みさきちが来てわかったこと

家族が増えた。
猫の岬吉である。
みさきちと呼んでいる。

雨がしとしとと降るある日
大隅半島の九州本土最南端
佐多岬から帰路の途中に立ち寄った
FamilyMartにそれは居た。
大声で母親を探しているが他の個体はいない。
内心少しだけ誘拐でもするかのような気持ちで
まだ小さな子猫を拾うことにした。
こんなおじさんが猫を拾っていいのだろうか。
いまだに半信半疑である。

普通の労働者の主は
週6で1日8時間労働である。
朝7時に家を出て、夕方18時に帰ってくる。
その間の10時間完全に家を留守にしている。
猫は11時間留守番をしなければいけない。
人間の子供ではない猫だが
11時間の放置にネグレクトのような虐待を感じてしまう。
猫が一匹で家にひとりでいなければいけない。

もし万が一のことがあっても誰も助けに来ない。
ケーブルが首に引っかかったり
重たい何かが落下してきたり
毒になるようなものを誤食したり
死に直結するようなことは簡単に起こる可能性がある。

これは日本人のプロレタリア、プロテスタントは
子どもを育てることはできない禁止に等しい。
労働者階級に子どもを産み育てる資格はない。
もし子孫を残したければ労働をやめて経営者になる他ない。
派遣社員、パート、アルバイトも
時給700円前後で働いて、社会保険料を引かれて
健康保険、雇用保険、年金、介護保険、労災保険
会社が社員を雇うために負担しなければいけない負担金とコストがかかる。
どれだけ安くても、労働者の賃金は経営者のほぼ言い値で
交渉の余地は皆無。交渉したとてせいぜい5円10円上がれば手柄で
その後増えることは難しい。
それくらい日本人の労働者の価値は低く見積もられていて
これを変えることは難しい。

人生の貴重な財産である時間を一日8時間
休憩時間と通勤時間を合わせると10時間前後を
会社という共同体に提供し続けなければ生きられない。
残された14時間の中で人生を活動しなければいけない。
普通に生きようと思うと寝る時間を削るしかない。
もし子どもがいれば、寝る時間は4時間2時間は当たり前になってくる。
睡眠時間4時間で、活動し続ければ気が狂うのがまともな人間である。

ただ家に猫が来ただけだが
日本の暮らしが如何に破壊されているのかがよくよくわかった。
ひとり独身で生きていれば不自由を感じないが
子どもを産み育てるような余裕は一切ない。
ましてやシングルのワンオペ子育てなど
無理ゲー中の無理ゲー。そもそもゲームとして成立しないレベルである。
それを感じた。

猫は人類と共存して4000年以上経っている。
ヒトよりも早いサイクルで世代交代が行われるので
ヒトの暮らしに合うように進化してきた。
その人と暮らす愛玩動物としての生き物の能力を感じます。
素晴らしく飼いやすい生き物です。
畜産の牛豚鶏も人が飼いやすいように進化している。
人間社会を支えるため、共に寄り添い共に共栄している関係にある。
そんな素晴らしい生き物がいることで
学び感じることが沢山あります。
そこがおもしろい(興味深い)です。

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