トレンドに上手く乗ってシリコンバレーでSoftware Engineerになった話

はじめに

私は日本の大学を卒業し、日本でエンジニアとして就職後に、アメリカの大学院に進学をし、そのままシリコンバレーで仕事をゲットしました。現在は毎日偉そうに「シリコンバレーでは云々…」とツイートさせて頂いておりますが、実際そこまで大した能力はありません。おそらくエンジニアのスキル的には、日本のエンジニアの中では中の上くらいです。

本Noteではなぜ凡人の私がシリコンバレーでSoftware Engineerになれたかを記載させて頂きます。

私の留学前のスペック

・昔から努力家ではあった。効率は良い方。
・中高一貫の進学校に補欠で進学。成績は中の上。
・大学では日本の上位私大に進学。成績は中の上。
・大学卒業後にIT企業でエンジニア。評価は中の上

と、平均ちょい上の人生を歩んでおります。そして、現在の会社でも、中の上のパフォーマンスを出し続けています。決してTopパフォーマーではありませんw

なぜシリコンバレーでSoftware Engineerになれたか

理由は「運が良かった」と「トレンドに上手く乗れた」の二点です。
「運」に関しては上手くまとめられそうにないのでスルーします。
トレンドに上手く乗れた点ですが、私が留学をした5年前はアメリカは以下状況でした。

・アメリカ企業がInternational studentsに門戸を開いていた

・Software Engineerの需要がアメリカで伸びていた

・オバマ政権下では外国人労働者の受け入れを拡大する傾向にあった


・アメリカ企業が留学生に採用の門戸を開いていた
ICE(U.S. Immigration and Customs Enforcement)が提供しているデータになりますが、2007年から2017年までOPTの利用が伸びています。ソースはこちら。(OPT: 米大学院卒業後に合法的に働ける制度、詳細はこちら)

2010年はOPT取得数は約9万2千件ですが、2015年には約16万件、そして2017年には約21万9千件まで伸びています。

2017年のデータですが、Tech業界の大企業達が大量にOPTの学生を採用しています。ソースはこちら

Amazonが一番多く3655人のOPT学生を採用。続いて、Intelが1707人、Googleが1501人...となります。(*1)  なお、上記データのOPT学生数はSoftware Engineer以外の職も含めた数になります。

上記データより、私はアメリカ大学院にベストなタイミングで留学した(=時代が味方をした)、と改めて感じています。

・Software Engineerの需要がアメリカで伸びていた
労働統計局(BLS: Bureau of Labor Statistics)が「今後もIT関連職の需要は増えるかもね」といった内容の記事を2013年に出していました。(リンク)

記事ではCloud computingとCybersecurityの領域で主に需要が増えると書いています。2013年にこの予測をして、実際にAWSやAzureが急成長しており、政府はきちんとマクロな視点でものを見てるのだなーと感心しましたw

・オバマ政権下では外国人労働者の受け入れを拡大する傾向にあった

オバマ政権化ではH1B労働者に対して歓迎の傾向にあったそうです。(参考資料)

留学前に海外のニュースやサイトを巡っていると、「Obama政権は外国人(不法労働者やDACA含む)にビザを多く出している」「アメリカではIT関連職の需要は増えている」等の情報が出てきて、上記状況を垣間見ることができました。

運良くトレンドを知る
実際にComputer Science関連の留学の情報を英語で調べていると、いろんな国の学生がアメリカにSoftware Engineerになるために邁進しており、米大学院留学からのエンジニア就職は一種のトレンドになっていることに気づきました。

私は2013年から海外でエンジニアになるために留学準備をしましたが、当時は周りに同じ状況の人は一切いませんでした。ブログやTwitter等でCS系学科への留学を志してる方々を数人見つけられた程度です。当時、周りに「海外で働きたい!」という人も一定数いたのですが、実際に動いている方たちはほとんどいませんでした。

現在の米大学院留学からのエンジニア就職のパス

以下理由により、米大学院留学からのエンジニア就職のパスの実現可能性は不透明な状況だと考えています。

・トランプ政権下ではビザの状況が予測できない。

・アメリカ人にCS学科は人気のため、外国人としてアメリカ企業でSoftware Engineerの仕事を得るのは難易度が高そう。

・トランプ政権下ではビザの状況が予測できない。
トランプは2017年はじめに「Buy American, Hire American」をスローガンに掲げる等、移民政策に関して態度を硬化させるように見えました。実際にトランプ政権下ではH1Bの審査が厳しくなり、2018年にはH1Bの抽選を通った人たちのうち、24%がH1Bビザをリジェクトされる状況になっています。(参考資料)

