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【回顧】アニメちゃんに会える国を振り返る

2024年5月30日、しぎのあきら監督が逝去されました。御冥福をお祈り申し上げます。監督の代表作といえば「超攻速ガルビオン」「おそ松くん(1988年版)」「からくり剣豪伝ムサシロード」など様々な作品を手掛けられましたがその中でも異色中の異色作、「アニメちゃんに会える国」をご存知でしょうか。

2016年10月7日にoso氏の著作「oso的 キノコ擬人化図鑑」を原作とするアニメ"森の妖精 キノコの娘"の宣伝番組として放送開始したこの番組は、迷走しながら2017年6月26日まで3クールの間放送されました。
この後森の妖精キノコの娘が無事放映されたならハッピーエンドなのですが、番組が終了した後もアニメ化についての音沙汰はないまま現在に至ります。そんな伝説の番組を、今回は振り返っていきましょう。

豊かな自然に恵まれ、いにしえより栄えた美しい国、日本。
その国は今、アニメ王国と呼ばれている。
そこに、住んでいるのは人間たちばかりではない。
日本には、本当にアニメが住んでいるのだ。
ここにも、そこにも、あなたの街にも…動物園にも!そして森の中にも!
妖精世界からリングを抜けてやってきた、アニメちゃんたちが生きている!
私たちは何かをきっかけに、
その場所へ通じる扉を開くことができるだろう…。
そう、ここは……
アニメちゃんに会える国!

1クール目:かろうじて宣伝番組の体をなしていた頃

開始当初はキノコの娘のダンスPVやキノコ料理コーナー、キノコの娘キャラとスタジオゲスト陣のクロストークなど森の妖精キノコの娘を宣伝するぞ!という気概を感じるコーナーが大半を占めており、本当に放送される雰囲気が漂っていました。カラオケコーナーは謎でしたが。(演歌百撰かな?)

2クール目:激しいテコ入れが視聴者を襲う

それは13話から始まりました。いきなり森の妖精キノコの娘の前日譚と称された"FOREST FAIRY FIVE"なるアニメが始まったのです。その上メインキャラの3人は1クール目にいた声優たちではなく、アイドルグループ・ふわふわが担当。初期のアフレコは最悪の出来でした。半笑いの演技見たことありますか?

もうひとつの地獄はキノコの娘キャラの一人であるマツタケの妖精・赤松かほりが町紹介をする"赤松かほりの旅コーナー"という新コーナー。行政の匂いを感じる構成でした…。
ちなみにみやき町編パートは佐賀県みやき町 ふるさと振興協会がyoutubeに上げているので当時の雰囲気を少し楽しめます(?)

料理コーナーが再開したときは心底ホッとしました……。(岩田シェフとサリオはアニメちゃんの良心)

3クール目:しぎのあきらやりたい放題

26話からはアニメパートが"妖精ランドむかし話"と名前を変え、キノコの娘たちによる日本昔話パロディが始まります。キャストはふわふわ達が続投していましたが、2クール目の時より成長を感じられました。

またしぎのあきら監督のライフワーク・恐竜少女ガウ子がアニメちゃんに参戦。前半のスラップスティックな作風から打って変わる後半のメッセージ性に富むポエジーな展開に視聴者は困惑しました。

そしてやけに長い自己紹介から始まるトークやキノコ縛りじゃなくなった料理パートや声優としても参加するしぎの監督など交え尺を稼ぎながらアニメちゃんに会える国は放送終了したのです…。

その後のアニメちゃん

森の妖精キノコの娘は冒頭でも説明した通り2024年現在も放送されていません。ガウ子ちゃんはNetflixでシーズン2も制作される程のグローバルなアニメになりました。

アニメちゃんに会える国はこのままロストメディア化してしまうのか…?

いえ、なんとニコニコ動画と楽天TVで公式配信されています!


あとニコニコ大百科の記事もかなり充実しているので見てください。私も参考にしました。


キノコの娘を放送できなかったアニメちゃんは何も爪痕を残せなかったのでしょうか。私はそうは思いません。劇中イメージソングを担当した上月せれな氏は現在も爆丸やデュエマの主題歌などコンスタントに活動を続けているし、料理コーナーを担当したBAR Naoraiは現在も営業中です。

それに視聴者の心には少なからずとも「あの番組なんだったんだ…?」という気持ちが残されているので、爪痕は残せたと言ってもいいと思います。
こんな形の番組は二度とないでしょう!二度あったら困る!!

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