【イベントレポート】TECHNO eRACING事業発足ローンチイベントを開催しました!
テクノツール株式会社が新たに発足したeモータースポーツチーム
「TECHNO eRACING」
が、7/7(日)に事業発足後初となるローンチイベントを開催しました。
テクノツールは現在までに、肢体不自由のある方に向けた
「アシスティブ・テクノロジー」
と呼ばれるICT支援機器などの「機械」の提供に取り組んできました。
それらを活用して仕事や遊びに参加する「機会」の提供を、
テクノツールと様々な企業・団体・個人と行っていくために発足したのが
「TECHNO eRACING」
です。
今回は先日行われたローンチイベントの内容や振り返りをまとめたレポートを書いていきます!
1, 開会の挨拶
まずはテクノツール代表の島田からイベント開会の挨拶です。
ここではテクノツールがどのような企業か、そして新しく発足したTECHNO eRACINGがどんな目的を持って始まったのかをお話ししました。
「アシスティブ・テクノロジーによってコンピューターを使えるようになると、いろんな可能性が見えてきます。
そういったケースを『働く』だけでなく『一緒に遊ぶ』『対等に競う』といった場面でも作りたいと思っています。」
という一言に、TECHNO eRACINGひいてはテクノツールの目指す先やモチベーションが詰まっていました!
2, 事業説明
続いては事業責任者の中塚から、TECHNO eRACINGの事業説明を行いました。
テクノツールが開発・取り扱う機材を組み合わせ、各選手の身体に合った操作環境でeモータースポーツに参加するだけでなく、その人に合わせた操作環境の整備することがもたらす社会的意義を説明しました。
また、テクノツールと様々な企業・団体のコラボレーションにより、新たな価値の共創を目指すチームの目標について説明しました。
「私たちが様々な企業の皆さまとコラボレーションすることでどんな社会をつくっていけるでしょうか?
遠隔運転技術の普及や、テクノロジーの発展によって働き方や求められる人材も変わると思います。
そんな中で(アシスティブ・テクノロジーを使って)eモータースポーツに慣れ親しんだ方々がドライバーとして活躍したり、テクノロジーを活用してパフォーマンスを発揮出来る人たちが担い手となっていくのではないでしょうか。
私たちが起こしたいこのムーブメントは、eモータースポーツ領域の参加機会の創出だけではありません。
社会全体のあらゆる領域で、社会実走が拡がることを目指しており、一社だけでは到達できません。
興味関心やご支援いただける皆さまと共に取り組んでいくことで実現したいと考えています。」
モビリティ関連はもちろんのこと、様々な企業と共に
「障害の有無に関わらない同じ土俵での活躍」
を目指していくという力強い所信を表明しました!
3, 選手自己紹介
続いてTECHNO eRACINGに所属している選手の紹介をしました。
TECHNO eRACINGは現在4人のメンバーがいます。
SMA(脊髄性筋萎縮症)、ミオパチー、頸髄損傷など障害という点でフォーカスしても様々な違いがあります。
頸髄損傷当事者の三阪さんは一般社団法人 D-Beyondの代表理事でもあります。
三阪さんは、
「オリンピックがeスポーツを競技として準備している中で、パラリンピックやパラスポーツの方も機材を使ってパラスポーツや同じ土俵で戦えるということに目を向けていく必要があると思いチームに参加しました。
自分自身が先に体験して普及できるよう頑張りたいと思います。」
と語ってくださいました。
同じく頸髄損傷当事者でD-Beyondの理事を務める庄子さんは、
「単純にゲームを楽しみたいという気持ちがあります。
ゲームをしようとコントローラーを使おうとしても上手く操作できず「ゲーム=苦痛」となっていました。
ですが今回テクノツールの機材を使って「これなら戦えるな」と思えたので、これからはこちらを使い様々な戦いに挑もうと思います。」
と語ってくださいました。
また、ミオパチー当事者の太田さんは元々リアルモータースポーツの選手として活躍していました。
太田さんは
「障害により、ドライバーではなく観戦者にシフトしようとしていたところで、
『これでまた自分も走れるんだ。障害があってもなくても同じ土俵に立てるんだ。』
と思いました。
