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USD/JPY 来週のポイント

  • ドル/円は、水曜日と木曜日に利確売りで下落し、金曜日に反発

  • 日銀は基準金利と国債のイールドカーブコントロールを据え置く

  • 日銀決定後、ドル/円は300pips上昇

今週の動き

日銀が金曜日の会合で、長年にわたる金融緩和政策を修正する可能性は決して高くはありませんでした。
しかし、その可能性がどんなに低くても、過去3週間のドル/円の6.7%の上昇と、FRBの金融引締め政策を比較すると、水曜日と木曜日の2日間の132.00以下への利益確定の動きは、賢明なものでした。

日銀は基準金利を-0.1%に据え置き、日本国債市場の利回りを守るイールドカーブコントロール(YCC)政策に変更を加えませんでした。
ドル/円は、発表直後は大きく下落しましたが、その後すぐに反転し、300pips程上昇しています。

日銀が金融支援を縮小するのではないかという憶測は、FRB、BOE、SNBなど中央銀行の相次ぐ利上げ、黒田日銀総裁の金融政策転換の可能性に関する国会での発言、過度の円安による日本の消費者や輸入業者の苦境が明らかになったことなどが根拠となっています。

今週、市場が米国の景気後退の可能性を考慮し、米国債の金利が低下したにもかかわらず、ドル/円は回復しました。

水曜日の連邦公開市場委員会(FOMC)でFRBは、5月の消費者物価指数(CPI)が予想外の8.6%となったことを受け、FFレートの上限目標を75bp引き上げ、1.75%に設定しました。
FOMCは、先週金曜日のCPIが3月の最高値8.5%を超えたため、FOMC前のブラックアウト期間中に、金利見通しを変更するという異例の措置に踏み切っています。
前回5月のFOMCで、パウエルFRB議長が「次回会合で50bpの引き上げがあり得る」と発言しており、5月のCPI上昇は、明らかに政策立案者たちに衝撃を与える結果となりました。
月曜日、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、FRBからの情報だと思われる記事を掲載し、水曜日の会合での利上げ見通しが75bpになったことを伝え、市場はこの情報を福音として受け止めました。

パウエルFRB議長は記者会見で、さらに75bpの引き上げが可能であることを大まかに示唆しましたが、債券市場は景気後退の可能性が高まっていることに、より大きな関心を寄せています。

年末のFF金利は3月の1.9%から3.4%に上昇し、現在の水準から倍増を意味します。
2022年の経済成長率は2.8%から1.7%に低下、PCEインフレ率は4.3%から5.2%に、コアも4.1%から4.3%に上昇しました。
2023年のインフレ率はヘッドラインで2.6%、コアで2.7%に低下し、3月の予測からほとんど変化しない見込みとなっています。

バランスシート縮小に関しては、今月、満期を迎えた有価証券475億ドルのロールオフで始まったバランスシート縮小プログラムに変更はありませんでした。

FRBの会合後、ドルは下落しました。
その要因は、一部は期待度の高いイベントに対する通常の反応であり、一部は長い上昇に対する賢明な利食いであり、一部は国債利回りの低下であると思われます。

アトランタ連銀GDPNowモデルは、小売売上高などの指標データが予想を下回ったため、第2四半期の予想を0.9%から0.0%に引き下げ、米国の経済成長見通しは後退しました。

日本の経済指標は限定的であり、市場に影響を与えるものではありませんでした。4月の鉱工業生産は、5月の年間輸出と同様、予想よりやや弱く、輸入は強い結果となっています。

米国の5月の小売売上高は予想外のマイナス、住宅着工件数はパンデミックによるロックダウンの最中の2020年4月以来の減少、生産者物価指数は5ヶ月連続で年率10%超となりました。

米国ではインフレはもはや消費者の悩みの種ではなく、経済活動に影響を及ぼし始めています。5月の鉱工業生産は0.2%で予想の0.4%を下回りましたが、4月は1.1%から1.4%に修正されました。

▼今週の米国経済などの振り返りはこちら

▼FOMCレビュー

▼日銀金融政策決定会合レビュー

来週の見通し

FRBと日銀の会合が終了し、ドル/円はドル高基調に戻りました。
重要なのは、FRBの意図に対する国債市場の反応です。現時点では、最近の大幅な上昇に比べれば、利回りの後退は最小限に留まっています。
しかし、FRBがどのような方針を示そうとも、国債市場は独自の道を歩むと考えられ、 米国の経済データが下降線となれば、金利が下がり続けることは十分に考えられます。これがドル/円の主な下落リスクです。

日本の5月の全国消費者物価指数では、世界的なインフレの影響を確認することになりますが、日銀の金融政策決定会合が過ぎているため、市場に影響を与えることはないと思われます。

米国では、5月の中古住宅販売件数が市場予想を下回ると、住宅ローン金利上昇の影響が確認され、6月のミシガン州消費者センチメントの改定値は通常注目されませんが、過去最低を記録したことから、さらなる下落に注意が必要です。

ドル/円の見通しは、米国債金利の低下により、3月上旬以降の大幅な上昇に対する利益確定売りが再び活発化する可能性があるという注意点を除き、上向きです。

テクニカル的見通し

ドル/円日足チャート

水曜日に135.60の最高値を付け2日連続陰線となった後に、日銀金融政策決定会合を経て上昇しましたが、135.50を超えることはできず135.00付近で終えています。
5月30日からの上昇角度は維持できませんでしたが、かといって、上昇の勢いが崩れている兆候も見えていません。
基本目線はロングですが、135.45、135.50、135.60が上値抵抗となると想定されます。

ドル/円4時間足チャート


4時間足チャートでは、紫SMAがまずはサポートとして機能するかどうか、紫SMAから下げた場合は、青SMAが次のサポートとなると想定されます。

<参考>
紫SMA 60、青SMA 240、赤SMA 720、茶SMA 2880

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