Arista Networks(NYSE:ANET)

要約

Arista Networks(NYSE:ANET)は、2004年に設立された米国のネットワーク機器メーカーです。シスコシステムズ出身のジェイシュリー・ウッラルCEOらが創業し、クラウドネットワーキングソリューションに特化したイノベーティブな製品を提供しています。高性能でプログラマブルなデータセンタースイッチを主力とし、クラウドプロバイダーやハイテク大手を中心に強固な顧客基盤を持ちます。2022年の売上高は41.7億ドル、営業利益率は38.6%と高収益性を誇ります。

同社の強みは、(1)ソフトウェア駆動型のオープンなアーキテクチャ、(2)優れた製品開発力と技術力、(3)トップクラスの営業力、(4)強力な顧客基盤の4点です。一方、サプライチェーンの混乱や競争激化がリスク要因として挙げられます。

今後はクラウド市場の成長を取り込むべく、AIを活用したネットワークの自動化や400G/800Gイーサネットなどの次世代規格への対応を進めていく方針です。キャンパスネットワーク市場への本格参入やセキュリティ事業の強化にも注力し、トップラインの拡大を目指します。

企業情報

Arista Networksは2004年、米国カリフォルニア州サンタクララで設立されました。シスコシステムズでインフラストラクチャ事業を率いていたジェイシュリー・ウッラル(現CEO)とアンディ・ベヒトルシャイム(現チーフ開発者)らが創業し、ハイパフォーマンスでプログラマブルなイーサネットスイッチの開発に乗り出しました。

2008年に初の製品を出荷して以来、クラウドプロバイダーや大手ハイテク企業を中心に顧客基盤を拡大。2014年にはニューヨーク証券取引所に上場を果たしました。現在の時価総額は約300億ドルに達しています。

主な拠点は以下の通りです。

  • 本社:米国カリフォルニア州サンタクララ

  • R&D拠点:米国シアトル、バンガロール(インド)、バンクーバー(カナダ)、ダブリン(アイルランド)

  • 販売拠点:米国各地、欧州、アジア太平洋地域の主要都市

2022年12月末時点の従業員数は3,612人で、うちエンジニアが約3割を占めます。機動力を重視したフラットな組織が特徴で、イノベーションを生み出しやすい企業文化が根付いています。

トップマネジメントは以下のメンバーで構成されています。

  • CEO:ジェイシュリー・ウッラル

  • チーフ開発者:アンディ・ベヒトルシャイム -最高財務責任者(CFO):イタマール・フランク

  • チーフカスタマーオフィサー:アッシャ・シャー

  • 最高人事責任者(CPO):クリスティーナ・ジャネロ

大株主については、2022年12月末時点で以下の状況となっています。

  1. The Vanguard Group, Inc. (9.0%)

  2. BlackRock, Inc. (7.1%)

  3. Capital Research Global Investors (5.4%)

  4. AllianceBernstein L.P. (3.8%)

  5. Allianz Asset Management GmbH (2.6%)

事業内容

Arista Networksは、クラウドネットワーキングソリューションに特化したネットワーク機器メーカーです。主力製品はデータセンタースイッチで、通信事業者やクラウドプロバイダー、大企業のデータセンターに納入しています。高性能、高信頼性、プログラマビリティを特長とし、柔軟なネットワーク構築を可能にします。

事業セグメントは「製品」と「サービス」の2つに大別されます。2022年の売上高に占める割合は、製品が85%、サービスが15%でした。

製品セグメントの主な製品ラインアップは以下の通りです。

  1. Extensible Operating System (EOS):同社製スイッチの基盤となるネットワークオペレーティングシステム。オープンなLinuxベースのアーキテクチャを採用し、柔軟な設定やサードパーティ製アプリケーションとの連携が可能。

