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岩永製茶園さんを訪問しました(和紅茶スタディ2021年2月)

TOKYO TEA BLENDERSのインタビューのため2021年2月に岩永製茶園さんを訪問しました。詳細はTOKYO TEA BLENDERSサイト内に近日掲載予定です。

岩永製茶園のベニヒカリ ファーストフラッシュは、2020年のプレミアムティーコンテストで最高峰の5つ星に輝きました。2019年は岩永製茶園の百年茶樹が三ツ星に輝いています。

このように国内トップの和紅茶として認められる岩永製茶園ですが、このご時世にあってホームページすらなく、一般の和紅茶ファンにとっては”正体不明”の状態でした。しかも、母と娘の二人三脚で製茶をしているということでミステリアスな雰囲気すら漂っています。

地紅茶サミットの伝手をつたって岩永製茶園の門内さんに連絡をとり、茶園を訪問させて頂きました。

熊本県の馬見原へ

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あまりに謎に包まれた茶園さんだったので、ネットも通じないような山奥のポツンと一軒家を覚悟していたのですが、目的地に近づくにつれて趣のある街並みで賑やかに。

岩永製茶園のある馬見原は熊本と宮崎の境にある宿場町として栄え、「儲けたければ馬見原に行け」と言われたほどの活況を呈した街だったのです。

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県境にある茶畑

馬見原商店街から少し奥まったところにある岩永製茶園に到着して、玄関で門内さんにご挨拶してまた驚かされます。

商店街から入ってきたので、茶園はまた別のところにあるのかと思っていたのですが、なんと家屋をくぐり抜けると息を飲むような美しい茶畑が広がっているのです。

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この週は前々日に大雪が降って一面が雪化粧だったようですが、訪れた日は10℃を超す陽気な天気で、茶葉がキラキラと輝いていました。

目の前にある五ヶ瀬川を挟んであちらはもう宮崎県です。

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到着して早速茶畑のご案内を頂きました。

謎に包まれている岩永一号

地紅茶サミット以降続いているオンラインお茶会で茶畑のお話はうかがっていましたが、実際に拝見すると聞きしに勝るものがあります。

特に気になっていたのが、岩永一号の茶樹列です。両サイドをやぶきたにかこまれて、その岩永一号の2列だけが黄緑色に映えています。

その土地の水、空気、気候に最も最適化されて育った在来種が、どういう基準なのかお父様によって「この在来種だけは特別な味がする」と、より分けされていた奇跡の茶樹です。

既に他界されているお父様にはどういう判断だったのか聞くこともできず謎のままです。丁寧に摘まれた岩永一号は今では紅茶にのみ使われており、やわらかい香りと甘味のある特別な和紅茶に仕上がっています。

岩永製茶園の空撮

今回のツアーに合わせて直前にJDI MAVIC MINI2のドローンを購入。東京ではテストフライトをする余裕も場所もなく、そのまま持ってきていました。

岩永製茶園での空撮が初飛行となりました。風が強く不慣れなので、ぎこちない撮影ですが、もっと高くまで飛んで馬見原の全体像をおさめればよかったと悔やまれます。

美しい茶畑の様子の一端でも感じて頂けるのではないでしょうか。

レトロ感あふれる製茶工場

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門内さんに製茶工場で緑茶と紅茶を作る工程と道具についてご案内頂きました。お父様が残された器具を大切に使って丁寧に製茶されています。

お父様が使われていた工具など一式をそのまま残されている一角もあり、昭和37年の製茶品評会で一等賞をとった職人の魂がその場に宿っているかのようです。

岩永製茶園の歴史

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茶畑と製茶工場をご案内頂いたあとは、家屋内にご案内頂いて、茶畑が見渡せるテラスで、門内さんから入れて頂くお茶を飲みながら茶園の歴史を伺いました。

祖父の代に「これからは農業の時代」として土地を購入し、お父様の代の昭和30年代に林業兼茶業として岩永家のお茶作りが始まります。門内さんが小さな頃はにわとりやうさぎ、ヤギもいたそうです。

お父様がご健在の頃から紅茶作りに興味があった門内さんですが、お父様は紅茶のにおいが緑茶に移るからと紅茶作りは禁止していたようです。

門内さんが紅茶作りに目覚め、現在のプレミアムティーコンテストで上位入賞する過程は別途まとめて掲載させて頂きます。

番外編

今回の私たちの訪問を門内さんは屈託のない笑顔でとても親切に迎えて頂きました。というより、訪問する前から、八代のホテルに泊まっていると聞くや、道すがら訪問すべきお勧めスポットをたくさん教えて頂きました。

江戸後期に建築された霊台橋。

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こちらも同じく江戸末期の1854年に建築された通潤橋。真ん中から放水されるそうです。

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江戸時代にあって、山奥の河川にこのような大規模な橋を建築するとは、当時から熊本の技術力が高かったことを感じさせてくれます。慌ただしい訪問になりましたが見学できてよかったです。

ランチは、門内さんのご案内で宮崎県の五ヶ瀬ワイナリーへ。ワイナリーのワインで煮込んだハンバーグのバーガーを頂きました。

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ドリンクバーには宮崎茶房さんや五ヶ瀬緑製茶さんのお茶がならんでいます。

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夜は馬見原商店街にある夢屋さんに、門内さんと宮崎茶房の宮崎さん、坂本園の三男の坂本さんが集結頂きました。

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とっても美味しい居酒屋さんで、和紅茶談義ですっかり深夜まで長居してしまいました。

なお、当日は満室でしたが、宿もあるようです。

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翌朝早朝に訪問した弊立神宮。

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神宮の奥の小道を下っていくと・・・

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こちらには確実に、人知の及ばない神聖な何かが存在していることを感じさせられました。

そういうわけで、ミステリアスだった岩永製茶園を訪問することで謎が晴れるわけではなく、ミステリアスである理由がわかったというのが正直なところです。

太古からの大きな力を感じさせる自然環境と、お父様が大切に残された茶畑で、これからも独特のやさしさと甘味を兼ね備えた和紅茶を作り続けて頂けるのだと思います。

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