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【Singer-000】雨が降る度に〜知恵胡椒〜


お互い寂しさためて 待ちに待った火曜日
突然雨が降り出して 慌てて二人走った

自分を責めだす君を 見てたら急に
付き合えて良かったと 心から思えた

雨が降る度に 君の 優しさ見えてきて
雨が降る度に 君を 好きになってくよ

(【Song-003】雨が降る度に)


 僕が歌を創るようになったのは大学受験に失敗し、浪人していた頃だ。19歳の頃である。その時、僕には生まれて初めて、彼女が出来た。彼女の名はC子。

 受験の大切な時期に彼女なんて…と思われるかもしれない。けれど、もしC子と出会っていなければ、シンガーソングライターになっていなかったであろう。

 当時、お互い浪人生で、自由な時間など殆ど無く、会える理由は殆どが「一緒に勉強するため」だった。そして寂しさを溜めて、やっと会えた日には、必ずと言っていい程”雨が降る”のである。

 僕はどうやら”雨男"らしい。うわ…今この記事書いてて気がついたんだが、外で雨が降ってる(嘘ではない)

 ライブの日は必ずと言っていい程、雨が降る。しかも不思議にも「今日のライブ不安だな〜」っていう日に必ずだ(笑)

※ライブに来てくれるファンの方々へ朗報です。今ならもれなく、ライブ当日の天候で僕のコンディションが分かります。なのでもし、雨が降っていたらライブの成功をお祈りください

話を戻そう。

せっかく会えるのを楽しみにしてたのに「今日も雨だね」と盛り下がる二人。そこで僕は思いついた。この雨を逆に利用して、”盛り上げる歌”を創ろうと。

さすが、伝説の絶対的楽観主義麦汁アーティスト「よーこ」から生まれた僕だ。雨すらもポジティブに思えるだろうと、根拠のない自信だけはあった。

そのあと予備校の自習室で、しばらく思索…

「雨が降るからこそ、お互い濡れないように傘でかばい合って、風邪を引かないようにハンカチで拭き合えるんだ。」

「二人とも恋愛が初めてだったので、付き合うというのが手探りだった。そんな中、雨のおかげで、二人は優しさを表すことが出来て、少ない時間でも心の距離を縮めて行くことが出来たんだ。」

これだ!!

幸せな時は、どんな事でも幸せに思えるらしい。

家に帰り、早速、歌の創作に取り掛かる。そして自宅で、今や懐かしいMDに録音。

 当時、流行っていたテレビバラエティの企画に「ラブソングを創って彼女の前で初披露!」というものがあった。その歌は、それはそれは酷く、ラブソングを作ってもらった彼女のドン引きした顔で、お茶の間の笑いを誘うものだった。だから余計に怖かった…僕もそうなるんじゃないかと…

後日、彼女と会った時に、MDをイヤホンで聴いてもらった。


緊張の瞬間…


「にこっ」


あの時の彼女の微笑みは、14年の歳月を経た今でも鮮明に覚えてる。

あの瞬間、僕は彼女から歌を創る喜びを教えてもらった。「誰に笑われようがC子が喜んでくれればそれでいい」と心から思えた。そしてそれはそのまま「僕に歌う自信」を与えてくれた。

シンガーソングライタとしての最初の一歩を踏み出した瞬間であった。


 彼女に教えてもらった、もう一つ大事なことがある。それは”女性特有の素晴らしさ”だ。実は、僕はC子と出会うまで、”女性嫌い”だった。いや”女性不信”と言うべきか。

 それまでの僕は、好きな女の子が出来ても、なかなか告白することが出来ず、迷っているうちに違う男の子に告白されて、失恋。今度は勇気を振り絞って告白しようとすると、うやむやにされてフェードアウト、その後凄く気まずくなる。こんなパターンばっかりだったのだ。

 C子の素晴らしいところは、沢山あるが、中でも、僕に影響を与えたのは”人の陰口を決して言わない”ところだ。彼女と約二年半付き合ったが、一度も彼女から”人の悪口”を聞いたことがない。彼女と別れて違う人と付き合った時に、それは思い知らされた。

「陰口を聞いて気持ちいい人などいない」と。

 そしてどこまでも”公平”だった。例えば、僕が誰かの文句を言っても、「それは、もしかしたら相手も嫌な思いをしているからかもしれないよ」と。彼氏である僕を擁護するのではなく、いつも客観的に話を聴いてくれて、僕の欠点を優しく指摘してくれた。

今、こうして思い出すだけでも、本当に素晴らしいよC子。

本当に良い思い出。僕は幸せ者だ。

 僕は彼女と別れてからも、出会う女性から、女性特有の感性だったり、考え方、捉え方、優しさを教わった。それらは間違いなく”今の僕の生き方”、そして”歌”に影響を与えている。

 C子の存在は、それまで人間不信で味気なかった僕の人生にとって、とても強烈なスパイスとなった。

 そんな彼女から刺激を受けて出来た曲は約10曲。その中でも一番僕の心に残っている曲は、雨が降る時、たまに思い出す”あの曲”だ。


このnoteを気に入って投げ銭してくれる方へ

 このエピソードにまつわる曲「【Song-003】雨が降る度に」の歌詞をプレゼントします。当時のままの歌詞で歌おうとしたのですが、いろいろ感じるところがあり、タイトルも含め歌詞の一部を修正いたしました。C子さんごめんね。

以下歌詞です

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