市川S_過去5年

市川ステークス レース展望

中山ダート1800mの3勝クラス、市川S。
昨年までは「北総S」として準オープンのハンデ戦として行われていたレース。今年から別定となり3勝クラスとして新規スタートした形式。

まず3勝クラスとしての中山ダート1800m「市川S」の過去5年のラップタイム。F2にミニマムラップが存在し3F目で大きくペースダウン。
大抵はこの2Fのラップが3F目にも引き継がれ、残り5ハロンの持久戦となるのが中山ダート1800mの特徴。

スタートして1角入りし隊列が出来たところでペースダウン。
距離が1800mと言うこともあり、実は京都ダート1800mと似た傾向にある。
勿論ダートの深さなど違うので中山の方が時計が掛かり気味になるが、大枠で考えると京都と中山ダート、非常に似たラップ推移を描く。

さてまず武田の狙い馬。
それはダノンロイヤル(牡4歳 栗東千田厩舎)
先週の京都での花園Sを除外。
出てくれば間違いなく勝ち負けと考えていただけに、除外となりショックが隠し切れなかった武田。だが次週の市川S(3勝クラスのダート1800)が中山にて行われると分かった。もしここに登録がってくれればと今日まで心待ちにしていたが、ズバリ登録有でした。

ではなぜこのダノンロイヤルが狙えるのか。
その種あかしを一つ一つしていきたい。

冒頭のグラフは過去5年の市川S(昔の北総S)のラップタイム。
赤太線が過去5年の平均値。
当然年ごとにラップ推移のバラツキは有るが、基本は2F3Fでミニマムラップ。比較的コーナーがキツイ中山、スタート直後の先行争いを終え1角入りして隊列が出来たところでペースが落ちるのは言うまでもない。

この傾向は京都ダート1800mと似ていて、どちらも同じ理由でペースダウン。また右回りも同じで中山・京都コースはダートならば非常に似たラップ推移を描くことになる。

赤線が過去5年の3勝クラスダート1800m
オレンジがダノンロイヤルが前走の休み明けを勝ち上がったレースのラップ。

まるでそっくりなこの波形。しかもレースを作ったのはダノンロイヤルで、この波形を刻んだのはすべてこの馬。ほかの馬に引っ張られて刻まれたラップでは無く、道中並ばれたりしつつ相当のストレスを受けて刻んできたラップタイムであるという事。
休み明けのレースで自ら作り上げたラップで勝ち上がれるのは余程中間の状態が良化されてのものと推測する。

この北国新聞杯ではラスト1F、2着以下を大きく突き放してのもの。
これを見限り、この馬にとって3勝クラスのレースはただの通過点にしかないはず。おそらくオープンレベルの才能と強さが有り、先々週の晩秋Sを楽勝したアポロテネシーと同じくらいの器だと感じている。

アポロテネシーの場合は完全なる左回り巧者+東京2100ダートのエキスパートであるが、このダノンロイヤルは右回りの1800mのエキスパート。
いずれは重賞を勝ち負けするような、そんな両馬である。
どちらも共通しているのは「先行して尚且つ競られても全く問題にしない」というメンタルの強さ。大半の逃げ馬は競られた時点でどんどん体力も消耗するしストレスがかかりそこで燃え尽きてしまう。
だがこういったストレスのある競馬をして、怯むことなく競馬ができる馬は本当に強いと感じる。

この両馬の強さは「ストレスがかかっても問題にしないメンタルの強さ」が最も優れていることなのだ。おそらく絶対的スピード差で好位につける形にはなるが、メンタルが強い馬は中段や後ろからでも十分に力を発揮することができる。
もしこれが望めなければ一般の昇級初戦馬としか見れぬため、どんな強い勝ち方をしても推奨はできないが、このダノンロイヤルに関してはアポロテネシー同様の強さを感じている。

