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Appleは異形パッケージを使いこなす

Apple Watchいいですよね!!初代Watchから6世代、毎年買い換えています。Apple Watch歴6年です。ユーザーとしての6年でもありますが、分解歴も6年です(笑)

Apple Watch、、、たくさん分解しました。毎回毎回すごいなあって感心しながら分解させていただいております。今年はきっと秋にWatch7が出るので分解、そして解析が今から楽しみです。

Apple Watchには初代から内部にSとネームされた基板が入っています。

Silicon In Package(パッケージの中にたくさんのシリコンが入っている)という実装方法があって、SIPと呼ばれるんですが、そのSIPのSをイニシャルにしているんです。現在最新のWatch6には「S6」が入っています。

上の写真の右側がS6です。

図2 - コピー (4)

S6の裏側は端子と一部チップが置かれています。端子はスピーカーや電池、マイクロフォンやディスプレイ、生体センサーにつながっています。チップはGPSだったり、UWB通信だったり。

図2 - コピー

これはS6の表です。モールドで覆われていて中身は見えません。

でもやり方は書かないですけど、テカナリエではキレイにモールドを外します。でもチップの背中しか見えないんですけどね(笑)

で、テカナリエでは全チップをさらにS6から取り外して、1つ1つ素性を明らかにしています。

図2 - コピー (2)

話しは変わって、この春にカシオ計算機さんとアシックスさんの共同開発のモーションセンサーって製品が発売になりました。たくさんの種類のセンサーと通信マイコンが載っている、すごい製品です。

図2 - コピー (3)

右はカシオ/アシックスのモーションセンサーの全チップ開封と配置復元です。左はApple Watch6の全チップ開封と配置復元です。

どっちがいいとか、すごいとか言うつもりはないんですが、Appleは基板の裏も表もチップが配置されていて、チップ間の距離はものすごく近い。一方カシオ/アシックスの方は市販チップを使っていて、パッケージを基板上に並べているので(開封写真の前は)黒い半導体パッケージが並んでいるだけ。

チップ同士の距離はApple Watchに比べると平均で5倍ほど離れているんです。5倍を大きいと見るか、誤差と見るか・・・

ま、実際にはすごく大きな差なんです。

半導体メーカー時代、ほんの少々配線が長いだけで不良になったり、電力が大きくなったり、それで対策だけで何か月もかかったなんて経験たくさんありましたから・・・・。っていうか所詮設計って機能と容量の最適化なので容量を決める距離は一番大事ですよね!!!!

昨日も仕事していたら電話があって

「某メーカーの半導体が今、不良で困っている。回路やデバイスに詳しいテカナリエだからアドバイスとかコンサルやってほしい」みたいな内容だったんですけど不良解析の仕事を受けようか、今悩んでいるところです。回路や基板見てパッと原因分かる場合もあるので・・。

図2

Apple製品は今や不思議な形をした異形半導体パッケージのパレードです。通常半導体のパッケージは黒い四角い箱。端子はQFPやQFN、BGAなんかが多いんですが、Appleは上図のような異形パッケージが多いんです。

最終的な製品の形状に合わせているんです。左2つはAirPod Proの中身。

この中に、いろいろな半導体チップが入っているんです。テカナリエでは全部中身は解析済!!です。右の2つはApple Watch 6です。どちらも全部中身を解析し終わっています。

異形パッケージ、Silicon In Package

既存の黒い四角いチップを基板に並べて製品を作る。。。Apple製品や最近の中国製品から見るとすごく古いというか、普通だなって思ってしまうわけなんです。

ところでネット上のAirPodsやApple Watchレビュー読むと、中身見ないで書いている記事が多くて、

あれえええって内容や

思い込みのデタラメがたくさんあります。

中身のチップ見れば、AirPodsやApple Watchの真の姿、能力が分かるんですけどね。

ではまたねえ


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