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2019/1/20 風をよむ「どうなる? 日韓」

・慰安婦・徴用工・レーダー照射問題などねじれる日韓関係

・一方で韓国は南北融和と親中国の姿勢

・揺れ動く東アジア情勢

14日、第三国のシンガポールで行われた、レーダー照射問題の 日韓実務者協議。 直接、顔を合わせての話し合いは、問題発生以来、初めてでしたが…、


岩屋防衛相 「大きな進展がなかったことは、残念に思っています」

日本側は、電波や音の情報を提示する用意で協議に臨み、秘密情報を互いに交換するよう提案。しかし、韓国側がこれに同意せず、協議は平行線のまま終了したとしています。

一方の韓国側は、
韓国国防省:崔賢洙報道官「(今回の日本の)要求は非常に無礼で、解決の意思がない強引な主張だ」

高圧的とも思える姿勢で、日本側を批判したのです。
 
ねじれにねじれる、日韓関係。こうした状況を、両国の人々は、どう受け止めているのでしょう。

今月14日に発表された韓国の世論調査によると、文政権の日本への対応について、「より強硬に対応すべき」と する人が45.6%、「現状通り対応すべき」が37.6%で 強硬姿勢への支持は、実に83%に上りました。

一方、JNNが発表した国内の調査では、「韓国側の主張に納得できるか」を聞いたところ、「納得できない」が 81%にのぼり、この件に関しては、日韓双方の国民の多くが、 相手側の対応に、不満を抱いている様子がうかがわれます。

そうした中15日、韓国側から、気になる報告書が公開されました。韓国国防省が2年に一度公表する「国防白書」です。

その内容を、前回の2016年の白書に照らし合わせて読むと、注目すべき記述の変化が見えてきます。

例えば、2016年には、日本との関係についてこう述べています。「日韓両国は、自由民主主義と市場経済の基本価値を共有している」

日韓は同じ価値観を共有し、理解し合える関係にあるという趣旨です。ところが、2018年では、この表現が消えました。

一方、北朝鮮に関しては、2016年には、「北朝鮮の政権と北朝鮮軍は我々の敵である」としていた記述が2018年には削除されています。

背景には、去年11月以降、北朝鮮と韓国は、北緯38度の軍事境界線  近くにある双方の監視所の撤去を開始するなど、融和ムードの進展があるようです。

こうした、韓国国防白書の記述の変化は、何を意味しているのでしょう?

辺真一さん「日本の比重が下がった、冷めた見方をしている。日韓は揉めごとがあっても、最後は北朝鮮問題で協調してきたが、文在寅政権になって、もはや『北朝鮮は共通の敵にあらず』ということで、日韓が足並みを揃えることはなくなった。また、支持率がさらに急落する恐れがあることを考えると、とても日本に歩み寄ることはできない」

日本に対する姿勢の変化は、他の部分にも見えます。
           
国防白書の「周辺国との交流・協力」に関する項目を見比べると、2016年は、日本を筆頭に、中国・ロシアの順になっていましたが、2018年では、筆頭にあげられたのは中国で、次が日本になっています。

経済低迷に苦しむ韓国の文大統領は、中国の習近平国家主席が進める「一帯一路」構想を、積極的に支持するなど、中国との関係修復を重視。
また軍事面でも、2017年夏、中国の強い反対を押し切り、アメリカの
ミサイル防衛システム・サードを導入、中国を怒らせた韓国でしたが、
14日、韓国海軍艦艇が、およそ4年ぶりに中国の上海に寄港しました。

中国と韓国との関係が深まる一方で、アメリカ・トランプ大統領は、

トランプ大統領「戦争ゲーム(米韓軍事演習)を中止する。多額の費用を節約できるからだ」

去年6月の米朝会談後、米韓軍事演習の中止に言及した、トランプ大統領。さらに「在韓米軍をいずれ撤退させたい」と、将来の撤退論まで、口にしたのです。

こうした東アジアでの動きを、共同通信の太田さんは、

共同通信:太田昌克氏「トランプ流の一国主義的な内に閉じこもる外交が、今この日米韓同盟を非常に弱体化させ、中国が大きなプレーヤーになっている。それで、その中国に韓国が非常にすり寄っていく構図が生まれている。南北融和で、非核化が曖昧なかたちで進む、で怖いのが在韓米軍が大幅削減、ないし撤退してしまう。とすると、何がおきるか、要するに、<親・中国の統一朝鮮>へ向けた朝鮮半島であると。そういった中で、東アジアの平和的な安定を主導していくのが、日本の役割。それを外交力によって行うしかない」
 
世界の仕組みが、大きく変わり始めた、混沌の時代。揺れ動く東アジア情勢に、日本はどう向き合えばいいのでしょう?


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