そしてこの中山1ダート1800mに適応能力が圧倒的に高い事をお分かりいただけたと思うので、今回出走する他の有力馬達の前哨戦と比較してみたい。

市川S STP

赤太線が市川S(旧北総S)の過去5年平均
オレンジ太線がダノンロイヤルの勝った京都1800m2勝クラス(北国新聞杯)となる。この時のダノンロイヤルのスピード指数は「109」にて走破したことを挙げておく。

前走の北国新聞杯記録したスピード指数109、ストレスの高い中で出された事は間違いない。休み明けのレースでこれだけ走れた事は大きな成長を成しとけた証しだと見ている。
今回中山コースで京都より深い砂。各馬の前哨戦のラップタイムと比較しても北国新聞杯を制したレース中盤のラップタイムは、中山コースでもっと開花するのではと見ている。なのでこのダノンロイヤルに、武田は大きな期待を寄せているのだ。

さて今回1番人気が予想されるレッドフレイ(ルメール騎乗予定)の前走が平城京S。出遅れた事も有るが果敢にハナを奪ったがゴール前さされての3着。
ただこのレースのラップ推移をみると分かるのだが重馬場ではあるがレースのマックスラップが5F目に存在する。通常であれば3F目か4F目となるが「5F目」というのがポイント。前半のラップも良馬場のラップと大して変わらないのに5F6Fが非常に遅い。これは逃げたレッドフレイが極力スローに落とそうとルメールが意図的にペースダウン。これが出来たのはこの時点でレッドフレイの前に出るに出れない各馬の力関係があったから。
有力馬はみな追い込み一手の後方組。レッドフレイの前に出てしまえばペースが上がり丸ごと飲み込まれる。これを分かっている逃げるルメールはあえて極端なペースダウンをしたのだ。
だがそれをしてもゴール前軽く最後方の馬に交わされた形に。
ちなみにこの時のスピード指数は「96」である。
レッドフレイは中山ダート1800mを1勝クラスで勝ち上がっている。この時は大外枠だったのでハナを切れぬ展開も我慢強く競馬をし勝ちきっている。この時にスピード指数「108」を記録しているだけに中間の調教を含むデキに注目する一頭。ただ前走の競馬を見る限り3勝クラスでの前半からのスピードの違いに対応できるかが大きなポイントでもあると感じる。
あまり大きなストレスの中で競馬をしたことのない同馬、このクラスで前半から揉まれたり突かれるような競馬をした場合、意外とモロイかもしれない。人気を考慮するとあくまでも抑えの候補である。

続く人気がシロニイ。個人的にはこの馬の大ファンではあるのだが。
休み明けを叩き今回。どの位置で競馬しても決め手が無いのがこの馬の特徴。そこそこの成績は残すものの決め手不足は否めない。今回2回目の中山参戦、どこまで良化しているか。前走のスピード指数は「104」となる。
ただ1年以上前に京都1800で「111」を記録したことがあるだけに、中間の気配次第では馬券内も考えるべきか。

3番人気予想のグラスブルース。右回り巧者。
前走中山でこのクラスを2着しているがスピード指数は「99」。
追い込み一手なので前崩れの展開待ち。
東京開催を全休しての中山出走も使いつつ良くなるタイプ。中間の調教内容に注目している。

あとは今週の最終追い切りを見て。各馬の中間の状態を見極めたい。
月曜現在のネット競馬での予想オッズでは13番人気の48倍となっているが、さすがにこれは無いはず。だが当日は最終的に7.8番人気で15~20倍程度のオッズは付くと見ている。であれば複勝でも4,5倍。
相手関係を考慮して連系馬券も良いかもしれないが、自分はおそらく単複。

これだけの人気薄馬を大きく勝負できることはそうそうない。
おそらく今年一番のスーパーヒットになる予感もかなりある。

滅多にないチャンスのはず。
大きく勝負したい。
2019年度の総決算は有馬記念では無く、ここになるかもしれない。

では。

サラリーマン馬券師の武田優駿。 ラップ分析を基本としてハイレベルのレースで好走した馬を皆さんに伝える事を宿命と考えています。人気薄馬の激走を見抜く事に全身全霊で挑戦しています。