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「タテガタ」動画向上委員会#1


「いい取材をして、いいニュース企画をテレビに出していれば、

 視聴者は、必ず見てくれるんだぁぁぁ!」


今はもう報道局にはいない、ある偉い方のお言葉・・・。

確かに、一理あるとは思うが、そもそも私自身、日常生活の中でゆっくり

テレビのニュースを見る機会は、ほとんどない・・・

ニュースチェックは、主にスキマ時間のスマートフォン。担当になるまでは

よほどのことがない限り、ニュースを動画で見ることはなかった。


「30代以下のテレビニュースをあまり見ない世代にニュースを届けよ!」

さて、どうしよう・・・電車で移動中にスマホを見ている人を観察すると

多くの人は「タテガタ」のまま、SNSをチェックしたり、ゲームをしたり、

ニュースをチェックしたりしている。


携帯を「横」にして、イヤホンつけて、音ありで海外ドラマ等を見ている人は

確かにいるが、テレビニュースをそうやって見ている人は、ついに一人も

発見できなかった。2017年2月、「タテガタ」との戦いがはじまった。


初期の「タテガタ」 「戦争」って伝わるのかな?


「戦争」って伝わるのかな というドキュメンタリーを「タテガタ」で、

無音でも見られるように文字を入れて編集してみた。16:9のテレビ画面

をそのまま活用できるよう、上下に「文字スペース」をつくってみた。

他にも文字をいれた形でニュース動画を展開している所はあったが、

16:9の画面に文字を入れていたため、文字が小さく読みにくかった。

フォントは「TBS NEWS」のフーツラと相性の良さそうな「メイリオ」。

ハードな内容にもかかわらず、「いいね!88件・再生5000弱」

それなりの手ごたえを感じた。

「新車の5割に自動運転 保険は大丈夫?」


次にトライしたのは画面を1:1にして、そこにハーフの座布団をしき、

2色の文字を入れた形。「人工知能」、「自動運転」、「大丈夫?」など

テーマにも助けられて、「いいね!603件・再生7万回」だった。

「この世で一番美しい双子だった」


シリアの化学兵器攻撃で幼いわが子を失った父親に単独取材した企画、

「この世で一番美しい双子だった」は11万回以上も再生された。

動画を見たのは、ほとんどが女性。10代、20代、30代、40代の女性が

ここまで、こうしたニュースに関心があるとは予想できなかった。

「大統領のいない夕食会で・・・」 映像:AP


ニュース動画という性質上、ただ、再生回数が多ければ良い・・・とは

これっぽっちも思ってはいない。それでも110万回も再生されると、

取り上げたくなる「弱い私」を皆様お許しください・・・(笑)


「いいね!1万件・再生110万回」の「大統領のいない夕食会で・・・」は

テレビでは放送していない動画だ。何人かの著名な方が「TBS NEWS」の

公式フェイスブックページでこの動画をシェアすると、瞬く間に再生回数が

急上昇・・・SNSの拡散力を思い知らされた。

「トランプ大統領が恒例となっている記者会主催の夕食会を欠席」・・・

というニュースは各社報道していたが、「で、夕食会は結局どうなったの?」

という、素朴な疑問から生まれた動画だった。


社内の温度が変わる

この110万回再生のおかげで、それまで冷ややかにトライアルを見ていた

報道幹部の温度が少し変わったように思う。しかし、この110万回再生の

おかげで、それ以降の「タテガタ」動画にチャレンジ精神が失われたのも

事実なのである・・・


(#2に続く・・・)

「ニュースが少しだけスキになるノート」編集部 池田誠