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DNAブログ:デッキタイプ用語はそのままラブコメヒロインに適応できるはずだ(イーベル)

 皆様初めまして、アニマルカードゲーム調整チームDNA所属のイーベルと申します。対戦するときはよろしくお願いいたします。

 私は紙に復帰するのも随分久々なので本格的なカードの解説や戦術の話は他メンバーに任せて与太話をしますが、内容はタイトルの通りです。

 “デッキタイプ用語はそのままラブコメヒロインに適応できるはずだ”

「……何言ってんだこいつ」って思いましたか? 私は至って真面目です。


①:カードゲームを初めてやる方へ
デッキタイプ用語「戦術」と「ゲームレンジ」

 ACGをやろうと心に決めた皆さんは基本的には原作者ワタルさんの「うさぎとうさぎの奮闘記」をはじめとしたカードゲーム漫画読んでいるとは思います。

 作中ではデッキタイプを分類するカタカナが洪水のように押し寄せてきたましたね。「ビートダウン」「コンボ」「コントロール」……等々。
 過去に他カードゲームをやっていた方々のことは心配していないのですが、「僕(私)カードゲームやったことないよ! 初めて!」という方に向けて簡単にではありますが説明いたします。
「んな事分かってんだよ!」という方は読み飛ばして問題ないです。

「戦術」の分類について

 まず初めに「戦術」の話から始めましょう。
 端的に言えば「どのようにして勝ちたいか」を表す単語群だと思って頂ければ問題ないです。
 簡単に例を挙げると

・相手に効果ダメージなどを与えて勝ちたい
 →「バーン」
・動物で対戦相手を攻撃して勝ちたい
 →「ビートダウン」
・特定のカードを揃えてプレイして勝ちたい
 →「コンボ」
・相手の行動を妨害して勝ちに行く
 →「コントロール」

 ……といった感じ。

 少なくとも今のACGではこの辺りを抑えておけば問題ないでしょう。
 では次に「ゲームレンジ」の話をしましょう。

「ゲームレンジ」の分類について

「ゲームレンジ」は勝負を決めに行くタイミングの分類です。
 大まかに

最速で勝負を決めに行く→「アグロ」
・中盤に勝負を決める→「ミッドレンジ」
・相手の行動を耐え、長期戦に持ち込んで勝負を決める「コントロール

各デッキタイプが強いターンを示すイメージ図

 に分類されます。
 「おいおい兄ちゃん”コントロール”が2回出てきているぜ」
 と思われたかもしれませんが、こちらは「戦術」「ゲームレンジ」両方を表す単語なのでここの分類にも顔を出しています。

実際のデッキ分類

 この章で紹介した「戦術」と「ゲームレンジ」がデッキ名に付けられることでのような動きをするか示すハッシュタグの役割を果たします
 アニマルカードゲームで言うなら、

・ぞうさんで継続的に殴るデッキ
 →「ゾウさんビートダウン」略して「ゾウビ」
・相手を妨害し最終的には「冬」でフィニッシュするデッキ
 →「冬眠コントロール」略して「冬コン」

といったようになるわけですね。

 もし今後「あのデッキ楽しかったから似たようなデッキを探したいな~」となったときには「コントロール」や「ビートダウン」といった単語で検索をかけられます。便利ですね。

②:ラブコメヒロイン構築における
「個性」と「タイミング」について

 
 
ざっと簡単な説明を終えた所で本題に入りましょう。
 私の主張を説明するにあたって物語とキャラクターの構築を行いながら話します。
 
仮に“複数のヒロインが主人公を奪い合うタイプのラブコメ”を構築するとしましょうか。

 3人のヒロインを登場させるとして、3人とも同じ人間を登場させることはまずないでしょう。三者三様、魅力が異なる作者好みの女性を選択することになります。
 連邦のジムみたく全くの同型ヒロインを横展開することが性癖でない限りは。

 これは単純に多種多様な日論の見栄えがいいというのもありますが、読み手がヒロインを分割して認識するのが難しくなるからという重要な理由があります。
 ヒロインを区別できないラブコメなんて物語開始と同時に手札事故みたいな情報が読者を襲うことになるのは目に見えています。