自分の経験をチームにフィードバックしながら、この活動が広がる助けになればと思い参加しました。」
と所信を表明してくださいました。
4, ゲスト登壇 〜 トヨタ・モビリティ基金 平野里子さん〜
続いて、テクノツールがTECHNO eRACINGを発足するまでの間に取り組んできた「Mobility for ALL ~移動の可能性を、すべての人に。~」を主催しているトヨタ・モビリティ基金から平野里子さんにご登壇いただきました。
トヨタ・モビリティ基金の取り組み、「Mobility for ALL」を開催した経緯、そしてテクノツールとの歩みをお話していただきました。
「大きな声になりにくい人々の目線を大切にすること、ビジネスになりにくい分野に注力すること、
そして持続可能な活動として自走できるような枠組みを考えること、
そしてパートナーの強みを活かすことを大事にしています。」
Mobility for ALLに参加している企業の持つ独自性や社会的意義をより純度高く発信していく取り組みをお話頂きました。
5, 機材調整の様子
続いて選手の競技活動を支えるレース用の機材の紹介や、各選手の身体的特徴に合わせたフィッティングの様子について担当の中塚より説明しました。
身体的特徴に合わせた環境整備は、ただ機材を提供するだけでは成り立ちません。
そこにはボタンの押しやすさ、レバーの動かしやすさといったハード面の開発や、
理学療法的な観点から見た身体の評価を組み合わせて成り立つのです。
事業責任者である中塚は理学療法士としても活躍しており、支援機器を開発できるテクノツールとのコラボレーションにより操作環境の構築が可能になります。
6, 対戦
操作環境の整備・構築を説明した後は、イベントのメインとなる「選手と来場者によるレース対戦会」を行いました。
一番走者の干場は一般発売されている障害者向けのコントローラーを用いたジョイスティック操作でレースに参戦しました。
車に乗ったことがない彼はハンドルやアクセルブレーキでの操作ができませんが、ジョイスティックというゲーム的なアプローチと、身体的特徴に合わせて本人の可動域に合わせたコントローラーの配置でレースに挑みます。
続いては三阪さんと庄子さん。
彼らは頸髄損傷の当事者です。
お二人とも普段から手動装置(足での操作が難しい方に向けた手でアクセルブレーキの操作ができる装置)を用いて車の運転をしているため、そちらの機構をゲーム用に落とし込んだレバー式機器を用いて車を運転しています。
最後は太田さん。
彼は先述のように元々レーサーとしての経験があるため、先程三阪さん、庄子さんが使用していたジョイスティックに、オートマ操作ではなくシフトボタンを組み込んだマニュアル操作が可能なボタンを組み込んでレースに挑んでいます。
イベントでも安定感のある走りを見せてくださいました!
実際に対戦していただいた方からは、
「『同じ土俵で戦う』ということを体感できました」
「こういった形でのeモータースポーツのイベントで、今後とも一緒に盛り上げていきたいと思います」
というコメントをいただきました。
以上がイベントの全容となります。
メディア掲載
今回のローンチイベントの様子が毎日新聞と日刊工業新聞に掲載されました!
毎日新聞:https://mainichi.jp/articles/20240719/k00/00m/050/110000c
日刊工業新聞:https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00718289
それぞれ有料記事となっておりますが、会員の方はぜひともご覧ください!
終わりに
TECHNO eRACINGはただeモータースポーツに挑むだけではなく、
障害のある方(特に肢体不自由のある方)が今まで参加できなかった領域に、
様々な支援技術や企業・団体との共創活動を通じて参加出来るような社会づくりを目指した活動をしていきます。
このムーブメントの持つ多様性への理解の発展や、社会的包括(インクルージョン)の意義がたくさんの方々に伝わるよう活動を続けて参りますので、
ぜひ今後ともご注目いただけたらと思います!
公式Xアカウント:https://x.com/TECHNO_eRACING
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