風邪21

2019/2/3 風をよむ「AIって何だ、 人間って何だ」

・人間の仕事を奪う”AI”の最先端技術

・10~20年後、アメリカの職種の47%が自動化?

・AIが人間の知能を越える時期は”2045年”・・・

1月28日のスペインの首都マドリード。道路を埋め尽くすのは、タクシーの列。

スペインでは、マドリードとバルセロナでタクシー運転手が、先月から大規模なストライキに突入したのです。

タクシー運転手「タクシー業界での内輪もめとして片付けられる話などではない。これは凶暴な資本主義の話、経済のウーバー化、労働の不安定化に関わる問題だ」

タクシー運転手「タクシー業界に起きていることは、皆にも起こるってことなんだ・・・」
 
怒りの矛先が向けられたのは、アメリカのウーバー・テクノロジーズ。スマートフォンを使った運転手付きの配車サービスを展開しています。セールスポイントは、便利さと低価格。 それを生み出しているのが、AI・人工知能による効率的な配車システムです。

タクシー運転手たちはAIを活用する配車システムによって仕事が奪われることを危惧していますが、さらにこんな不安も・・・

自動運転を体験する記者「すごい、完全に自動で走ってます」

AIを活用した自動運転。便利さの反面、これも運転手の仕事を奪うことになるかもしれません。

AIとは、膨大なデータをもとに、コンピュータが状況に応じた対応を自ら見つけ、判断を下すという最先端の技術です。

将棋や囲碁で、プロ棋士を破るなど注目された、AIですが、私たちの身近なところでも、すでに実用化が進んでいます。

例えば、医療の現場では・・・

「たくさんの画像がありますから。この方で700枚くらい・・・」

AIを活用した画像診断。病気や異状がないか、1枚1枚画像を確認。診断する画像の数は、多い時には、一人につき、2000枚にのぼるといいます。

霞クリニック 北村直幸院長「人間の目ではどうしても見逃しということが、残念ながら起こりうるので、コンピュータで、AIで、補ってもらおうと・・」

北村院長は、すでにAIの方が、人間よりも優れた結果を出していると指摘した上で、画像診断に限らず、医療の広い領域で、AIが医師に取って代わることはありうるといいます。

一方、銀行では2017年、三大銀行グループが、10年間の間に、AIなどを活用して効率化を図り、人員と業務量を3万人分削減する、という計画を発表しました。

こうしたAIを巡る動きについて、街の声は・・・

男性「(AIが)結構進歩してきているから、人間の仕事が減っちゃうかも」

女性「自分が働くとなったら10年後くらいだから、その間にどんどん新しい人工知能とか出てきたら何も残されてないんじゃないかな」

女性「怖いですね。人間の居場所がなくなっちゃいそうで。便利さとかAIとか合理的なことを求めれば求めるほど最終的に困るのは人間じゃないかな」

AI技術の可能性が注目される中、聞こえてくる不安の声。世界では、そんな不安を裏付けるようなデータがすでに出ています。世界では、そんな不安を裏付けるようなデータがすでに出ています。

2013年、オックスフォード大学の研究者は、アメリカで、どんな仕事がコンピュータにとって代わられるのか、という論文を発表。その内容は驚くべきものでした。

オックスフォード大学の論文によれば、10年から20年後に、コンピュータにより自動化される可能性があるのは、アメリカの職種の47%にのぼり、その中には、レジ係、ホテルのフロント係、会計士、タクシー運転手など、私たちが、身近に目にしている職業の名前が並んだのです。

また、去年9月には、スイスのシンクタンク「世界経済フォーラム」が、AIなどの進展により、多くの仕事がうみだされるものの、2025年までに、世界で50%以上の仕事が、自動化されるという予測を、発表しています。

多方面で、さまざまな展開が予想される、AI技術。それによって、何が起きるのでしょう?

経済学者の中谷巌(なかたにいわお)さんは・・・。

中谷巌さん「AIと言うのは人間の脳を助けるもの。情報をドンドン自分の中に累積して、この人はどういう行動をとるだろうということを見事に解析できる。自分が判断するより、AIに全部任せた方が楽だということになるともう人間は、いらなくなる、ということにもなりかねない。自分は何のために生きているのか、とか、自分は何をしたいのか、人間って何だ、ってことになるのでは・・。そういう根本的、哲学的な問題を抱えていると思います」

“シンギュラリティ”ということばがあります。AI・人工知能が、人間の知能を越えるとされる転換点のことです。その到来は、2045年と予想されています。

 「風をよむ~AIって何だ、人間って何だ~」





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