BOFXVII参加作品「馴鹿之骸」について

こんにちは。tchebです。

BOFXVII参加チーム「愉快で歪な世界の終わり」および参加作品「馴鹿之骸」、お楽しみいただけましたでしょうか。

この記事では「馴鹿之骸」のセルフライナーノーツ的な作品紹介をさせていただきます。よろしくお願いします。

※有志の方の譜面動画を参照したりしてます。ゆるして。

リファレンスについて

これに関しては察しの良い方はお気づきかと思いますが、以下の作品に強く影響を受けています。

「雪月夜鐘/guna」

僕自身BMS始めた当初からmaki先生(かつてはridis氏であったりguna氏であったりしましたが)の大ファンで、かつても近い方向性の作品を作ろうとしたことがありました。
それが2014年の戦國に出した、この作品。

「LUNA/tcheb」

この頃まだまともに音源揃えたりしてなかったので、今の環境でこの方向性のリベンジをしたらどうなるだろうか、というところが製作のきっかけになりました。

正直最後までジャンル名NOCTURNEで行くかFANTASIAで行くか迷いました。

曲製作について

ということで曲製作がはじまりました。 ただ正直何考えて作ってたかあんまり覚えてません。作ったの2月とかなので許して

とりあえずBPM190はボクが魂込めるときのBPMで、過去作にもいくつかあります。そういう立ち位置の曲にしよう、とは思っていたんでしょう。

ピアノはいつも使ってたフリー音源(PianoOne、あんまり微調整はできませんが粒立ち良いのでフリーの中ではおすすめです)ではなく、せっかくなのでセールでクソ安くなってたから買ったものの全然使ってなかったUVIのピアノ音源を使ってます。ちょっとメロウな感じの音色なので今回の雰囲気には合っていたんじゃないかと思います。ボクのDAWとの相性がそんなに良くないのかヘタな動作するとよくフリーズするけど。

そんなこんなでイントロ〜Aメロまで製作。聴き直してなんか足りないなーと思ったので雪月夜鐘を参考に低音のAcidっぽい音入れたりしました。このへんのセンス無いのでフィルター開閉してるだけですが・・・

確かこの辺りで〇〇の骸みたいなタイトルにしようかなとぼんやり考え始めました。この「骸」というワードですがちょっと前プレバト俳句で某ジャニーズタレントが詠んでいた俳句からインスピレーションを受けています。節操なく影響受けてるなこいつ。

過去作からの引用について

で、この辺まで順調に来てたのですが展開が思いつかなくなります。どうしようこれ。
ここでそういえば巷で流行りの「過去作からの引用がエモい」というやつ、ボクまだ一度もやってなかったなということを思い出します。
しかしボクの考え方としては基本的には過去作からの引用に関しては全面的に肯定的な立場ではなくて、エモくなる反面「その曲」の持ち味を薄めてしまう、と考えています。でも一度やってみたい。どうすればいいか。

過去作から引用することにガチガチに意味を与えてやればいいではないか。

そこでまず白羽の矢が立ったのがBOFU2015で出した「The Hope」という作品。

実は今はなきナ○ビートにも入ってました。知ってたかな?
この作品、音のレベルが正直あれだったのであまり評価もよろしくなかったのですが、曲展開に関しては結構好評いただけていたのでなんか一矢報いたいとずっと思ってて、タイトルも「希望」というシンプルなものだったので、こんかいこのメロディを「希望を象徴するテーマ」として入れていこう、と思った次第です。
このあたりから徐々にガッツリ物語プロットを書いていくことを決めていきました。

そしてこのメロディは曲の雰囲気からすると異質な「アコーディオン」で鳴らされます。これはこのメロディがここではないどこか違う場所での記憶であることを意味しており、さらに途中から元のメロディから離れていくことでその記憶、「希望」すらも忘れていく様子を表現しました。まあぶっちゃけ買ったけどまだ使ってなかった音源試してみたらうまいことハマっただけなんですけど。

そしてここの裏で鳴ってる伴奏のフレーズなんですが、これまたBOFU2015で出した「Our Dream, Our Justice」のサビ裏伴奏フレーズと同じ動きをしています。

これはたぶんこっちを相当遊んでないと気付けないと思うんですが、気づいてもらえるようにSPH,Aではこの裏フレーズをあえて譜面に入れることで少しヒントとさせてもらいました。
この曲こんなタイトルなんですがテーマは「信念を貫く」なので「信じること」の象徴として使いました。正直いまだにこの曲に対する思い入れは深くて、ラストの展開(Dの音を軸に8小説全部和音変える)とかよく思いついたよなあって思ってます。今たぶんこんなん作れん。

そしてサビへ

ポップスではないから果たしてサビと言っていいのかわからないがメインフレーズに入っていきます。
もうここまで来ると節操がなくなります。ボクの中ではこれしかないと思っていました。

