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舞台挨拶レポート『カリスマ~国葬・拳銃・宗教~』佐井大紀監督、千石まさ子(イエスの方舟 責任者)さん、千石恵(イエスの方舟 主幹)さんが登壇!

福岡での開催9日目となる5月6日(土)、『カリスマ~国葬・拳銃・宗教~』の上映後に、佐井大紀監督と映画に登場したイエスの方舟の責任者・千石まさ子さんと、主幹・千石恵さんが登壇し、舞台挨拶を行いました。
 
本作は、主人公とカリスマ、国葬、拳銃、宗教をテーマに、街録を交えたインタビュー形式で現在と過去のさまざまな社会現象を映し出すドキュメンタリー。
 
本作のテーマに至った経緯につて、「自身のADとしての経験から、身近にいたエキストラの存在をきっかけに、社会構造の中での主役(カリスマ)とエキストラについて考えるようになった。ちょうどその頃安倍元首相の国葬のタイミングも重なり、そこに一つの構造があるように見えた。」と答えた佐井監督。安倍元首相の事件が発端となり旧統一教会に関する問題が取り沙汰される中、本映画祭の大久保プロデューサーからきっかけを貰い、1979年~80年に起きた「イエスの方舟事件」の当事者の現在の姿を捉えるに至ったと紹介した。
 
佐井監督の取材に応じた気持ちを「イエスの方舟」の主幹・千石恵さんは、「(「イエスの方舟事件」当時の取材は)正直言ってものすごく酷かった。未だに誤解される方もいらっしゃるので、今回の取材を通して私たちの本当の姿を知っていただければ良いなと思った。基本的に取材を受けることは好きではないが、過去来TBSとの良好な縁もありお受けすることにした」と語った。まさ子さんも作品中で「宗教は嫌いです。」と語っており、イエスの方舟の活動はいわゆる一般的な宗教とは異なり、聖書をバックボーンにしつつ、社会的弱者の役に立つような活動を継続中と語った。団体の活動は、これまで博多の繁華街、中洲に飲食店「シオンの娘」を構え38年間経営。2019年に福岡市東区香椎に移転。そして、5月8日には福岡県古賀市のJR古賀駅前に再リニューアルオープン予定と伝えられた。
 
取材に至る最初のきっかけを聞かれ恵さんは、「大久保プロデューサーが、Amazonでイエスの方舟主宰者、千石剛賢著『隠されていた聖書』を購入したことだった。」と明かした。注文が入った後日、大久保という名前で店の予約が入り初来店。その後、佐井監督と共に店を訪れた。話をしていく中で佐井監督の真面目な人柄にも触れ、取材を承諾したと語るまさ子さん。取材にあたり何度も店に足を運んだという佐井監督は、「時には酔いつぶれて寝てしまったり、悩みを打ち明けたり、沢田研二の曲を歌ったりと、もはや普通のお客さんと同じような感覚で関わることで打ち解け、よい関係性が自然とできていった」と振り返った。映画が公開された現在も取材は継続中で、今回の舞台挨拶も佐井監督自らカメラを設置し撮影。今後も、TBSのドキュメンタリー枠で放送予定と発表された。
 
自身にとってドキュメンタリーとは何かを聞かれた佐井監督は、「社会や他社を通して自らを知ること。取材対象者と自分がぐっと近づけば近づくほど自分が見えてくる。」と答えた。自身もシネフィルであることが紹介され、テレビ、映画それぞれの面白さを問われると、「テレビに求められる、『分かりやすく伝える』ことは実は難しく技が必要。一方で、映画はコミュニケーション。明確に考えを提示しないからこそ、自分の内面と向き合えるきっかけを作る。」と、魅力を語った。あえて、分かりやすい「答え」を提示しない作品の手ざわりについて触れながら、最後に観客に伝えたい想いを聞かれると、「答えなんていうのはそもそも出るはずじゃない。分かりづらさを抱えてもどかしさを抱えながら生きていってほしい」と想いを伝えた。

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