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【ネタバレなし】『エルデンリング』の雑多な感想

『ダークソウル3』と『ブラッドボーン』は、友人に半ば無理やりにやらされつつもしっかりとどハマりしたゲームだった。だから、ちょうどそれらをプレイしていた頃に発表された、それらの開発会社であるフロムソフトウェアによる完全新作『エルデンリング』に興味を持つのは当然のことだったと言える。もちろん、発売日からプレイを始めた。

その後10日間、空き時間の全てをエルデンリングに注ぎ込む生活が続いた。僕自身一つのゲームに熱中することはそれなりに多い方だとは思うが、今回は程度が違った気がする。それぐらい奥深く、大ボリュームで、ものすごく面白いゲームだったというのがとりあえず一つのエンディングを見ての感想だ。まだまだ遊べる余地は残されているとは感じているが、とりあえず一区切りということで、色々と感想を書いていきたいと思う。「ネタバレなし」ではあるが、装備や武器の情報、序盤のボスなど軽度なネタバレはあるので、それもイヤな方は読むのをお控えください。


アクションについて

アクションの基本はソウルシリーズを継承しており、操作感は全く一緒と言っても良い。緊張感のある戦闘の面白さは変わらず楽しめた。しかし追加された要素もある。ガードカウンターとジャンプ攻撃だ。単純に駆け引きの要素が増えたと言う感じで良い変更だと思う。特にガードカウンターは常に盾を構えるいわゆるガン盾戦法の利点を増やしてくれた面もあり、ガン盾使いがちな自分にとってはありがたかった。

他に大きいのはジャンプが基本アクションに追加されたことである(今まではダッシュしながらスティック押し込みという超サブアクションだった)。これによって、段差を上がったり、隙間を飛び越えたりといった動きが容易になりマップの探索の幅が広がったように感じる。個人的に、今までの作品で「ここでジャンプできたらいいのに」と思うことも多かったので嬉しかった。後述の霊馬への騎乗状態ではこの恩恵がより大きくなっている。

祈祷などのいわゆる魔術も豊富で、いろんな戦法が取れそうなのだが、僕のキャラ性能は完全な脳筋だったので正直その良さを噛み締められていない。

また、戦闘においては遺灰についても触れておかなければならない。ボス戦などの特殊な条件下で使用することができ、FPやHPを消費することでNPCの霊を呼び出し、一緒に戦ってもらえるという要素だ。遺灰は強化することもでき、最大まで強化するとただならぬ戦力となる。本作のボスはこれを使うことを前提にして設計されているのではないか?と思う節もある。詳細は後述する。

ソウルシリーズのオープンワールド化

でも、本作で一番「すごすぎる」と思ったのは、ソウルシリーズやブラッドボーンなどの要素が、そのまま完全なオープンワールドに落とし込まれているということだ。極めて単純な話だが、それを完璧に実現していることが本作の面白さの核をなしていると思う。
元々ソウルシリーズの面白さには探索要素が大きく絡んでいたと思う。緻密に設計されたマップを、敵を倒したり隠し通路を探したりアイテムを拾ったりしながらうろつくことが独自の楽しさを生んでいるという側面は結構大きいと思う。
そんなマップが本作では単純にアホほど広いのだから、面白いのも必然というものだろう。無論、相対的にダンジョンも膨大な量となっており、冗談抜きで永久に遊べてしまいそうである。
実際、クリアを目指してプレイしていても、探索できる場所が無限に見つかるせいでメインストーリーがなかなか進まないと言うことは数知れなかった。


もちろん、単にマップを広くしているだけでなく、それに適応する形で追加された各種要素も、本作の魅力を高めている。地図、祝福の導き、そして霊馬などがそれにあたる。

地図

正直、ダクソ3やブラボの時点で「こんなにエリアが広いのになんで地図ないんだよ」と思っていたので、今回の地図の追加はありがたかった。多分、今回の広さで地図がなかったらいよいよヤバかっただろう。マップ全体で見て自分がどこにいるのかを知れたり、記載されている地形や建物を見て自分で目的地が設定できるなど、地図があるだけで快適性が格段に上がっていると感じた。後述の祝福もアイコンで表示され、選択することでクイックトラベルができるのも単純に便利(もはやオープンワールドでは標準かもしれないが)。しかし、地図の表記は古風で大雑把なものであり、細かなことは実際に行ってみないとわからなかったり、洞窟や建物の中などに関しては一切の情報がなかったりと、未知の場所を探索する楽しさはあまり損なわれていない。

祝福の導き

祝福は、簡単に言えばダークソウルシリーズにおける篝火と全く一緒の役割のオブジェクトであるが、一部の祝福からは進む方向を指し示す光の筋が伸びている。これに従っていけばその先にダンジョンがあり、そしてその奥には大ボスが待っている、というようになっている。
本作ではブレワイにおける「4体の神獣のところへ行け」みたいなクエストの提示がない。その代わりにこのような仕様が入っているわけである。これがなんというかとても丁度良い。だれかに「こちらに行け」と直接言われてるわけじゃないから強制感もないので一切従わず自由にうろついてもいいし、だからといってどこに行けばわからなくなったらそれに従えばゲームが進められる。これは絶妙なバランスだと思った。

