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2020年5月17日 「風をよむ~ 新型コロナ “第2波”?」

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アメリカ国立アレルギー感染症研究所 ファウチ所長「感染者の増加が少し見え始めて、大流行をもたらすのを懸念している」

アメリカの感染症対策チームの主要メンバーであるファウチ氏は、12日、議会上院の公聴会で、拙速な経済再開は、第2波を招きかねないと、警鐘を鳴らしたのです。
 
第2波への不安は、アメリカだけではありません。

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CCTV(中国中央テレビ) 「対策チームは、武漢市は常に緊張感を持って対策をしなければならないと強調した」

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中国が、世界に先駆け、都市封鎖の解除をして1か月。武漢では今月に入って、同じ団地内であわせて6人の感染が確認され、35日間続いていた“感染者ゼロ”の記録がストップ。

また、新型コロナ対策で高い評価を得ていた、韓国でも・・・

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韓国YTNニュース(5月12日)「クラブの集団感染で検査待ちの人が急増し、安心できません」

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ソウル市内のクラブで発生したクラスターで、160人以上の感染が判明。全国で2次、3次感染が確認されています。

規制を緩めた国々で、頭をもたげ始めた、第2波への懸念。日本も例外ではありません。

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北海道・鈴木知事「患者増加の状況を見ると、“第2波”とみられるのではないか」

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2月、独自の「緊急事態宣言」で感染拡大を抑え込んだかに見えた、北海道。しかし、4月に入って札幌市を中心に、病院などで、クラスターが相次ぎ、「第二波」の感染拡大が、懸念されているのです。

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第二波、さらに第三波と、繰り返し押し寄せる感染拡大。その深刻さを、人類はすでに100年前にも、経験していました。

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第一次大戦さなかの1918年春、アメリカから始まったとされる、インフルエンザの大流行

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いわゆる“スペインかぜ”です。

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アメリカから軍艦で、ヨーロッパの戦場に向かう、兵士たちによって、運ばれたウイルスは、各地で感染爆発を引き起こしながら、世界中に広がったのです。 

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しかもこの時、大戦のさなかにあつた国々は、ウイルス感染による戦力低下が、敵国に知られるのを恐れ、情報を封印。感染に拍車をかける結果となりました。

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この間、中立を保っていたスペインが、インフルエンザ大流行を、報道したことから、“スペインかぜ”と呼ばれています。

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世界中で、4000万人、一説には1億人とも言われる死者を出した、スペイン風邪。日本での犠牲者は、およそ38万人にも上りました。

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当時は有効なワクチンや治療薬はなく、感染対策として国は、患者の隔離やマスクの着用などによる、予防を呼びかけましたが、手洗いの認識は低く、丁寧な手洗いを促す声はありませんでした。

日本人とウイルス感染の関係について、しばしば語られるのが、日本の軍艦「矢矧(やはぎ)」での集団感染です。

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呉を母港とする軽巡洋艦・矢矧は、1918年、兵士や医療関係者など469人を載せて航海。途中、立ち寄ったシンガポールで、上陸した乗組員によりウイルスが持ち込まれ、船内で集団感染が発生。306人が発症、48人が死亡しました。

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この“スペインかぜ”には、ある特徴が指摘されています。

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1918年の春から夏にかけて、米国とヨーロッパを中心に感染を広めた スペインかぜは、夏場、いったん小康状態に入ったあと、秋の訪れと共に、再び欧米を中心に、爆発的な感染をもたらしました。

つまり、流行は一度で終わらず“第二波”“第三波”と繰り返すのです。

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“スペイン風邪”は、なぜ繰り返されたのか?その理由については、さまざまな指摘がなされています。第2波が、インフルエンザが流行しやすい寒い時期と重なったこと。

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さらに、他の大都市が、劇場などの娯楽施設を閉鎖する中、一部の都市で、劇場やカジノの営業を容認。その結果、多くの市民がそこに集まり、感染爆発を招いたというケースもありました。

しかし、ウイルス感染症が怖いのは、それだけではないのです。

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大正11年、内務省衛生局が出した、“スペインかぜ”に関する報告書には、次のような内容の記述が残されています。

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『流行性感冒』内務省衛生局 編より「患者数は前流行に比し約其の十分の一に過ぎざるも、其病性は、遙に猛烈にして、患者に対する、死亡率非常に高く・・・」

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第二波の致死率は、第一波の4倍以上に跳ね上がったのです。

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なぜ、スペインかぜの第二波が、高い致死率を示したのか?現在では、ウイルスの変異によって、高い病原性を獲得した可能性が指摘されています。

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8都道府県をのぞき、緊急事態宣言を解除した日本を含め、世界各国が、経済を支えるための出口戦略を急ぐ中、懸念する声も上がる“第二波”。

新型コロナとのせめぎ合いは、いつまで続くのでしょう?

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