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中国のEV市場調査に行ってきました

こんにちは。トヨタコネクティッド 先行企画部 新技術開発グループでソフトウェアエンジニアとして働いている箭本です。

今回は先行企画部のメンバーで中国 上海のEV市場の調査に行くことができましたので、現地の様子や感じたことを共有させていただきます。

ショールーム訪問

専門家の先生に同行していただき、メーカーや車種のポイントをご説明いただきながらショールームを訪問しました。今回は合計6社のショールームを訪問することができました。

今回訪問したショールームは全てショッピングモールの中で営業しています。日本ではカーディーラーと言えばロードサイドにあるイメージでしたが、ショールーム機能をショッピングモールに展開するのは潜在顧客との接点を増やすという点でもよいと感じました。

特に興味深いと感じたメーカー・車種をいくつかご紹介します。

極越(ジーユェ) 01
検索大手のバイドゥと自動車大手のジーリーの合弁会社によるミドルサイズSUVです。

極越(ジーユェ) 01

AI 性能の高さとエンターテイメント機能を特徴としています。

中国のEVは天井部分に LiDAR(レーザー測距)センサーが付いているものが多いですが、極越 01はカメラだけで運転支援を実現しています。音声認識に関してもAIが活用されており、複数人が発声したコマンドを聞き分け処理する機能を持っています。(例: 助手席側の人が「窓を開けて」と言った場合、助手席の窓だけが開く)

車内でレースゲームをプレイしている様子

またエンターテイメント機能ではメーターなどを兼ねている大型モニタを使ってゲームをプレイできるなど、かなり高性能なプロセッサがエンターテイメント用にも使われていることが伺えます。

ファーウェイ AITOシリーズ
日本ではスマートフォンでお馴染みのファーウェイですが、中国ではEV販売台数首位を記録する月があるなど自動車メーカーとしても存在感を強めています。

ファーウェイショールーム

ファーウェイのショールームは自動車専門店ではなく、スマートフォンやPCなどと同じフロアでEVが展示されているのが面白いポイントです。

ファーウェイ製のスマートデバイスとの連携機能もあり、エコシステムの一部としてEVが販売されているところが強みだと感じました。

NIO
新興のEV専業メーカーである NIO は駆動用バッテリーの交換システムが特徴です。
NIO のバッテリー交換ステーションは3分でバッテリーを自動的に交換することができ、充電時間の問題を解決しています。

NIOショールーム

ショールームは Apple Store を彷彿とさせるクリーンな印象です。NIO は自らをライフスタイルブランドとして打ち出しており、カーデザインやショールームのデザイン、販売されているグッズ類まで統一された印象を受けました。

NIO ET5ツーリング

NIO のショールームには NIO House と呼ばれるオーナー向けラウンジが併設されており、オーナー同士の交流の場として活用されています。

NIO Power バッテリー交換ステーション

実際にバッテリー交換が行われている様子を見せていただきました。

ステーションに入庫中のNIO製EV

オーナーはスマホアプリから各ステーションに充電済みのバッテリーがあるか確認することができます。

バッテリー交換ステーションのアプリ表示
待ち人数やステーション内のバッテリー状況などが確認できる

ステーション前の指定位置まで車を進めると、そこからは自動運転に切り替わりステーションの中に車が自動的にセットされます。

バッテリー交換中の様子

ステーションの床が開き、自動的にバッテリーを交換します。さながらロボットアニメの発進準備のようです。
入庫からおよそ3分でバッテリー交換は完了し、そのまま走り出すことができます。

バッテリー交換サービスはサブスクリプション契約が必要とのことですが、充電時間に縛られない点やバッテリー本体の寿命を気にしなくて良くなる点など、非常にメリットが多いと感じました。

NIO House

オーナー向けラウンジである NIO House にも訪問させていただきました。

壁面のグリーンが象徴的でした

カフェやキッズスペースなどがあり、オーナーの方々はショッピングの休憩やコワーキングスペースとして使用されているようです。

NIO House 会議室

またイベントスペース、会議室などもあり、オーナー主体でイベントを開催するなどの交流の場としても使用されています。

NIO House イベントスペース

近しいライフスタイルを指向する人同士のコミュニティということもあり、積極的に使用するオーナーの方が多いとのことで、車を売った後の顧客接点を重要視していることが伺えます。

EV充電ビジネス

上記で紹介した NIO Power も充電ビジネスの一つですが、今回は充電をメインに事業をされている 送来電 の拠点にも訪問させていただきました。

送来電はEVオーナーがアプリで指定した場所にEV充電用のバッテリーをデリバリーし、充電を代行するというサービスを行なっています。

バッテリー充電拠点としてコンテナを改造して使用していました

コンテナ内ではたくさんのバッテリーが充電されており、これを専用の車両に積み込んでデリバリーしています。

保管・充電されているバッテリー

バッテリーや配達車両は独自に開発しているとのことでした。
このような充電サービスは救援用がメインなのかと思っていましたが、実際には日常の充電として利用するEVオーナーが多いとのことです。現在上海ではEV・PHEV以外の新車登録が難しいということもあり、充電設備のデリバリーといったサービスには今後も需要が増えていきそうです。

EVオーナーインタビュー

上海でEVを所有している方へのインタビューと車両への同乗走行をさせていただきました。

複数のオーナーさんからお話を伺いましたが、みなさん共通していたのはガソリン代よりEVの充電にかかる電気代の方が安いということでした。
中国は電気代が比較的安く、同じ距離を走るのにかかるコストはガソリンよりEVの方が安いようです。

同乗ではショールームでは感じられない実際の使用感や、走行フィーリングなどを感じることができました。

IMモーターズ LS6
ダッシュボード上にも横長タイプの液晶が2つある

大きなモニターと360度カメラで狭いところの安心感がありそうです。
どの車種にも似たような機能が搭載されていました。

NIO ET5

具体的な写真はお見せできませんが、内外装のカスタムをされている方も多かったです。ボディ全体をラッピングして色を変えている方、車内にカーボンパーツなどをつけてドレスアップしている方などがいらっしゃいました。

まとめ

私たちが行った中国のEV市場視察では、様々なEVに触れることができたと共に、EVとスマートデバイスとの連携やバッテリー関連のサービスなど、様々な革新的なアイデアが実現されていることを肌で感じることができました。

特に、NIO House のような顧客との接点を深めるサービスは、ただ車を売るだけではない、新しい時代のビジネスモデルだと印象的に感じました。オーナーとの対話を通じて、EVの日常生活への溶け込み具合や、経済的なメリットも実感できました。

また車内エンタテイメント、テレマティクス関連の機能についても UI/UX を重視したものづくりがされており、多くの学びを得ることができました。

最後までご覧いただきありがとうございました。



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