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過去の日本ダービーで学んだこと

こんばんは、よすーけです。本日は2024年5月23日。いよいよダービーの枠順が発表され、XのTLがにわかに熱を帯びてきている時です。無敗の皐月賞馬ジャスティンミラノが想定1人気、牝馬ながら皐月賞に続き参戦を表明したレガレイラが想定2人気となっています。どんな結果が待っているのでしょうか。

私は2008年、ディープスカイのダービーの年から競馬を始めたので、今年が17回目のダービーになります。そこで、過去16回のダービーでの失敗談(ごくまれに成功談)を交えつつ、予想に気を付けたいことについて簡単に発表していきたいと思います。エビデンスを出さない(出せない)ものや明確に相関関係を主張できない事例もありますが、「これ実際どうなん?」という感じで議論の起点にでもしていただければ幸いです。

皐月賞での消耗度

私は高校まで野球をやっていたのですが、予想に使っているファクターには実体験を基にしているものも少なからずあります。急激なペースのアップダウンは負担が大きいとか、消耗しない速度には個体差があるとか、敏捷性とパワーは別物とかその類のものです。ヒトも馬も哺乳類という点では同じなので、ある程度は傾向が似るという考えです。

2歳時に朝日杯FSを、5歳時に宝塚記念と有馬記念を制したドリームジャーニーは、若い頃に間隔を詰めて使えず、「一度使うとダメージが何か月も抜けなかった」と言われた馬でした。このコメントに対して「ケガじゃなくて疲労なんだから、数日で治るのでは?」という旨の意見をよく見かけましたが、個人的には違います。

高校時代、一晩寝れば体力が全快しているつもりでしたが、実際には毎日半分ほどしか回復しておらず、引退してから日を追うごとに身体が軽くなり、結果として数か月後にやっと全快、その時に自分の体力の最大値に気付いたという体験がありました。無論個体差があるので、たった1件の実体験を武器に一般論として語るつもりはありませんが、競走馬に対するこの類のコメントはある程度の信憑性があるだろうということです。甲子園におけるエースの連投や、NHKマイルと日本ダービーの変則二冠などにもヒントがあるかもしれません。

さて、これをダービーについて当てはめると、2009年のロジユニヴァースの年、Hペースの皐月賞と不良馬場のダービーを連戦した馬たちのほとんどが以後故障をしたり不調に陥ったりして、まったく成績を残せないまま引退を余儀なくされました。

また2023年のタスティエーラの年でも、重馬場ながら例年より速いペースで皐月賞が施行され、これをステップにダービーに参戦した馬たちは、秋以降から現在まで軒並み伸び悩んでいて、同様の可能性を孕んでいます。

今年の皐月賞も単騎逃げの形ながらHペースだったので、これを走り切ってダービーを使うことの影響はいかほどか、秋以降に示されるのだと思っています。ダービーの取捨には直接関係ないかもしれませんが。

騎手心理の読み違い

2015年ドゥラメンテの年。皐月賞でリアルスティールに乗った福永祐一騎手は、溜めて切れるこの馬自身の良さではなく、コース形状に沿っての競馬を優先し、早め先頭の競馬をすることでドゥラメンテ・サトノクラウンらを出し抜こうとしました。

結果として皐月賞はドゥラメンテの鬼脚に屈しての2着でしたが、矢作調教師は「ダービーではドゥラメンテとの追い比べに持ち込みたい」とコメントし、皐月賞の騎乗に福永騎手の気概を見た私は「ドゥラメンテを倒すためにダービーでも先行策を採る」と読んで本命にしましたが、結果はドゥラメンテよりも後ろに構え、上がり負けを喫しての4着。レース後に骨折が判明したのでこの判断の是非は分からないままですが、皐月賞での結果を受けて陣営がどのような判断を下すのか、しっかり読み解く必要がありそうです。

脚質の読み違い

「ダービーを最大目標に置いている馬がほとんどで、ダービーまでにやれることをやっておきたいはず」という考えで予想を続けてきましたが、そうではない場合も当然ある、というお話です。