 だから登場するヒロインにはそれぞれ区別できる「個性」が与えられるんですね。

 実際に世に出ている作品を見て見ると、五つ子だって個性が豊かに五分割できるようにデザインされているのが分かると思います。

 また、それぞれのヒロインがフォーカスされるタイミングも分割される必要があるというのも察しのいい皆さんなら感付くかもしれません。
 先に述べたヒロインの個性と同様に、すべてのヒロインが同時に同じように強調されては印象に残らないし分割できない。

 だから物語を書く側は登場するタイミングを分けたり、話しかけるタイミングを分けたり、好意を抱くタイミングもズラして差別化をしていくことになります。

 この「個性」と「タイミング」の分割という概念は小難しいように思えますが、カードゲーマーなら一発で理解できます。

 要するに「戦術」と「ゲームレンジ」なんです。

 だからこそラブコメのヒロイン達は主人公の好感度を稼ぐ「戦術」と登場するタイミングで振り分けられるはずなんですよ。

 次の章ではヒロインを作りながらカードゲーム風に振り分けてみます。

③:ヒロイン達の「戦術」と「ゲームレンジ」

「戦術」と「ゲームレンジ」を意識しながらヒロインを作ってみます。
 仮に下記3人を「戦術」や「ゲームレンジ」を分散させて、カードゲーム風に振り分けていきます。

・夫婦と冷やかされるタイプの幼馴染
・ツンデレクラスメイト
・金髪碧眼巨大帰国子女

・夫婦と冷やかされるタイプの幼馴染

 これは間違いなくアグロ。
 なんかただ1人マイナスの時間軸から勝負を始めている。

幼馴染ヒロインの好感度稼ぎイメージ図

 戦力の早期の着地メリットを生かし、自ら動いて積極的にイベントを起こすのが強い動きですかね。
 分類はアグロ幼馴染とでもしておきましょうか。
 本編が始ったときには既にリーサル手前の特別ルールを引っ提げて登場するこの手のヒロインはその作品の環境を定義するキャラクターでしょう。

 ……なんか基準が無法者すぎてマラソンランナーの前を走っている車みたいだな。マラソンしてんだから一人だけ車に乗るよ。

 一方的に勝負を決めていくポテンシャルを秘める一方で主人公側が彼女らに対して耐性を持ち、攻撃が効かなくなってくるなど、それ相応のデバフを背負うことになるでしょうね。

・ツンデレクラスメイト

 素直になれないデメリットをコンボで打点に変換するのは止めろ。
 死人が出る。

ツンデレクラスメイトの好感度稼ぎイメージ図

 幼馴染ヒロインまで早期着地とはいかないものの、着地が早めで高めの打点を活かしたビートダウンプランが主軸でしょう。
 ツンデレというアーキタイプは素直になれないデバフを抱えているのがたまにきずですが、作品によってデメリットをメリットに変えるコンボを搭載していたり、対戦相手への妨害手段を持っていたりと構築にも幅があるのも面白いところです。

 相手の動きを見てから挙動を決める強かさも持ち合わせている彼女は端的に言えばツンデレミッドレンジと言っても良いでしょう。

 
勝つときは「苦しい」って言い続けながらギリギリで勝つ印象があって、その辺もなんかミッドレンジデッキに似ている気がしますね。

・金髪碧眼巨大帰国子女

 もう字面だけでコストが重そう。属性の過積載だろ。
 重い感情はマナを稼いでからぶつけてくれ。

金髪碧眼巨大美少女の好感度稼ぎのイメージ図

 物語の停滞した雰囲気を1人で一変させる存在として採用されがちな転校生。登場が遅い分着地すればいきなり全体除去を飛ばしたり、強力なロックを有していたり、複数回攻撃してゲームを畳んだりする女です。怖いですね。

 端的に言えばろくでなしの挙動が特徴です。

 前述したヒロインたちからすればたまったものではないですがこのヒロインからすれば自分のいない間に好き放題やられているわけですから……まあどっこいどっこい。
 彼女らの役割は強烈なパワーによって停滞した物語の空気や方向性を変えることが求められます。その性質上早期着地は望めません

