ミラノスカラ座合唱団コンサート

ミラノスカラ座における聖金曜日の合唱団のコンサートがストリーミング配信されました。音楽がキリストの受難を我がことのように共感することのできる触媒となり、心に染み渡ります。この受難はもちろんコロナ禍と重なりますが、美しい音楽のおかげで悲しみや怒りは昇華され聴く者の心を洗ってくれます。悲劇も多分、同じ効用があるのでしょう。美しく悲しいフィクションは現実の暴力的な災いを回避する力があるのだとしたら、今こそそれが求められている時だと感じました。

スカラ座がオペラの殿堂なのは、なによりもこの世界一の表現力を持つ合唱団ゆえだと確信しています。ミラノのアンサルドという立ち稽古用の練習場に見学に行かせていただいた時に、ヴェルディのマクベス4幕冒頭の合唱を、カゾーニ先生が「それじゃ一回本気で歌ってみよう」とおっしゃって、間近で聴くことができました。繊細で正確な幅広い強弱のコントロールと、言葉の持つ色合いを的確に表現する技術、そしてパワフルな、お一人お一人がオペラ歌手の声の結晶、フォルティッシモでも決して割れることのない確実なハーモニー、今でも忘れられない最高の経験です。

ミラノスカラ座のYouTubeチャンネルで無料配信されていますのでよろしければ以下よりご覧くださいませ。


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