Vittorio Grigolo (ヴィットリオ・グリゴーロ) ミラノスカラ座リサイタル

いやー、面白かった!
いきなりアンコール最終曲から書いてしまおう、名付けて「一人三大テノール」のオーソレミーオ!そんなにソの音伸ばさなくても〜、しかもたいがい伸ばしてからのトリルですか!?どんだけ〜?と言いたくなるグリゴーロ節に思わず大笑いしてしまった!


スターテノールとしての自分が大好き、なナルシストぶりが随所にうかがえる音楽作りは、イタリアオペラの殿堂スカラ座で歌うには自由すぎるものがありましたが、それに対して何にも言わずに「どうぞお好きに〜」と従うヴィンチェンツォ・スカレーラ氏のピアノ伴奏のおかげで(いや、少しは物申した方がいいんじゃない?という曲もありましたよ)このリサイタルを成立させていたといえます。
本人による楽屋トークも立て板に水、ノリノリで、少し鼻にはつくものの(すみません!)天真爛漫さで乗り切っていましたね。


素晴らしいティンブロ(響き)に加えてちょっと哀愁めいた色使いができるのがこの方の声の特徴かな、と思いますが、実はフランス物にばっちりハマる!おそらく世界中が気づいていたのでしょうが、私は今回知りました!カルメンのホセの「花の歌」といい、ウェルテルといい、音楽的にもゆるやかな伸び縮みがちょうど声の色の揺らぎにハマって理想的!
音色をまとめようとして音楽的にはおとなしくなってしまうこともあるフランス語オペラの曲もこのくらい自己主張してくれると引き立つな〜と感心してしまいました。
ロイヤルオペラ日本公演のウェルテル(セクハラ騒ぎで途中から出演中止になった?)、観てみたかったなあ。


良くも悪くも個性的なスター、その活かし方は劇場はもちろん私たち聴衆にもかかっているのかも?大変に図々しいことを承知で申し上げますと、この声、甘やかしすぎずに長生きさせたいものですね!!

ミラノスカラ座のYouTubeチャンネルでは配信アーカイブをご覧いただけるようです。よろしければぜひ!


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