英語で学ぶ欧米のLGBTQ事情(26)
ホモフォビア・トランスフォビアの洗礼をどれだけ受けるかは、暮らしている地域によります。頑迷固陋な根本主義の跋扈するバイブルベルト地帯だと、なかなか厳しいものがあり、ニューヨークやサンフランシスコのようには受け入れてもらえなさそうです。
訳し下ろしで切った場所:3-1のvalueとthatの間、3-5のmay sufferとwhileの間、3-6のtransphobiaとcan causeの間。
3-1 Additional factors, like homophobia and transphobia, can contribute to a young person’s feelings of isolation, insecurity, and lack of value that can lead them to run away. 3-2 This can be particularly significant depending on where a person lives. 3-3 For example, a youth living in New York City or San Francisco is less likely to encounter pervasive homophobia, because those cities have larger homosexual populations, openly gay and lesbian elected officials, and city residents who are generally more accepting of homosexuality. 3-4 On the other hand, a young person growing up in rural Bible Belt areas like Georgia, Alabama, or Mississippi is more likely to be openly subjected to religious persecution and verbal and physical assaults because of their sexuality or gender identity. 3-5 Even if their home life is tolerable, that young person may suffer while at school, church, or athletic events, and while out in the community. 3-6 The emotional toll of constantly and consistently being subjected to homophobia or transphobia can cause a youth to run away from home. 3-7 Their search for a place where they can feel safe and free to be themselves might lead them to the least safe environment they have yet to experience—living on the streets.
(Tara Y. Coyt, REAL TALK about LGBTQIAP: 342)
3-1
contribute[SV to O]〈物・事が〉〈結果〉の一因となる, 一助となる《◆よい結果にも悪い結果にも用いる》
isolation【名】孤独, 疎外(感)
insecurity【名】不安定, 危険→不安(感), 自信のなさ
resident【名】住民, 居住者, 在住者
Bible Belt [the ~]バイブルベルト, 聖書地帯《米国, 特に南部の根本主義(fundamentalism)が優勢な地域》
Cf. fundamentalism【名】(キリスト教の)根本[原理]主義《聖書の記述, 特に天地創造説・奇跡・処女受胎・キリストの復活等を文字通りに信じるのがキリスト教信仰の基本であると唱え, 進化説を全面的に排撃する20世紀初期の米国新教運動》
persecution【名】(政治・宗教・人種上の理由による)迫害(する[される]こと)
assault【名】〔人に対する〕暴行;〔…への〕攻撃, 襲撃;(言葉による激しい)攻撃, 非難〔on, upon, against〕
3-5
tolerable【形】〈人・物・事が〉耐えられる, 我慢できる
3-6
toll【名】(道路・橋などの)通行料→[通例単数形で]犠牲者, 死傷者(数);痛手, 損失, 被害, 損害
constantly【副】絶えず, しきりに
consistently【副】首尾一貫して, 矛盾なく;絶えず, いつも変わりなく
3-7
safe【形】安全な, 危険のない > feel safe 安全だと感じる, 安心できる
free【形】[be ~ to do]〈人が〉自由に…することができる > feel free to do 遠慮なく…できる
to be oneself 本当[本来]の自分になれる, ありのままの自分でいる
【和訳】3-1さらに、ホモフォビアやトランスフォビアといった要因によって、若い人の孤独、不安、自分は無価値であるといった感情が助長されることがあり、そうした感情によって彼らが家出するようになる可能性もある。3-2その人が住む場所によっては、このことが特に重大な意味を持ちうる。3-3例えば、ニューヨーク市やサンフランシスコに住む若者は、蔓延するホモフォビアに遭遇する可能性が低い。というのも、これらの都市は比較的多くの同性愛人口を有し、ゲイやレズビアンであることを公表している、選挙で選ばれた官僚がいて、市内在住者も一般に同性愛に対する許容度が高い。3-4これに対して、田舎のバイブルベルト地帯、例えばジョージア州、アラバマ州、ミシシッピ州などでは、自身のセクシュアリティや性自認を理由として、宗教的迫害、および身体的暴行や言葉による攻撃を、公然と受ける可能性が高い。3-5家庭生活はまだ何とか耐えられるとしても、その若者が不快な状況に苦しめられるかもしれないのは、学校、教会、競技大会といった場にいる間や、地域社会に出ている間である。3-6常にホモフォビアやトランスフォビアに晒され続けることによる心の痛手から、若者が家出をしてしまう可能性がある。3-7安心して遠慮なく本来の自分で居られる場所を探しているうちに、それまで経験したこともない、安全からは最も程遠い環境にいるはめになるかもしれない。(ホームレスとして)路上生活をするという末路である。
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