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「AI時代」に士業が生き残るために今から身に着けておくもの

こんにちは。TCS認定コーチの古井奈緒子と申します。

このブログを読んでくださっている方の中には、弁護士、弁理士、司法書士、会計士、税理士、社労士、行政書士といった士業の方や、士業事務所に勤務している方も多くいらっしゃるかと思います。

私も、法律事務員として弁護士事務所に10年ほど勤務しています。そして、自分自身も6年前に、社会保険労務士の資格を取得し、現在は、そ
の資格を活かしながら勤務しております。

士業として仕事をしていますと、この10年で仕事の仕方が大きく変わった
ことに気付きます。作成した申請書等の書類を、今までは、直接行政官庁に出向き提出していたものが、今や誰でも簡単にオンラインで手続きをすることができるようになってきています(まだオンライン化されていないものもありますが)。

このオンラインによる業務簡素化で、私たち士業自身も仕事の手間や時間が
軽減されましたが、法則性があり誰でもやり方さえ覚えてしまえば出来てしまう仕事は、近い将来AIに取って代わられてしまう職業だと、メディア等でも囁かれるようになり、将来に対して不安を感じていらっしゃる方もおられるのではないかと思います。

今直ぐにAIが普及し仕事がなくなるわけではないにしろ、徐々に受任する
仕事が減っていき、それに伴い売上も減るという可能性があることは、念頭に置きながら対策を練っていかなければなりません。

そこで、仕事が減っていくと予測される中、どう仕事と向き合えばAI時代
に生き残っていけるのかを、社労士として専業で働いているのではなく、社労士として法律事務員として勤務しながら、コーチとしても活動してきた視点で気付いたことを書いてみたいと思います。

1. 相談者は、自分の話したいことを話している。


私が勤務する弁護士事務所には、毎日のように、年齢、性別、職業問わず、様々な方がトラブルに巻き込まれ、その問題を解決するために相談にいらっしゃいます。今はインターネットが普及しているため、事前に下調べをし、法律についてある程度の知識は持って相談に来たという方もいらっしゃる反面、言い方は良くないかもしれませんが、常識というのか社会通念も全く通じない方も正直いらっしゃいます。

弁護士は、この相談の、極限られた時間の中で、問題を法的にどう解決していくかを相手にわかりやすく伝えていきます。しかしながら、相談者には弁護士からの法的なアドバイスが適確に伝わっているとも限らないのです。そもそも、どう解決するかよりも、自分がどう大変だったのか、どう腹が立ったのかを誰かに聞いて欲しいという気持ちが優先してしまうことも多く、弁護士が話していることを聞かないどころか、感情的に話が止まらない場合もあります。

そういった方から、必要な論点を、しかも時間内に聞き出している弁護士の姿には、毎回、頭が下がる思いです。これは、トラブルに巻き込まれ感情的になってしまった人だけに言えることではなく、日常的に私たち誰にでも言えることです。

何故なら、

人は「自分が話したいことを話し、聞きたいことを聞いている」もの

だからです。


2. 「聞く」ことに重きを置く。

私も弁護士と共に打ち合わせに入ることがありますが、その中で少々問題が起こったことがあります。

破産申立の準備をしていた依頼者との打ち合わせで、借金の経緯や、現在の家計のやりくり等の聞き取りを行ったときのことです。破産事件ではよくあるケースなのですが、いつも通り聞き取りをした後、どうやっても帳尻が微妙に合わない。
数千円程度という少額ですと、通常ならそのまま申立をしても問題がないところですが、私の中で、いつもの話しぶりと違うなという、ちょっとした違和感がありました。

そこで、次の打ち合わせで、どうやって今の収入で生活をしているのか不思議に感じていることを、正直に軽くさらっと本人に話してみたのです。
すると、「今まで聞かれなかったから…」という前提付きでしたが、他にも借り入れがあることが発覚し、何とか未然に問題をクリアしました。

もし、この違和感をそのままにしていたら、依頼者に、最悪、裁判所からの免責許可が出ないという不利益を与えていたかもしれません。

「聞かれていないから言わない」
「言われていないから聞かない」

これらは、社内でも家庭でも友人同士でも起こる得るコミュニケーションのすれ違いです。

しかしながら、法律に携わる者としては、「聞いていない」で済まさ
れないことは多々あり、「聞く」に重きを置かなければ、事件の内容に
齟齬が生じる可能性もあるのです。


3. 「聞く」とはどういうことなのか?

結局、私たち士業にとって「聞く」とはどういうことなのでしょうか。

残念ですが、長くこの仕事をしていると、近年、依頼者の言いなりになってしまっている弁護士も少なからずいることに驚きます。
恐らく、依頼者の希望、言いたいことを親身に丁寧に「聞いている」のだと思います。しかし、ただただ相手の要望を聞いて、それを実行するだけで良いのでしょうか。

これは弁護士に限ったことではなく、社労士でも顧問先に確実に法的に問題があったとしても、そして、そのことで顧問先に不利益が生じることがわかっていても、不適切な手続きをしていることがあります。

ただ駄目だと伝えるのではなく、相手の意見を尊重しながらも、法的に無理なことはデメリットまできちんと説明したうえで納得してもらう。こういったAIでは不可能だと思われる、高度なコミュニケーションスキルが必要とされる時代になってきているのだとも言えます。

法律に携わる者が、依頼者の言いたいことを、とにかく「聞いている」だけでは、何の解決にもなりません。依頼者の言いたいことを聞く。こちらの聞かなければならないことをも聞き出す。これが、士業にとっての「聞く」だと私は思っています。

例えば、弁護士事務所に来所される方であれば、1円でも多く金銭解決すれば良いのか、訴訟に持ち込んで法廷内で勝ち負けをジャッジして欲しいのか、負けても良いから訴訟を起こすことで相手に自分の思いを伝えたいのか。法律論は勿論ですが、相手の感情にも寄り添いながら、その人にとっての最善の解決方法を見出して差し上げる。そういうことが、今後、より強く求められてくるのではないかと思います。

聞かなければならないことを聞き、質問に答えるというパターン化したコミュニケーションならAIでも出来るはず。
相手が困っていること、悩んでいることを如何に明確にし、言語化してもらうのか。顕在意識にない、無意識レベルのことを意識してもらえるようなコミュニケーションを取ることが出来れば、相手にとって必要不可欠な人材になり、今後も何かあったときに思い出してもらえるはずです。


4. 士業もコミュニケーションスキルを身に着ける時代へ

長くなりましたが、これまで述べてきた通り、私たち士業も専門知識だけで仕事が出来る時代ではなくなってきており、そこに気付きコミュニケーションスキルを身に着けるためコーチングを学ぶ方が、実際に増えてきています。

コミュニケーションスキルを身に着けることは、もはやAIや他の同業者との差別化というより「当たり前」になってきているとも言えます。
もし、今、コミュニケーションを一から学んでみたいと思われた方がいらっしゃれば、是非、TCS(トラストコーチングスクール)も候補に入れてみてくださいね。

この記事を書いた人 

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古井奈緒子 

TCS認定コーチ/トラストコーチング法人営業部所属/特定社会保険労務士/産業カウンセラー弁護士法人に社労士、法律事務員として勤務する傍ら、コーチとして活動中。解雇された経験から法律に携わる仕事に就くものの、法律だけでは本当の解決にならないことからコーチの道へ。



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