「なんでだ差別だろ!?!?!?」

 と、愛好家の方々には言われるかもしれませんが、あえて理由を考えるのなら……序盤マナ加速してるから物語に干渉できないんじゃないかな。

 そんなコストも感情も重そうな彼女らを採用する「戦術」もその重いコストの踏み倒しなどがメインになるでしょう。例を上げれば

・ランプ帰国子女(コストを加速して着地させる)
・リアニメイト帰国子女(1度墓地に落としてから蘇生する)

 あたりでしょうか。

 後は今回想定しているタイプのラブコメでは採用していないですが序盤のターンを大幅にカットして着地したタイミングで物語を始めるという荒業もあります。
 一発もらったら終わりの刹那的なラブコメが見れるかもしれないですね。

・分類を終えて

 ここまで「戦術」と「ゲームレンジ」を意識しながらヒロインを構築してきました。
 この3人の登場する物語では序盤は幼馴染VSツンデレによる殴り合い。中盤で帰国子女による盤面のかき乱し。終盤で三つどもえの混戦が楽しめそうになったのではないでしょうか。

 カードゲームと同様に「戦術」と「ゲームレンジ」を明確にすることでキャラクター同士の役割が差別化できるので分類する意味もちゃんとあるんですね。

 ざっと私の思想の説明が終わったところで、次の章では私が好きな化物語環境での対戦を見て見ましょう。

④:実際に対戦を見よう! 化物語環境「ガハラビートVSツバサコントロール」

概要

 今回振り返る対戦は〈物語〉シリーズ第1作「化物語」環境の序盤。
 戦場ヶ原ひたぎ VS 羽川翼の主人公阿良々木暦を巡る攻防です。
 ネタバレを含むので気になる方は視聴してから読んでください
(化物語のアニメで言うなら1~5話)

 このマッチアップはカードゲームにおけるビートダウンVSコントロール、より細分化するならば「深窓の令嬢ビートダウンVS委員長コントロール」といえるでしょう。
 対戦振り返る前に彼女らの「戦術」を確認しましょう。

戦術紹介

戦場ヶ原ひたぎ

 戦場ヶ原ひたぎは「デバフを抱えながら着地する高打点で複数攻撃が可能なアタッカー」だと思ってくれればいいです。
 彼女が取る行動は

・自身のデバフを取り除く
・対戦相手の行動を確認し、可能なら封じる
・イベントを起こし、高打点かつ複数攻撃で主人公の好感度を稼ぐ

の三種。これらの行動を使い分けて対戦相手よりも早く好感度を稼ぎきることが彼女のゲームプランとなります。

羽川翼

 羽川翼は「事前に起こしたイベントで得た資産で、対戦相手に覆すことのできないような盤面を作り、コンボを決める」キャラクターになります。
 彼女が取る行動としては

・マイナスの時間軸でイベントを起こし好感度を稼ぐ
・周囲に主人公との関係性をアピールし、対戦相手を締め出す
・稼いだ好感度をコストにコンボを起動して特大打点を出す

 が挙げられるでしょう。
 自分の競争相手を除外し、隙を見て即死打点を叩き込む。そんなコントロールとコンボの折衷案のような戦術を体現するキャラクターと言えるでしょう。

対戦編

前日譚「傷物語」「猫物語(黒)」

 さて、実際の対戦の振り返りに入ります。
 今回の対戦は全部で4ターン。ただ、本編は2ターンです
「何を言ってるんだ」と思われたかもしれないですが、前述したように羽川翼がマイナスの時間軸で行動を開始しているんですね。
 
なので試合は下の図のような状態で開始します。

先に2ターン先行して動くコントロールが弱いわけねぇよな

 本編開始まで2エピソードにまたがって羽川翼の独壇場でしたが、ようやく戦場ヶ原ひたぎにターンが渡ったところで化物語の本編が開幕していきます。

化物語「ひたぎクラブ」(1~2話)

 本編が開始直後戦場ヶ原ひたぎが盤面に着地。恋のダービーに参戦。
 戦場ヶ原はこの時点では自分のことに精一杯で、色恋とかそれどころではないのですが、一連の騒動を最短で解決し次のターンからは万全な戦場ヶ原が走り出すことが確定します。
 