  2. 7000シリーズスイッチ:主力の高性能データセンタースイッチ。1Uサイズで最大96ポートの10/25/40/50/100Gbpsイーサネットをサポート。

  3. 7500シリーズスイッチ:大規模データセンター向けのモジュラー型スイッチ。シャーシあたり最大576ポートの100Gbpsイーサネットをサポート。

  4. 7280Rシリーズスイッチ:スパインスイッチとして利用される固定構成の高性能スイッチ。32ポートの100Gbpsイーサネットを搭載。

  5. 7170シリーズスイッチ:エンタープライズ向けのコンパクトなToRスイッチ。1Uサイズで最大64ポートの10Gbpsイーサネットを提供。

  6. CloudVision:ネットワーク運用を自動化する統合管理プラットフォーム。設定管理やモニタリング、トラブルシューティングなどの機能を提供。

サービスセグメントでは、保守サポートやプロフェッショナルサービス、トレーニングなどを手掛けています。

主要な販売チャネルは、OEMパートナーと販売代理店の2つです。OEMパートナーにはIBM、Hewlett Packard Enterprise、Dell Technologiesなどの大手IT企業が名を連ねます。自社の製品とAristaのスイッチを組み合わせてソリューションを提供しています。一方、販売代理店経由では、幅広い業種の顧客にダイレクトに製品を販売しています。

Aristaは創業以来、クラウドプロバイダーやハイテク企業との取引を深耕してきました。2022年の売上高に占める上位10社の割合は約47%に達しています。Microsoft、Meta、Amazonといった巨大テック企業がAristaの主要顧客です。近年は通信事業者や金融機関など顧客の業種を広げ、大口顧客への依存度を引き下げつつあります。

競合他社としては、Cisco Systems、Juniper Networks、Hewlett Packard Enterprise、Huaweiなどが挙げられます。シェアトップのCiscoとは技術面で差別化を図り、棲み分けを進めてきました。

業績動向

Arista Networksは高成長と高収益性を両立しています。2022年の業績は以下の通りです。

  • 売上高:41.7億ドル(前年比48.5%増)

  • 営業利益:16.1億ドル(同74.9%増)

  • 営業利益率:38.6%

  • 純利益:14.1億ドル(同62.0%増)

クラウド市場の拡大を背景に、全地域・全製品で高い成長率を記録しました。特に北米と欧州で大きく売上を伸ばし、大手クラウドプロバイダーの設備投資が業績を押し上げました。

セグメント別では、製品が前年比54.7%増の35.3億ドル、サービスが同19.0%増の6.4億ドルでした。400Gイーサネットスイッチの本格立ち上がりにより、製品の売上成長率が大幅に加速しました。

営業利益率は38.6%と前年の33.0%から5.6ポイント上昇。値引きの抑制や原価管理の徹底により、売上の伸び以上に利益を拡大させました。過去5年間の平均営業利益率は33.6%で、ネットワーク機器業界でもトップクラスの水準を維持しています。

直近の四半期業績は以下の通りです(2022年10-12月期)。

  • 売上高:12.8億ドル(前年同期比54.2%増)

  • 営業利益:5.0億ドル(同86.8%増)

  • 営業利益率:39.3%

主力の400Gスイッチの販売が好調で、売上高、営業利益ともに過去最高を更新しました。クラウドセグメントが牽引役となり、エンタープライズ、サービスプロバイダーでも二桁成長を遂げました。

2023年の業績見通しについては、売上高が約20%の増収、営業利益率は38-39%の水準を見込んでいます。クラウド需要の強さは継続するものの、サプライチェーンの制約などから成長率の鈍化が避けられない見通しです。ただし中期的には、クラウド市場の拡大を背景に年率15-20%の増収を目指す方針を示しています。

長期的な業績推移を振り返ると、過去10年間の売上高年平均成長率は27.3%に達します。この間、営業利益は年率33.6%のペースで拡大してきました。Aristaは製品面での差別化により着実にシェアを高め、クラウド市場の成長を取り込んできたと言えます。

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