H1Bはそもそもアメリカで労働者が不足している職を補うために存在するため、審査の厳格化に関してはロジカルな動きだと思います。

一方で、トランプ大統領は2019年1月にはH1B保持者に対して「才能・スキルが持つあなたたちにアメリカでのキャリアのオプションを増やしたい」といった内容のツイートをしています。(参考資料)

2年前の2017年は大統領は移民全体を敵視してる印象がありましたが、現在は大統領は高度移民はアメリカにとってメリットがあると認識したのか、ターゲットを不法移民などに設定する流れになると感じています。

・アメリカ人にCS学科は人気のため、外国人としてアメリカ企業でSoftware Engineerの仕事を得るのは難易度が高そう。

※アメリカ市民でComputer Science学科の学生数の遷移等の統計情報を見つけられなかったので、実体験ベースの話になる点、ご容赦ください。

大学生の子供がいる親世代(40代中盤から50代?)とはあまり縁がないのですが、不動産のセールス・UberやLyftの運転手などから「子供をComputer Science学科に入れたいが、CS学科入学の競争率が激しいので大変」といった話をよく聞きます。

昔と今とでCS学科の人気度がどう変わったかの具体的な統計情報がないので判断できてないのですが、CS学科卒のアメリカ人が増えると、「Buy American, Hire American」のスローガンにもある通り、就職時では外国人よりもアメリカ人が優先される状況になるのでは?と感じています。
前述の通り、H1Bはアメリカ国内で労働者が不足している職を補うためにあるため、アメリカ人でSoftware Engineerになる資格を満たす人が増えれば、Software EngineerはH1Bの対象ではなくなるといった可能性もゼロではないと考えています。

アメリカでSoftware Engineerになりたい方々へ

数年前までは「米大学院留学からのエンジニア就職のパス」は成功確率の高い方法でした。しかし、現在はこのパスの難易度が上がっているのも事実です。残念ながら、これが現在の状況(トレンド)のため、アメリカでエンジニアとして働き続けられる成功確率は昔と比べると低くなっていると思います。

私自身アメリカ就職に成功したのは、トレンドに上手く乗れたのが主な要因です。もちろん、大学院への出願・留学中の学業・就職活動等で相当の努力はしましたが、時代が味方してくれたのが一番大きいと思っています。

今からアメリカでSoftware Engineerを志す方々に対するアドバイスとしては、「なぜアメリカ?」という点を深掘りすることをおすすめします。深掘りをすると、別にアメリカでなくても良いケースが往々にしてあるので(給与アップ、英語環境に慣れたい等)、移民に対して門戸をまだ閉じていなさそうなカナダ等、別の国での就職を志すのもありかと思います。

バンクーバーがあるBritish Columbia州は「BC PNP Tech Pilot」というエンジニアが優遇された制度がある等、現在のカナダは移民政策はオープンな状況だと感じてます。


絶対アメリカがいい!という場合は、「厳しい状況になるかもしれませんが、頑張ってください!」というアドバイスをお送りします。

現在のアメリカのトレンドが今後どうなるかは全くわかりません。2019年現在、アメリカと中国は貿易戦争のような状況になっていますが、もしアメリカが今後中国人に対して学生ビザを発行しない、もしくは大幅に制限する等の強硬策を取った場合、アメリカでの就職市場において競争相手の中国人が減るので日本人にとってはSoftware Engineerの職をゲットの可能性があがるかもしれません。(※アメリカVS中国の構図に賛成している訳ではないです。個人的にはこうならないことを祈っていますが。。)

まとめ

いろいろ脱線してしまいましたが、要点としては、「私がアメリカエンジニア就職に成功したのは上手くトレンドに乗れたのが大きい」という点でした。

私自身、仕事場ではTopパフォーマーではないですし、PhDレベルの学歴もありません。どこにでもいる、普通のレベルの人間です。ただ一つ誇れるのは、6年ほど前に「アメリカでSoftware Engineerの需要が上がりそう」「大学院留学から就職する成功率が高そう」と知り、当時働いていた会社を辞め、実際に行動に移した点です。

各国のトレンドは刻々と変わるので、日々アンテナを張ることは重要だなと、改めて思いました。

NoteやTwitterにて、アメリカのSoftware Engineerに関する情報を発信しており、フォローしていただけると幸いです。

Twitter: https://twitter.com/engineer_jp_us
Note: https://note.mu/technologynote

注釈

(*1) このデータPre & Post OPTの合計です。Summer InternはCPTもしくはPre OPTを使うケースが多く、グラフのデータはPre OPTを利用したsummer internの数も含まれる可能性があります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?