すずらん見つけたよ
すずらんは幸運のしるしだと思うのはこの愛らしい花を見るとなごまされ、香りにゆるむから。
私が子供の頃にはじめて植えた花がすずらん。
お隣のおばさんが分けてくれた。
お小遣いで買ったプランターを見せにいった私にそれじゃあと庭から掘り起こして分けてくれたもの。
すずらんは多年草で環境があえばわりあいと増えていく。我が家ではご機嫌があったらしくて、あっという間に小さなプランターはいっぱいになった。
いっぱいになったプランターから苗を半分取り出して空いたスペースに土を入れる。取り出した苗は別のプランターに植える・・・するとそれぞれのスズランはそれぞれのプランターにいっぱいに増える。ことを父がせっせとやっていた。
父は植え替えるのが好きなのか、しょっちゅうプランターをひっくり返しては別の場所に植えたり、苔を敷いたりしている。「一生懸命庭を綺麗にしているのに気が付かないんだろう?」と時々ぼやく。
先日、少し小さくなった父の背中に声をかけ、庭の植物たちをじっくり眺めてみた。
どれも支柱を添えられたり、苔がはられていたり、小さな名札がついていたりとこまごまと世話をやかれていた。
ふと目をむけた足元で季節外れのすずらんが咲いているのを見つけたよ。
「すずらん、咲いてるね」と父に声をかける。
じっくり見たとしても猫のひたいの広さのこと。さほど時間がかかるわけではない。こんなひとときもいいなぁと思う。
「え?そうか?すずらんは今咲くんだっけ?お前見間違えじゃないのかぁ?」
そういいながら振り返った父の嬉しそうな顔も見つけられた。
Marmaladeさんの小さな企画に参加させていただきました。
読んでいただきありがとうございます。 暮らしの中の一杯のお茶の時間のようになれたら…そんな気持ちで書いています。よろしくお願いいたします。