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みーつけたっ【リップグリップ】

偶然がいくつか重なって
だいぶ小さな確率でみつけた
マセキ芸能社のリップグリップさん
これから慎ましく推していきたい若手漫才師

田畑藤本さん好きな方
もしかしたらお好きかも

ダイタクさんだけ見よう

M-1の3回戦の全動画が公表された。

訳あって、M-1に対してはただいま絶賛逆恨み中。

いろんな漫才。
見たくもあり、見たくなくもあり。

応援しているコンビは大阪にも東京にもいるけれど、
負ければつらいし、
勝ち進んでも、それはそれで眩しくてつらい。


とりあえず、M-1出場選手の中で
最推しのダイタクさんだけ見ようと、
最終日の後半が公開されるのを待って、
ダイタクさんの回を開いた。

ダイタクさんの盤石の漫才。さすが。

流れで、次の素敵じゃないかさん。
先月のルミネのライブで見た漫才。
進化していてますます面白い。
そこまで見て、いったん消した。

元から漫才好き。
ダイタクさんの極上の漫才を見たのをきっかけに
ぽんぽんと応援しているコンビを見て回る。

ひとしきり楽しんでから、
ダイタクさんに戻ってもう一度。
ニヤニヤ見ている時に、
コメントが目に入った。

「物理選択だけ笑わせにきてる」

…え?
どれのこと?
…この、見たことのない3組目?

続けて見てみた。
…来 た!

漫才「相対性理論」

*M-1グランプリ3回戦の動画は公開が終了したので、
マセキ芸能社公式チャンネルより。
M-1の時とは異なる部分があります。ご了承ください↓

「専門用語を相手にわかりやすく説明するのって大事」
という入りから、

万有引力の法則

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を巡ってもめている。

Fを大きくしたいなら
どうして r を小さくする努力をしないのかとか、
m₁を増やす方が簡単だとか言ってる。

あぁ、気持ちいい!

その後も
「かっこつけていいだろう。
 かっこつけたところから先に計算するっていう
 ルールがあるんだから。」

「かけひきであまりは出ないだろう。
 あまりが出るのは割り算だ」

「次元が違うときは平行線じゃなくてねじれの位置」

たたみかけてくる岩永さんのボケがしみわたる。
欲しかったやつ、欲しかったやつ!

あぁ、たまらない。
久しぶりだ、嬉しくて体が震えるの。

探してた。
やっと会えた!

リップグリップ

急いで検索した「リップグリップ」。
マセキ芸能社7年目。(宣材写真↓)

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京都大学法学部卒と総合人間学部卒のコンビ。
文系だ。
物理を選択するタイプだったのかな。

5年前に藤本さんと共演もされている。


YouTubeには、
ご本人たちの公式チャンネルの他に
マセキ芸能社公式にもたくさん漫才が上がっている。

翌日、プレイリスト↓を作って何周もした。

どの漫才も、
うまいこと言って終わるのがおしゃれ。

中でも、
国家を擬人化し、野球部青春ドラマ風に近代史を表現した
漫才「日本史ドラマ」の最後、
「そして日本が、皆さんご存知のとおり、
 長い時間をかけてたどり着いたのが、
 キュウジョウであります。」
はシビレた。
京大らしさもあってかっこいい。


どの漫才も、気持ちいいフレーズ満載で好き。
敢えて一つ選ぶなら、
オーディションライブの漫才「弟が欲しい」。
小中学生で解いたような問題文が楽しい。


願いはひとつ

勉強ネタが大好きだ。

学生時代の問題集に出てくるようなフレーズを聞くと
たまらなく気持ちいい。
変わっていることは承知している。

プラス・マイナスの岩橋さんが
気持ちいいフレーズを叫ぶのがお好きで、
「墾田永年私財法!」とか「ヘミングウェイ!」とか
よく言われているけど、
あれに近いのだと思う。

「ウィトルウィウス的人体図」(『京大生の街コン』)
「メルカトル図法ではなくモルワイデ図法」(『日本史ドラマ』)
あたり、たまらない。
「部分分数分解」(『マッチングアプリ』)も。

学生時代、図録や便覧を読むのが大好きだった。
当時は自分がそうだとは気づかなかったけど、
数十年後にそのあたりの知識をつつかれると
たまらなく気持ちいい。


田畑藤本さんが解散されてからは、
お二人のかけあいそのものが見られなくなる
悲しみも強かったけれど、
勉強ネタの喪失感がエグかった。
誰か他にいないかと、
ネイビーズアフロさんやラフ次元さんなど
いろんなコンビの漫才をさまよってみたものの、
どストライクのものには出会えなくて
ずっと悶々としていた。

リップグリップさんは、正面から勉強ネタ。
思わず拝んだ。



妄想が膨らむ。
理系科目が得意な文系。
私は生物選択だったけど、
「理系科目が好きな文系」の部分は共通していて、
もしかしたら笑いのツボが近いかもしれない。

たばふじ漫才を彷彿とさせる理系ネタに加えて、
日本史とか古典とか現代文の漫才も
これから増えてきたら…。


若いリップグリップさんに期待してしまうことは
たくさんあるけれど、
願いはひとつ。

ずっと、お二人の漫才を見せてほしい。

万人受けはしないかもしれない。
勉強の話が出ただけで
楽しくなくなる人もいると思う。

でも逆に、
私がたばふじさんの漫才に出会った時に
長年の鬱憤が晴れて
毎日が急に楽しくなったのと同じように、
リップグリップさんの漫才を見て
元気が出る人たちがきっとたくさんいる。

だから、
ゆっくりでも良いので、
もちろん勉強ネタから逸れることがあっても
全然構わないので、
リップグリップさんが楽しいと感じるお笑いを
見せ続けてほしい。

ダイイングメッセージで
魚偏の漢字をたくさん書きたいとか、
わかりみが過ぎる。
でもそんなこと誰にも言えない。

私は、ストレスが溜まると
日栄社の300円くらいの問題集を買う衝動性がある。
夜中、問題を解きながら「ふぅ」とか言ってるのは、
自分でもちょっと引く。

そんな、誰にも言えない勉強好きが
リップグリップさんの新作漫才を待っている。


ー・    ー・・・    ・・    ーー・・    ーー・ー・    ・・

今年1月の無線音声放送(藤本さんのネットラジオ)を
思い出す。
「知識が多い人向けのお笑いが足りてない」
と語られる藤本さん。(1:29:06より)↓

本当にこの分野に関する枯渇感は強くて、
待ちこがれているけれど、
大衆的でないのも確かで、
田畑藤本さんの苦悩が沁みる。

私にとってしばらく止まっていた供給を
再開してくれたのは、リップグリップさんだ。

7年も活動して来られているのに、
これまで気づかなくて申し訳なかった。
リップグリップさんがこれから進んでいく道は
険しいかもしれないけれど、
静かに、慎ましく、推していきたい。

ダイタクさんのおかげで、
またひと組、素敵な漫才師に出会えた。
ダイタクさんの組にいてくれなかったら、
私がたまたまコメントを目にしなかったら
出会えてなかったかもしれないと思うと、震える。

この喜びが、
この先何十年も続きますように。

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