村木風海という人間についてのメモ

はじめに

これはインターネットの波間で私が見聞きした多くの欺瞞に対する失望を元に、率直な感想を書き留めたエッセイである。本当は書き出すだけ書き出して思考回路に留めておくのもやめようとしていた。だが、昨今の村木くんに対するペテン師としての過大評価は本質を見誤っているな、と感じたたため、こうしてインターネットの海に放流することにした。普段の記事とはかなり毛色が違っていて、いつも読んでくれている人には申し訳ないのだが、まあ程々に受け流しておいてほしい。


先日本屋の中をうろついていたときにちょっと面白い本を見つけた。面白いと言っても内容的な意味合いではなく、(悪い意味で)話題の人物、村木風海(敬称略)の著書だったからだ。彼の風評はよく知っていたので別に通り過ぎてもよかったのだが、何も読まずに批判するのも不条理だと思ったので、手にとって読んでみることにした。

世に蔓延るいわゆる「トンチキ本」と言われる本にも2種類あって、センセーショナルでユニークな文章で読んでいてまさに「面白い」(でもツッコミどころはたっぷり)というタイプの本と、読んでいてあんまり面白くなく、こんなん紙の無駄遣いじゃんとしか思わないタイプの本がある。

今回の村木風海の本はまさに後者で、200ページ近くあるのに文章が散漫でページもスカスカで、正直内容薄くない?というのが感想である。言っていることも最近彼が言っていることと大して変わりはなく、内容もタイトルも割愛していいなと思ったのでここでは触れないことにする。

それだけならこんな文章は書く必要はないのだが、一つだけユニークな点があった。それはこの本が2021年の出版だということだ。彼がTwitter上で話題になったのは2023年の3月くらいに東大を卒業目前で飛び出したというニュースがでたあたりだったと思う。ただ逆に言えば、彼は大学2回生の時点ですでに今のようなことをしていたということである。

私は最初彼のことを耳にしたとき、在学中に変な天啓を得て突然変なことをやりだし、呆れた外野とすったもんだして研究室を飛び出したのだと思った。ましてそんな人間の立ち上げたベンチャーなど、悪い大人に食い物にされて終わりだろうと考えていて、彼は若気の至りで大きなものを失った、という見方をしていた。しかし大学に入ったあたりからすでにヤバいことをしていたとなれば話は別で、指導教員も相当手を焼いたんだろうな、と考えを改めた。

とはいえ、ただ彼を非難するのは本質を見逃しているように思う。経歴を辿れば炭素回収某がプロジェクトとして動き始めたのは彼が高校生くらいの頃である。あのそれなりに大きなハコモノを動かすために必要なカネとヒトを、彼一人で差配した、というのは、にわかには考えにくい。彼を神輿として担ぎ上げてカネとヒトを動かしている大人がいるというのが妥当だろう。

この大人は正直なところ、自分が甘い汁を吸うためにちょっとした成功で浮ついていた村木風海に近づいたようなヤツだというふうに思う。カネを動かすための看板として、ひどくフワフワした目標を掲げていた村木風海を体よく利用したというのが実態だろう。個人の印象として彼の言っていることはかなり幼稚で、小学生の書いた夢か?という感じだ。しかし利用する人間としては、そのままでいてくれるのが、丁度いいのだろう。

私は一人の人間としてこの、大学卒業目前ではなくもっと前から悪い大人に食い物にされているという状況から、彼を救い出してやらないといけないと思っている。ブルー某ではないが、自身の見識の狭さ故に悪い大人の打算を見抜けず利用されるままの子供に、全ての責任を求めることはあまりに酷だろう。やってやれることは多くはない。せいぜい行政の専門家だったり、ムーンショットアンバサダーとかいう胡乱な肩書についている表向きの権威を引っ剥がしてやることくらいだろう。それでも必要なことだとは思う。

彼は遅かれ早かれ、自分が騙されているということを知ることになるだろう、あるいはもう知っているのかもしれないが。できることならば、そのときになってなお甘言をもって近づいてくる大人の手を、自力で振り払ってほしいと、願うばかりである。もちろん、今の彼にはとても難しいことだとは思うが……


いちおう、その本とやらのリンクを載せておく、彼の言行録を紙で残しておく以上の価値はない。

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