この仕様に関して驚いたのは、ゲームの最序盤の部分である。
フィールドに出て最初に見つかる祝福からもう導きの光は伸びており、プレイヤーは「こっちに進めばいいんだな」とすぐ分かるようになっている。その道中は敵こそ多めだが序盤にふさわしくそこまで難しくはない。問題はその先にいるボス、「忌み鬼、マルギット」だ。これがまあめちゃくちゃ強い。自分は一応ダークソウル3とブラッドボーンを通った身だが、最初に対峙した時、勝てる気が全くしなかった。レベルは絶対に足りないし、攻撃モーションが確実に最初のボスのそれではない。自分に限らず、「よ〜し、このまま頑張って倒すぞ〜」と思う人は稀だろう。
おそらく、この一連の流れの意図はプレイヤーに対して「こいつにはまだ勝てないから別のところ行ってレベル上げなきゃいけないんだな」と思わせることにある。強大なボスという大きな目標をプレイヤーに提示して、他のエリアを攻略する間にもプレイのモチベーションを保たせる役割があるのではないだろうか。

霊馬

本作は心強い移動手段である霊馬トレントが序盤に手に入る。建物の中やその他特殊な場所では使えないというデメリットはあるものの、これが広いフィールドを駆け回る上で非常に良い働きをしてくれる。
まず、単純に速い。○ボタンでの加速などもあり、平坦なフィールドの移動のストレスが格段に減る。操作感もブレワイなどで少なからずあった「馬を手懐けてる感」はカットされているので、ただただ快適。(インタビューによると意図されたものであるらしい)
二段ジャンプが可能であることも大きな利点だ。二段ジャンプの活用を前提としたアスレチック的な地形も多く存在するし、険しい坂道を登ったり、城のバリケードを飛び越えるのに使えたりと重宝する。単純にアクションとしての楽しさも大きい。
フィールドの崖下に配置されている霊気流に乗って大ジャンプをし、崖の上に登ることができるのも便利な要素だ(気流に乗ってダメージなしで降りることも可能)。機能だけ見れば爆速のエレベーターなのだが、大ジャンプというアクションがとにかく気持ちが良い。
話は逸れるが、一部のボス戦を含むフィールド上での戦闘にもトレントは活躍してくれる。もちろん馬上から攻撃を繰り出すこともできるし、二段ジャンプで衝撃波攻撃を回避したり、ダッシュで突進を避けたりと、使いこなせれば中々に強い。あと、「馬を駆って戦う自分かっけ〜」と思える良さもある。

さらに逸れるが、自分の好きなキャラを作って自分に酔えるのはソウルシリーズ並びに本作の魅力だ。僕は終盤、巨大アリの外骨格の盾とサソリの針のナイフを持って「蟲の戦士」となっていた。ちょっとキモいね。


ボスについて

ボス多すぎ!!!!!
新たなダンジョンを見つけて探索すればその先にはまだ見ぬボスがいる……というのが続きすぎてちょっと怖くなるぐらいだった。あくまでもプレイした所感ではあるが、いわゆる使い回し的なボスが少ない(いないわけじゃないけど、全体から見ればわずかなんじゃないか)。それ故に毎回新鮮な気持ちでボスに挑めるのはとてもよかった。
強さについてだが、全体的にちょっと強すぎなんじゃないかと思うボスは多かった。先ほど書いたマルギットはまだ優しい方で、特に後半は、「強力な遺灰があったから良かったようなものの、もし遺灰を縛ってたらと思うとゾッとする」みたいなボスが続く。そういった点から、本作は今までの作品と比べて遊びやすいものの、フロム作品初心者にも勧められるかというと微妙なところがある。

世界観やデザインについて

本作の世界観は、今までの作品とはかなり異なったものとなっている。ダークソウルには比較的近いかもしれないが(ネズミやバジリスクなど、ほぼデザインが共通の敵モブもいる)、光を失った陰鬱さのようなものが、本作の舞台「狭間の地」にはあまりない。
とはいえ、ダークファンタジー的な敵のデザインのおぞましさは全く変わっていないところである。正直嫌悪感しか抱かないようなグロテスクな敵もいるものの(冥府のマスターハンドみたいなやつがいる)、一部ボスの圧倒的なカッコ良さ、デザインセンスの高さには他にない魅力がある。特に、オープニングムービーで言及される英雄たちは、皆いろんな意味で強烈なビジュアルで立ちはだかってくる。特に、ボスの形態変化時のカットシーンの素晴らしさは今作にも健在である。

個人的に刺さったのが、宇宙的エネルギーを行使する敵のデザインと攻撃の数々だ。隕石や星、宇宙そのものをモチーフとしたそれは独特の魅力がある。自分が好きなフロム作品であるブラッドボーンにもそういった要素があったので、それが取り入れられているという観点でもまた良さを感じる。

また、本作ではドラゴンなどの幻獣を含めた動物型のボスが多くなっていて、生き物好きの自分にとっては嬉しかった。動物やドラゴンのデザインには人型ボスにはない魅力がある気がする。その逆も然りだけど。

ストーリーについてはまだ読み解けていない部分も多いのであまり触れないでおく。しかし、あまり多くを語らず、NPCとの会話やイベント、アイテムのフレーバーテキスト、ムービーの演出などからプレイヤーに能動的に読み解かせるという姿勢は全く変わっていない。それでも、「あ、こういう目的で主人公は動いてるんだな」と分かるぐらいの最低限のことは分かるようになっているので、ゲームを楽しむ上で支障はない。



まとめのようなもの

乱暴にまとめるなら、ただでさえ面白かったソウルシリーズの3Dアクションとしての骨太なゲーム性に、オープンワールドの要素を最高の形で落とし込んだことによって、超絶ボリュームの超絶おもしろゲーが爆誕してしまったという感じ。おまけに奥深いストーリーや独特なデザインの魅力は据え置きか、それどころかパワーアップしているようにすら感じられる。相変わらずの高すぎる難易度と描写のグロテスクさに耐え得るのであれば、是非ともおすすめしたい作品である。


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