においてとても重要な都市であることが分かります。そんなニューオリンズに生まれたネヴィル兄弟は 60 年代から個別に音楽活動をしてきた。そのネヴィル兄弟が 1977 年に結成したのがネヴィルブラザーズです(ネヴィルブラザーズ以前の音楽活動も素晴らしいですが⻑くなるので割愛します)。彼らが 1989 年に 5 枚目のアルバムとして発表したのがこのイエロームーンです。

 こう書き出すとただの懐古趣味的なソウルのアルバムだと思うかもしれません。しかし U2 のプロデューサーとして有名なダニエルラノワ、ゲストにブライアンイーノを迎えていていることがそれを否定しています。。逆にニューオリンズのブラスバンドをゲストに迎えたり 60 年代のヒット曲やゴスペルのカバーが収録されていて決して新しいことだけを目指したわけでもありません。古いものと新しいもの。その二つをバランスよくミックスしてタイムレス、ジャンルレスな作品に仕上げています。そのためうまくジャンルを説明することは難しいですがそんなことはどうでもよくなるぐらい素晴らしい内容です。

 曲の説明をします。収録曲は大まかに分けると①ニューオリンズ色の強くセカンドラインと呼ばれる独特のリズムだったりパーカッシブなファンキーな曲、②様々なスタイルをミックスした曲、③温かみのあるバラードに分けられます。①のタイプで一番良いのはラストに収められたワイルドインディアンズです。セカンドラインがとてもファンキーで体が自然に動いてしまう。②のタイプで一番良いのが 5 曲目のシスターローザです。シスターローザとは 1955 年路線バスでの人種隔離に応じなかったとして逮捕されたローザパークスのことで、アルバムの中では異色とも言えるラップが印象的です。これは作者シリルが「子供たちは学校の宿題は忘れるのにラップは忘れない。ラップにしたら若いリスナーにも歌詞を覚えてもらえると思った」と語っています。この発言からも若い人にも聴いてほしいと思って作られたということが分かります。③の曲としてはチェンジイズゴナカムが特に良いです。カバーですがアーロンの温かみのあるボーカルとダニエルラノワの包み込むようなサウンドが新しいオリジナリティを吹き込んでいます。この曲でウルっときたらソウルバラード好きな体質です。

参考文献 CD 附属のライナーノーツ

 以上イエロームーンのレビューでした。ブラックミュージックのレビュー。特に若い世代向けというのはほとんどないなと思って書きました。ブラックミュージックに関してはお堅くいろいろ語られていますが普通に聴いていて楽しいです。⻑文を書くのが苦手な上初めてのことなので読みにくいところもあったと思います。最後まで読んで頂きありがとうございました。このレビューを読んで聞いてくれたらとてもうれしいです。

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