「イノリ」のメロディを裏で流しながらメロディを展開させる。

BPMも同じだしキレイにハマりました。調は違いますが、最後1音上に転調するのもこの曲に合わせてます。
ちょっと前のチップチューンイベントで「何で今更デビュー曲擦り始めたんだ?」と思った方もいたかもしれません。こちらですね。

これ、実は「馴鹿之骸」より後に作った曲で、馴鹿之骸で擦った結果もっと擦りたくなってできた曲でした。こぼれ話。

話を戻すとそんなこんなで展開させたら普通に2分超えたので〆ました。最後どうしても「終わり」感を出したくてリタルダンドさせたんですが音切りが本当に面倒だったのでよいこはまねしないほうがいいです。ミスの元だし。

改めてタイトルについて

ここまで実はタイトル「骸」しか決まってませんでした。
曲も曲だし冬っぽいのがいいなーと思ってハマりそうなもの色々探した結果、トナカイは漢字で「馴鹿」と書けると知り、もともと雪月夜鐘に合わせて漢字4文字タイトルにしたいと思ってたのでぴったりハマり、採用に至りました。
で、これを元にプロットを書いていきました。そう、実はこれ話に合わせた曲じゃなくて曲に合わせた話なんです。
自分でもなんでこんな悲惨な話がかけたのかわかりませんが、プロットの最後に

「トナカイは来る日も来る日も待ち続けた。「かわ」をなくしても。」

と書いたのですが、実はこのオチが初めに決まっていました。
どういうことかというと、察しの良い方はお気づきかもしれませんがこの「かわ」というのは「皮」と「川」を掛けていまして、
皮をなくしたトナカイ→死
川をなくしたトナカイ→馬鹿
となるんですね。信じて待ち続けた者が最終的に馬鹿を見るというとんでもなく救いようのない展開なのですが、ここから転じてボクがこの作品に込めたメッセージとして

「世界を変えたくば、自ら動け。」

これに尽きるのです。
この言葉を自分で裏切らないよう、今回のBOFはやりたいことをやり切る、をテーマにメンバーを集めることにしました。

BGAについて

BGAは今回もマスティ先生に依頼しました。「Mr. BLACKRUM」以来の3年ぶりのタッグになります。

ここから3年も経ってるの信じたくなさすぎる。

正直曲とプロットができた時点でこれ具現化できるのはマスティ先生しかいないと確信していました。
お忙しい中引き受けてくださり本当にありがとうございます。
マスティ先生には曲とプロットをお渡しし、プロットの流れに沿う形で、とお願いしました。
完璧なものが返ってきました。完璧すぎて自分で作ってお願いしたのにつらすぎてあんまり直視できてません。(なんやねん。)

ちなみにBGAが白黒なのも雪月夜鐘意識なのでは?という噂がちらほら流れていますが、特にそういうお願いはしてないので偶然だと思います。多分。
それよりなんの打ち合わせもしてないのにチーム全員BGAが白黒基調だったことがびっくりだよ。どんな奇跡だ。

チーム「愉快で歪な世界の終わり」について

少しチームについて触れてしまいましたが、曲とプロットができたところでチーム構想を考えました。そう、チームメンバーにも特に明かしていませんでしたがこのチームはこの曲ありきのチームだったのです。

ボクの作品が「静✕ポップ」(ポップ???)として描く世界の終わりなら、もっと色々な視点で描かれた世界の終わりを見たい、そういう思いから誘いたい人を考えていきました。実は何名かの方には断られてしまったのですが、最終的に

・ブレイクコアでもロリコアでもとりあえず世界ぶっ壊してくれそうなかたぎりさん
・オーケストラで壮大に世界を終わらせてくれそうなしなちくシステムさん
・どっち名義でも終末の世界観を描いてくれそうなuytrereさん

に声をかけ快諾いただき、各々自由に世界を壊してもらいました。ホント自由にやってもらったはずなんですが、なぜか「silly-willy-nilly」→「馴鹿之骸」→「絶滅」→「Terminus.」の順で聴くと「終わりのはじまり」から「完全なる終焉」までを描いた連作のように聴こえるので、この順で遊ぶのがおすすめです。全部置いときます。

ちなみに絶滅のBGI(?)はBGIなんもないのもあれだしなあと思って30分くらいで作りました。本当はもう少し絶滅してそうな文字加工とかしたかったんですが残念ながらペイントしか持ってないので・・・許してくれ

本当にありがとうございました

今回の作品を手に取ってくださった、そしてインプレをしてくださった皆さん、そしてチームを組んでくれたチームメイトの皆さん、BGAを作ってくださったマスティさん、そしてこの記事を最後まで見てくださったそこのあなた。
本当にありがとうございました。いま全然曲書いてないので今後どうなるかわかりませんが、機会あればまたよろしくおねがいします。

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