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全国地紅茶サミット代表の藤原一輝さん、赤須次郎さんにインタビューしました

追記:TOKYO TEA BLENDERSのサイト内に詳細なインタビュー記事を掲載しました。「全国地紅茶サミットのあゆみ ~藤原一輝様・赤須治郎様インタビュー」


地紅茶/和紅茶のことをもっと理解したいと思い、茶農家さんを訪問したり、オンラインインタビューをさせて頂いたりしてきました。

個々の生産者さんの取り組みを聞いている中で、そもそもどのようにして地紅茶/和紅茶の生産が広がっていったのか興味がわいてきました。

そこで地紅茶/和紅茶の産業の全体像と今後の展望を学ばせて頂くために、全国地紅茶サミット世話人会代表の藤原一輝さんと、赤須次郎さんをオンラインインタビューさせて頂きました。

藤原さんは地紅茶/和紅茶の教科書といえる『ニッポンの地紅茶<完全ガイド>』を監修されています。お二人とも地方創生のプロデューサーであり、インタビューをしている中でもさすがとうならされる切り口と言語センスでした。

インタビューには東京大学の紅茶同好会KUREHAと駒澤大学紅茶文化研究会、中央大学の紅茶同好会にも参加頂いて一緒に質問したり感想を話して頂きました。若い層に地紅茶/和紅茶を広めるには、直接彼らに話を聞いてもらって感想を聞くのが一番だと思っています。

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1.地紅茶と和紅茶の違い

実は「地紅茶」は藤原一輝さんが、「和紅茶」は赤須次郎さんが名付け親です。

料理でいうと地紅茶は郷土料理、和紅茶は和食というワードが当てはまります。地紅茶はより地域に根差した意味合いがあり地酒や地ビールと並びます。一方、和紅茶は和=日本のイメージで日本の紅茶のイメージがわきやすいネーミングです。

もうひとつ、国産紅茶と呼ばれることもあり、どちらかというと国策で作った紅茶、日本産の紅茶というイメージがあります。

2.なぜ地紅茶/和紅茶が1990年代に復活したのか

日本で紅茶作りが始まったのは明治初期です。明治政府がお茶の輸出を拡大するため海外の紅茶作りを学び始め、1877年に紅茶の伝習所を日本各地につくり生産量も拡大していきました。

しかし、1971年の紅茶輸入自由化により海外の高品質で低価格な紅茶が自由に国内で販売されるようになり、日本の茶農家は紅茶を生産しなくなっていきます。

その紅茶が復活したきっかけは、1979年に大分県の平松守彦知事(当時)が提唱した一村一品運動が全国に広がり、1990年代に全国で同時多発的に生産者さんが地域特産としての紅茶作りを始めたことにあります。

特に村松二六さんのように、若いころに伝習所で紅茶作りを習っていた方が製法を復活させて全国に広めていった経緯があります。

3.全国地紅茶サミットのはじまり

鳥取にいらっしゃる藤原さんと金沢の赤須さん、お二人とも地方創生のプロデューサーでありプロフェッショナルです。お二人が知り合うきっかけになったのは赤須さんが視察で藤原さんがいる鳥取を訪れた時だそうです。

既に藤原さんは日本の茶葉を使った紅茶作りに取り組んでおられ、紅茶のお話や茶園でのイベントを通じてお二人は意気投合していきます。

最初は”サミット”という大規模なものは想定しておらず、生産者さんの製造方法の情報交換の場として2002年に鳥取県名和町でシンポジウムが開催されました。

4.地紅茶サミットがブレイクしたきっかけ

地紅茶/和紅茶の生産者さんによる情報交換の場であった地紅茶サミットですが、一気に拡大するきっかけとなったのが2010年に開催された「第9回全国地紅茶サミット2010in静岡市」です。

お茶の都である静岡で、これまではあまり目立たないように紅茶作りをされていた生産者さんたちが本サミットをきっかけに表立って紅茶作りに取り組むようになります。

毎年、各地持ち回りで開催される地紅茶サミットですが、生産者さんの情報交換だけではなく、地紅茶に興味のある購入者と生産者の接点の場としても拡大していきます。いまや数千人が集まる大規模なイベントになっています。

5.地紅茶サミットが残すレガシー

今や全国各地の開催地で数千人の動員をほこる全国地紅茶サミットですが、その分、その開催にあたっては相応の準備も必要になってきました。

大規模なイベントですので運営メンバーの結束も堅くなり、イベント終了後もなんらかのレガシー(遺産)を残したいという想いも強くなります。

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2017年に全国地紅茶サミットが開催された水俣では今でも年に一度紅茶イベントを開催していますし、高梁では高校生との定例紅茶イベントが開催されるようになっていきます。

2020年の地紅茶サミットin檜原(東京)以降にオンラインお茶会が続いているのも全く同じ現象といえます。

なお、2019年には地紅茶サミットはグッドデザイン賞を受賞し、地域コミュニティへの貢献が広く知られるようになってきています。

6.地紅茶が世界遺産に!?

藤原さんは紅茶で世界平和、最近では宇宙平和を提唱されています。また、地紅茶を世界遺産にするための活動を始めています。なんだか突拍子もないことのようですが、お話を聞いているととても可能性を感じました。

2014年には富岡製糸場と絹産業遺産群が世界遺産に認定されました。生糸が明治期の日本の輸出の柱であっただけでなく、世界の生糸の産業発展に貢献したというのがその背景です。

しかし、その時期に生糸と並んで日本の輸出の柱だったのが茶であり、中でも西欧に売るために日夜研究されたのが国産紅茶だったわけです。

日本のお茶の歴史を紐解き、世界に与えた影響と文脈を整えれば、なるほど世界遺産も現実的に思えます。あとは、関係する方々の世界遺産登録に向けた本気度だけが問われるとのこと。


インタビューをさせて頂いて、本などで知った情報では曖昧だったことを確認したり、その時々の空気感まで感じることができました。地紅茶/和紅茶のレジェンドに直接お話を伺う貴重な機会になりました。

詳細は学生さんにまとめてもらうとして、インタビュー概要を上記のとおり書き記しておきます。

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