踊り子さんとステージ
"芸は人なり"という言葉が寄席界隈にある。似た意味の言葉として、ビジネス界隈の営業極意には"品物を売るではなく自分を売れ"(あなたから買いたいと言われるようになれ)というのがある。
噺家は、センスと手ぬぐいと自分がつむぐ言葉で表現する芸能。
ストリップも(基本的に) 一糸まとわぬ姿・自分の身体ひとつで表現する芸能。
どちらもらも、数少ない手立てと身ひとつの表現・パフォーマンスで自己プロデュースし、見る人に多くの笑いや感動を与えてくれる。
寄席やストリップ劇場で表現されるものは、客が自由に録画録音できるものではなく、その場限りのもの。ひとの心をうつ、心に響かせる源流・核となるものは、その演者を通してパフォーマンス(演目)に宿るもの、見えないけれどその人がまとった雰囲気のようなものであり、その人そのもの!だと思う。
そして、現実として踊り子は、人気商売という側面が大きい。自分のステージを見てもらうことで「自分のことを好きになってもらうしかない!自分は本当にストリップが好きなんだ!」ということを恥ずかしがらずに、隠さずに伝え体現して魅せていく。
いろいろな経験を演目の中に活かしてゆく。当然、自分の経験やレッスンは直接的にお客さんに見せるものでも、見てもらうものではない。自分の中に取り込んで自分の持っている性格や気持ち、特徴と合わさって、自然と現れてくるものを、お客さんは楽しみにまたその踊り子さんを、その踊り子さんのステージを見にきたくなるものだと思う。
…たんなる大勢の客の中のひとりが思っている、たわごとだけども。
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