2014年、ワンアンドオンリーは追い込みで結果を出してきた馬で、弥生賞も後方から追い込んで2着、皐月賞でも同じように追い込みの競馬をして4着でした。

「最大目標のダービーで、ここでいきなりリスクを取って先行するか?いやいや、それなら当然トライアルで試しているはず」という判断に基づいて消しにしましたが、いざ本番、ワンアンドオンリーは颯爽と5番手を追走し、そのまま皐月賞馬イスラボニータを競り落としてダービー馬になりました。

このケースは16年マカヒキ、17年レイデオロ、18年ワグネリアンと近年では増えました。今年で言うと、皐月賞で後方から行って着外だったサンライズアース、レガレイラ、ビザンチンドリーム、アーバンシックらが先行策を採ってくるかもしれません。

キズナやドウデュースのように徹頭徹尾自らの脚質にこだわって結果を出すケースもあるのでファクターとしては機能しないかもしれませんが、想定外のケースで不的中を食らうと悔しいので、脚質転換も想定に入れておきたいですね。

その結果、先行馬が残りやすい

例年日本ダービーの施行週から東京芝はCコースに替わります。開催初週で内枠や先行馬が有利になりやすいこと、また上述した理由などを踏まえて、先行したい人気馬が増える年が発生します。

その場合、馬場や展開の恩恵は受けやすいものの、人気(≒実力)以上に無理をした馬は苦しくなり脱落します。かといって後方待機勢に展開が向くでもなく、力のない差し馬は展開負けして届かずということがほとんどです。

したがって、勝ち負けできる馬は

A.人気・実力のある先行馬(馬場有利)
B.人気・実力のない先行馬(馬場有利)
C.人気・実力のある差し馬(馬場不利)

に限られる年が多くなりがちです。

ワグネリアン、ロジャーバローズ、タスティエーラの年のように実力拮抗の場合はA・Bで決まることがあったり、コントレイル、シャフリヤール、ドウデュースの年のように力のある馬がしっかり溜めた場合はC同士の差し決着になったりしますが、以上の理由からダービーにおいては穴を開けるのは先行馬が多い気がします。他のレースとの比較をしていないので実測値は不明です。

また、結果を元に表現するならば「実力のある先行馬が人気を落としやすい」と捉えることもできそうです。

男子三日会わざれば……

世代限定戦は短期間で見違える成長をする馬がいます。普段からレースや調教での完歩数や完歩幅などを計測しているのですが、これらを観測するだけでも上昇度が見て取れる場合があります。昨年のタスティエーラは新馬→共同通信杯でパフォーマンスを落としたものの、皐月賞で新馬戦以上になり、ダービーでさらに状態を上げてきたことが好走の一因になったのかもしれません。

これも相関関係が証明できないため断言はできませんが、スタニングローズやナランフレグ、カルチャーデイやペプチドナイルなど、短期間で明確に動きが変わった馬は、体感としてはダービーに限らずパフォーマンスを上げてくることが多いイメージです。

おわりに

どこにも着地しない冗長な文章をお読みいただきありがとうございました。過去の結果から数字以外のことを断言するのは難しいと思っているのでこのような形になりました。

また、何度も申し上げていることですが、起こり得る小さな偶然の積み重ねでレースの結果は変わるものであり、無数のパターンからたまたまその1つが選ばれただけという持論が私にはあります。なので1つの結果を受けて「やはりこの馬が1番強かった」というような方向の結論は採らず、「なるほど、今回はこの目が出たのか」という受け取り方をして、次に活かせるように取り入れています。

もちろん1度きりの本番において結果を出した陣営や、ドンピシャの目で待っていた買い手の方々には最大限のリスペクトを持っているつもりです。これらは両立しうる事象だと思います。

今年もいよいよ大一番ですね。ダービーに向けて、また今後の馬券戦略に向けて、読んでくださった方の何かしらの手がかりになったり、競馬を深く長く楽しめる一助になりましたら幸いです。

頂上決戦まであと3日、楽しんでいきましょう!

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