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会社からルールをなくして【社長も投票で決める会社をやってみた。】

会社からルールをなくして【社長も投票で決める会社をやってみた。】
~人を大事にするホラクラシー経営とは?~
著:武井浩三

・「確かに経営には正解がない。勇気ある撤退という言葉もある。しかし、全然売り上げが立ってないビジネスだとしても、少なからずお客さんがいて、仲間がいるという時点で、そこには社会的な『責任』が発生しているんだ。会社をやっていくということは、その社会的責任を継続して負っていくということ。その責任は、おまえの命より重いんだ」P35

・「おまえが死んだとしても会社はお客さんに仕事の価値を提供しなけきゃいけない。それが会社同士の約束だから。おまえ個人がどんな状況にあるかは、いっさい関係がない。たとえ社長が死んでしまったとしても。やり続けなきゃいけないんだ。」P36

・会社は関係する人だけではなく、関わるものすべてに対して貢献できる存在でないと意味がないP40

・会社は、言い方を代えれば「仕事をする経済団体」だからビジネスモデルづくりと組織づくりはセットでやらないといけないというのは、今考えれば当然のことだった。P43

・自分たちの得意なものや知識、技術を一点に集中させ、価値を濃くしていこうとしぼった先にあったのは、不動産業界。こうして僕たちは、不動産×ITという領域で勝負することに決めた。「不動産テックベンチャー」、ダイヤモンドメディアの誕生である。P45

・僕たちが考える企業の存在意義は、「人、モノ、関わるすべてに対して会社が貢献をする」ということ。これをいちばん実現させやすい組織形態ってなんだろう・・・。そう模索した結果、 自分の給与は自分で決める。 働く時間、場所、休みは自由、 財務情報を含むすべての情報をオープンにする、 肩書も役職もない―、 といった独自の取り組みに行き着いた。P50

・アメリカではホラクラシーをとり入れる企業が増えているけれど、その多くがうまくいっていない。僕はこの原因のひとつは「情報の透明性」が徹底されていないことだと考えている。P52

・働く人にうつ病が増えているのは、そこも一つの要因があると思っている。「その人の持っている能力」と「会社組織から与えられた役割」のミスマッチ。これが発生することにより、働く人の幸せは疎外されていく。P58

・働く日数は少ないけれども給与が高い人もいれば、うちの会社の中だけでは持っている力を持て余すので自分の会社も立ち上げたり、フリーランスでいろいろな仕事をしたりという人が、結構いる。単に「副業したほうがいいよね」という話ではなく、「その人が持つ能力を世の中に対して最大限使い切る」ことが一番重要なことだと僕たちは考えている。P60

・そもそもうちの会社では、多数決でものごとを決めない。この取り組み自体が、他の組織からは驚かれることも多い。その理由を改めて書くと、多数決はやればやるほど組織が弱くなっていくものだと考えるから。なぜなら、リーダーシップとは基本的に「マイノリティ」だからだ。P65

・僕たちの会社では「給与が全員に対してオープンだ」という話をしたが、これは役員に限った話ではない。一般の社員、バイト、業務委託のメンバーに至るまで、すべての人の給与と報酬が一覧で見られるようになっている。それだけではなく、給与はみんなで話し合って決められる。半年に一度、給与を含む会社のお金の使い方についてのミーティングがあり、そこでみんなお互いの給与について再確認する。そのミーティングの場で、その人の取り組みや業務範囲、市場価値などをかんがみて違和感があれば調整していく。ひとつの特徴的なのは、僕たちの給与には職務給とか職能給というものがいっさいないところだ。業績連動給もインセンティブもなく、仕事と給料がつながってない。つながっていないということはすごく重要で、ホラクラシーを実現するうえで絶対的に必要だ。仕事にお金を結びつけると、みんな仕事のことをお金として見てしまう。仕事にお金がついていくと、お金がついてない仕事をしなくなるのだ。自然と。そうするとみんな自分の部署の仕事しかしなくなる。組織にとって何がいちばん重要で、自分が今、何をすべきなのかを全体最適の視点で考える人がいなくなるのだ。P68

・僕たちの会社はまわりとのつながりで仕事をしていくので、コミュニケーションがすべて。常にチームと情報を共有をしながら、「今、どんな感じ?」「チームで今、何が必要?」「会社で何が必要?」ということを自分自身が理解しないとそこにはフィットしていけない。僕たちの中ではコミュニケーション能力というのは相手を理解する力として考えられている。P74

・相手を理解する気のない人は「この仕事お願いね」と言われて、「いつまでにこれをこなせばいいですか?」というタスク型の仕事しかできない。そういう仕事の仕方ならアウトソースでいい。P75

・時間と給料が連動していないので、週何日働こうがかまわないわけだ。その人が組織にもたらしている価値で給料というか相場が決まっていくから、そこに不平等は生まれない。休みも自由、ただ「いや、俺はいっさい仕事したくないんだ」というのであれば別に給料を払わないだけとなる。P75 ・個人の感情やモチベーションややりがいといったものを僕たちはいっさい扱わない。それは個人の話であり、組織全体とは何も関係がない。それを言った者勝ちの世界となる。そういうものを持ち出すときというのは、往々にしてエゴが暴走しているときなのだ。P76

・次の3つで社内のコミュニケーションがかなり活性化している印象がある。 ①チャットツールや社内SNSを活用する。 ②雑談しやすいオフィス環境を作る。 ③ブレインストーミングを多用する。P88

・そもそも信頼関係とは何だろう。僕はいまだによくわからない。僕たちの今までの経験から、信頼というものは仕事や何かの共同作業を通じて、結果として残るものであって、最初に作ろうとして作るものではないし、ましてや作れないものだ。P92

・ホラクラシーのような生物的組織において、もっとも邪魔というか障害になるのは経営者のエゴだと思っている。「自分の思うとおりに社員を動かしたい」「マーケットシェアを拡げたい」「利益率をいつまでに何パーセント上げたい」という考えはエゴである場合が多いと思っている。P94

・こういった経営を続けてきた結果として感じるのは、自分自身を実力以上によく見せようとしたり、能力以上の対価を得ようとするというような行動をとる人は、自然と組織を離れていく傾向が強いということ。伝え方が難しいのだが、生き物が不要なものを排出するように、自然と吐き出されてしまう。吐き出された人が悪いというわけではなく、ただそのときに会社が求めているものとその人の能力が合わなくなってきたというだけの話だ。P107

・今では、経営会議のような選ばれた者だけの固定化された会議は百害あって一利なしだと感じている。P120

・「ホラクラシーの世界観には『競争』という概念がなく、『適切なすみわけ』しか存在しない」というものだ。競合他社を出し抜きたい、マーケットを寡占したいというような考え方は、そもそも顧客や市場、社会にはまったく関係のないものだ。P135

・入社時の不安などはできるだけ減らしていきたい。そこでおもに新しく入ったメンバー向けのガイドとして「ダイヤモンドメディアサバイバルジャーニーガイド」という資料を作っている。P143

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