また、このターン中に羽川と阿良々木君との関係性を問うなど情報収集をしており、ここで得た情報は後のエピソードで最短でゲームを畳むプランを選択をする材料にもなったでしょう。
 無論、本人からすれば何の打算もない世間話のつもりでしょうが。

 戦場ヶ原が着々と準備をする一方、羽川翼はこのタイミングで戦場ヶ原の動きを見逃す痛恨のプレイミスをしており、防御態勢がとれないまま次のターンに入っていくことになります。

停滞する羽川翼と差を詰める戦場ヶ原ひたぎ
羽川翼は痛恨のパス

化物語「まよいマイマイ」(3~5話)

 母の日に繰り広げられるこのエピソードでは八九寺真宵という少女が巡り合ったトラブルを解決することとがメインになります。
  が、その裏で二人の戦いは続いていきます。

 このエピソードの開幕直後に偶然戦場ヶ原ひたぎは阿良々木君に遭遇。この機会を逃すまいと高い攻撃力の発言を連続で叩きつけてきます。

「(新しく買った服を)できれば一番最初に見て欲しかった」
「隣、構わないかしら、貴方とお話がしたいわ」
「(友達を作るタイプじゃない)阿良々木君に出会うまで」

 等々……これで人が死んでもおかしくないだろ。

 このエピソードは3話構成ですが、戦場ヶ原との会話で最初の1話をほぼ丸々使うという理不尽さを見せていきます。
 加えてその後八九寺真宵と出会い、ともにトラブルに対処するというイベントにも参加。抜け目もない。

 ただ、戦場ヶ原のターンが無限に続くわけではなく、彼女が阿良々木君の元を一時的に離れたタイミングで羽川翼にターンが渡ります。
 はたまた彼女も偶然阿良々木君に遭遇したわけですね。

 しかしながらこの偶然を羽川は活かすことができません。
 阿良々木君が戦場ヶ原ひたぎと会っていることまでは聞き出すことに成功したものの、それ以上の追撃はなし。様子見を選択して引き下がります。

 もしこのタイミングで一手何かしら手を打っておけば……と外側から見れば思いますが、羽川翼には戦場ヶ原ひたぎのスタッツが見れないから仕方がないのかもしれません

 再び舞い戻った戦場ヶ原は漂うシャンプーの匂いから羽川の痕跡を察知、自分が思っていた以上に猶予がないことを悟ります。
 現在遭遇しているトラブルの解決手段を告げた後、即座に告白。アクセルを踏んで一気に勝負を仕掛けに行きます。

 そしてともにトラブルを解決した戦場ヶ原ひたぎは自分の心情を素直に語り、最終的には阿良々木君からお洒落な返答をもらって、この戦いは戦場ヶ原ひたぎの勝利で幕を閉じるのでした。

アクセルを踏んだ戦場ヶ原ひたぎがそのまま走り切って決着
羽川翼は2ターンパスしているのが苦しかったか

⑤終わりに

 キャラクターの人間性をデッキ構築のように「戦術」や「ゲームレンジ」を意識して分類する。そんな試みを今回はしてみました。
 この視点では物語を骨組みとして見ることができます。
 この視点で「構築する側がどのように考えて構築したのか」を想像している時間はより深く作品を楽しめた気がして私は好きなんですよね。
 究極に暇な時の時間つぶしとしてやってみてください。 

 ときにアニマルカードゲームの原作「カードゲームうさぎ」では物語の構造上、キャラの人間性とデッキの2つをデザインしていくことになるんでしょうが彼らはいったい人間性とデッキどちらが先にデザインされているんでしょうね?
 一度作者のワタル先生の頭を覗いてみたいものです。

 最後まで与太話に付き合って頂きありがとうございました。
 皆さんの好きな女のデッキタイプがあればコメント欄に書いてくれると嬉しいです。お相手はイーベルでした。ではまた次の記事で。

チームの入会方法

① このディスコに入る。
(チームに入る気がなくて遊ぶ人が欲しい場合でもこちらにどうぞ。)

②サーバ内のロール付与チャンネルでロールをつける。
③入会できる。自己紹介などを忘れずに。

ライター紹介

イーベル
小説と絵を描くタイプのオタク。最近は紙をしばいている。

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