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非合理的な行動で愛を示せ
一般的に、競争社会において無駄なことをしていたら負けて退場となります。しかし、男女の恋愛市場においては、なぜ非合理性が淘汰されません。
これは一言で、「女性はシグナルに欲情し、男性はシンボルに欲情する」と表せます。そのように進化してきた理由を、難解なゲーム理論の用語や計算を使わずに説明してみようと思います。
なお、男女を差別する意図は一切なく、生物学的な差異から導かれる、純粋な進化心理学を取扱います。
なぜ女性は非合理的なことばかり男性に要求するのか?
女性が非合理的なことばかり男性に要求するのは、「非合理的な要求でも受け入れてくれるか」を指標として、その男性の愛の強さを慎重に確かめたいからです。
といっても本人にその目的意識は無く、女性の本能として勝手に発動します。
女性は妊娠する側の性別なので、いつか裏切られるような偽物の愛を排除し、自分の身体を守る必要があります 。
そのために、とても合理的に「非合理的なことを要求する存在」へと進化してきたのです。
なぜ非合理的な要求に応じることが女性にとって愛の指標となるのか?
非合理的な要求とは、有限の資源(時間、お金、健康、視界、脳のメモリなど)を無駄に消費させることです。
有限な資源を持った男性は、全ての女性からの不合理な要求に無限に応じてあげられないので、男性は要求に応じてあげる女性を厳選するしかありません。
だから、男性が無駄な行為をしてくれるということは、女性にとって「あなただけに尽くしますよ」というシグナルに見えてトキメくわけです。
一目で「裏切らない愛」は判別できないからこそ、このような不合理な課題を与えて、男性の反応を確認するしか、他に探る方法が無かったのです。
ゴリラが無駄に胸を叩いたり、クジャクが無駄に目立つ羽根を持つのも同じで、「見えないものを判別するためのシグナル」を、《無駄》を通して送信しているのです。
男性にも非合理的な面がある?
一方で男性は妊娠をしない側の性別なので、裏切られることはそれほど気にせず進化してきました。
代わりに、若くて女性的な身体の特徴(主に胸元や臀部)が「健康的な子を出産できますよ」というシンボルとして、トキメくように進化してきました。
シンボルは送信コストが無いという点が、シグナルと本質的に違います。
そのようなシンボルが見えると、男性は冷静な判断ができなくなり、非合理的になってしまう特性があります。
だから、好きでもない男性を興奮させて襲われないように、シンボルは隠されるようになります。
男女の非合理性を理解し合おう
これら男女の非合理的な習性は、本人からすれば当たり前なこととなりすぎているので、「なんでそんなことするの?」と聞かれても答えられません。
これは、「なんで空気は透明なの?」と聞かれて、「だって空気が透明に感じられるように網膜の細胞を進化させなきゃ淘汰されちゃうから」と答えられる人がほとんどいないのと同じなのです。
男女でそれぞれ違った非合理性があることは、生物学的な違いに根差しているので、受け入れるしかありません。
「何で分かってくれないの?」と思うかもしれませんが、お互いがお互いのことを共感できるわけがありません。
だからせめて、お互いの特性を理解し合うということが大事なんだと思います。
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