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なぜ彼は生きて還り続けられたのか?山野井泰史本人がズバリ!「これはトレーニングでは身につかない能力」 11/27 シネ・リーブル梅田舞台挨拶レポート

大阪では27日、シネ・リーブル梅田にて舞台挨拶を行った。山野井泰史の名言入り写真パネル展やパブボードなど、登山好き映画好きが喜ぶ装飾が劇場ロビーにされたシネ・リーブル梅田。上映後の舞台挨拶では、山野井泰史、監督の武石浩明が満足した、満席のお客様からの大きな拍手で迎えられた。

舞台挨拶では、26年の長きにわたって山野井氏を取材してきた武石監督が感無量の感慨を述べた後、印象的な劇場用ポスターの話になり、「クルティカ(※)が黒澤映画のポスターみたいだと褒めてたんです」と監督が言うと、山野井氏が「こんなに僕の顔が大きいなんて。。気味悪いからすぐに押し入れにしまった」と言い、会場を和ませた。
トークでは、司会から「ポスターにもあるが、山野井さんはなぜ生きて還り続けられたのか?」という質問があり、武石監督は「とにかく用心深いし確認をしっかりやる。同じ登山家として、僕がここは適当でも大丈夫と思えるような(ハーケンを打った際の)バウンステストも毎回しっかりやるし、一緒に登山言った時に、登山用具のロックを僕がしっかり締めなかったら、山野井さんが見てて「締めて」といわれたこともある。それがソロでやってきた山野井さんの長年の生きる術だったんじゃないか?」一方、山野井氏は「次を考える想像力。そういうものが僕には備わっていたのではないかと思う。他の人がそういう想像力を持っていないこと事もなんとなくわかる。これはトレーニングでは身につかない能力だと思う。」とズバリ、山野井氏らしい天才発言。これを受けて監督は「そういえば、山野井さんに同行した登山家は怪我こそあれ、誰も死んでないんですよ。人のことがよくわかるんでしょうね」と言い、山野井氏は「昨日WEBのトーク番組(※2)で服部文祥(登山家)が話していたが、登山家には天使系と悪魔系がいるが、同行してる人を誰も亡くしていない山野井さんは天使系ですねと言われた。僕が天使って。。」と苦笑。

その後、今作でも描かれている、元々ソロの登山家ながら、一緒に登る人には最大限楽しんでもらいたいと気を使いまくる“山野井スタイル“を披露した。
「(本編に登場する)南伊豆の未踏の岸壁はものすごく険しく難しいんですよ。そもそも(その岸壁を見つけた)篠原さんが取り付き(スタート地点)に行けない。なので、“世界的クライマー”の僕が、猪とかが通ったであろう、獣臭のするところかき分けて、ルート開拓して、スタート地点をセットおきました(笑)」
また、会場からの若い時の自分に生き方のアドバイスするとしたら?との質問に、山野井氏は「若い時から、精一杯やれるだけのことをやってきたので、何もない」ときっぱり。監督からの「本当は中学卒業したら、山だけの人生の方がよかったのでは?」のツッコミに「いや、それは母親に『泰史、高校だけは出てくれ』と言われたので、しょうがない」と答えるなど、山野井氏の天才的な言葉と人間性が溢れたトークで会場が沸いたひとときだった。

※1 ヴォイテク・クルティカ
   ポーランドが生んだ偉大な登山家。ヒマラヤの難峰を厳しいラインから、
   アルパインスタイルで攻略してきた。アルパインクライマーの先駆者。
   山野井夫妻とも交流があり、共にクライミングの経験も。
   ピオレドール生涯功労賞受賞者。
   
※2 共感シアター https://bals.space/theater/366/

  映画公開記念「レジェンドクライマー 山野井泰史のやばすぎる人生」
  ゲスト:服部文祥、山野井泰史、武石監督
  2022年11月26日配信

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