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0401 マルチケーブル

先日マルチケーブルの納品の相談を受けた時にそういえば映像におけるマルチケーブルは当たり前に使っているが、これが何なのかということがあまり知られていないのでは無いかと思い「マルチ」について書いてみる。

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良く映像で使うマルチケーブルは上の写真のように、75Ωの同軸マルチケーブルである。
これは物によって4対であったり5対であったり中を通る本数によって型番が違ってくるので、必要な用途に合わせてのマルチケーブルを選ぶことができる。
ちなみに4本ではRGBのケーブルカラーと白が追加され、5本だと黄色のケーブルが追加される。
もちろん通す本数が多くなればなるほど、重さが増しケーブルの巻きやすさも巻き辛くなってくる。なので、何m分のマルチケーブルを使うのか。これも重要な要素になってくる。

マルチケーブルを作っているメーカーとしてはカナレか立井電線を使用する頻度が高いのではないだろうか。

このマルチケーブル今はHDSDIや3GSDIなどSDI信号を流すことが多いかと思うが、昔は5対のケーブルでPC信号を伝送するのに良く使われていた。
いわゆるD-Sub15pinなどのアナログRGBだ。
RGBでそれぞれ1本づつ、さらに水平同期、垂直同期で+2本の合計5本をつかって一つの信号を送る、しかも当時はXGAとか。。。
今思うと5本も使って1本の信号。。。しかも長距離延ばすとノイズに弱かったり、RGBの繋ぎ込みを暗くてGBRとかに挿したりしてカメラ映像が恐ろしい色になったり、同期側の接触が悪いとそもそも映ってすらくれないなど、5本もあるが故のトラブルも多くあった。RGBHVを白色が先か黄色が先かわからなくなったりするなど、あるあるが多い。

今はSDI信号を通すことが多いと書いたが、今私が主流で使っているのは4対だ。SDI信号を通すためには通常の同軸が通っているものより高周波信号を減衰なく送るためにシールドが同芯の周りの絶縁体が複数層になっていて発泡ポリエチレン製の絶縁体が使われている。シールドも2重になっており、外部からのノイズに非常に強いケーブルになっている。上の写真はV4-3CFWのケーブルだ。
頭のV4というのが4対を意味し、3CFWというのが通っているケーブルの型番であることが多い。とってもシンプル!

4対である理由としては4K信号の取り扱いがあるからで、3GSDIx4で1つの4K信号を伝送することができるので、4本で1組になっている方が単純に取り回しが良い。
もちろんこの4対それぞれ独立しているために、全く違う信号をそれぞれ送っても大丈夫だし、信号の向きも必要に合わせて1本送り信号3本戻り信号などに使える。
これは1本づつ引くより圧倒的にスムーズで私個人的には2本以上同じ場所に引く時はマルチケーブルを使ってしまう。
最後にJJして1本だけ場所に敷くなんてこともよくやる。
会話の中ではこのように使う。

A:20mのマルチでひきますね。
B:出先で白に戻り信号返してね。
A:RGBはこっちからの送りですか?
B:R(赤)はスイッチングアウト、G(緑)はカメ直、B(青)は引きカメにするから。
A:はい、伝えておきます。

これはAがケーブルを敷設する人で、Bが送出側の卓周りにいる人で交わされる会話のイメージだ。あまりにもマニアックすぎて例が例になってないかもしれないが。。。

あのカラフルなケーブルなんだろうと思っていた人もいるかもしれないがただの同軸なので、気にせず使っていって欲しい。

また番外編だがカナレはロットで頼むことが前提だが、オリジナルのマルチケーブルも作ってくれる、例えば映像用で3本3CFWで2本電源用の同軸、2本は音声用の4E6Sなどをまとめて1本にするということだ。
ロットで頼むと工場からケーブルが木のドラムのまま来る。人の手に負えない重さであることが多いので注意していただきたい。

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