見出し画像

6年とか2年とか1年とか

ザ・ストレーンヘルメッツと出会ってだいたい1年経った。

去年の4月に対バンして、そこから企画に呼んでもらったり、話したりして、仲良くなったつもりでいたり、まだ緊張したり。

ストヘル(って言う略であってんだろうか)の曲はハードで、コアで、爽やかで、好きだ。
だけどそれに加えて、ストヘルの皆の人柄が俺は好きなんだ。

俺には弟と姉貴しかいなかったから、兄貴みたいな存在に憧れる。だからストヘルみたいな兄貴分が、同じバンド仲間としていてくれるのが本当に嬉しい。音楽オタクで機材オタクで、真面目で、曲が良くて、いいやつで、俺たちを笑ってくれて、褒めてくれる。そういうとこ。

そんなストヘルのドラマー、オガワさんが、出張で2、3年シンガポールに行くのだそうで、そのラストライブが7/6(土)新宿レッドクロスで行われた。

ザ・スライトリターンズ(俺のやってるバンド)の練習で上野のスタジオにいる時、ケイタさんから電話がかかってきて「オガワのラストライブに出ない?」って誘ってもらった時、嬉しかったけど、割と焦った。ラストライブの1週間前だったから。

だけど出ないなんて選択肢はなかった!

共演に抱きしめるズとリハビリたちがいて、俺たちが揃えば1年前のストヘル初の自主企画「シン・ヘルメットマン」と同じメンツでなんだかロマンチックだったし、なにより、俺はストヘルをすごく慕っているから。

誘ってもらったのが直前すぎて、ドラムのテンポは出れないことが決まってた。だからギムと2人で、歌ったり踊ったりすることにした。
オガワさんのラストライブでただ弾き語り、じゃ芸がないって、俺たちは言葉にしなくてもなんとなく思ったのかもしれない。

そして本番3日前くらいに、2曲だけオガワさんが叩いてくれることになった。全部が突然決まっていくから、本当にドキドキしかなかった。まじ1週間クソ疲れた!もちろんいい意味でね。


ライブの当日は夕方から豪雨だった。新宿もつんざくようなカミナリと雨で、靴も楽器もびしょびしょ。レッドクロスについた時にはもう、クタクタになってたし、先輩のバンドに囲まれてわりと緊張もしてた。

俺たちこの中でこれからおふざけやるのか、と思うとマジで緊張した。結果すげー楽しかったけど。

まぁ、俺たちのことはいいや。

俺たちがふざけたことをやって、みんなが盛り上げてくれた。

次のリハビリたちも、わりかしふざけたことを真剣にやってて、カッコよかった。夏目さんは会うたびに仲良く話してくれるけど、オレ家に帰ったら天使と人工衛星聴いて泣いてるし、I can't stop cowper juice聴いて感動してるから、全然毎回スターに会う気分。

3番手の抱きしめるズは、とにかく、とにかくカッコよかった。実は最近までちゃんと聴いたことがなくて、大河さんはレッドクロスの店長ってイメージしかなかった。だからあの日初めて抱きしめるズを全身で浴びた。あの機会にそれが経験できたのは、むしろよかったと思える。だってすっげーカッコよかったから。全身全霊のパフォーマンスに弱いんだーおれ。すごい感動した。あと、秘密かもしれないけど、ケイタさんがステージを見つめながら何度も目尻を拭っているのも見逃さなかったよ。
大河さんが「オガワくん、シンガポールになんか行くなよ!!」とでかい声で言ってくれたおかげで、俺の意見も、それにまとまった。やっぱり寂しいのであってるんだなと思った。

最後、ストーレンヘルメッツのライブは、いつもより重厚感があった。なんか、重いっていうか、それは俺が寂しいフィルターを過剰にかけて観ていたからかもしれないけど、とにかく、居ても立っても居られないような、寂しさというか、重苦しさを正直感じた。1年しか関わってない俺がこんなに寂しいんだから、6年も一緒にやった2人はもっと寂しいんじゃないかな。
会えなくなるわけじゃないけど、「会えなくなるわけじゃない」って、どう考えても今までより会えなくなるだろ。しょっちゅう集まってライブしたり、グッズ作ったり、ラーメン食ったり出来なくなるだろ、それが嫌なんだろ。
そんなことを考えながら見ていた。ストヘルの「とりあえず」最後のステージ。

アンコールは「End roll」だった

「もしかしたら君はすぐそこで
 いつまでも耳を澄ましていて
 まだ終わらない
 エンドロールみたいに
 流れていく」

って、いつもよりすごく切なかった。それに雨降りと別れの今日にはピッタリで、とにかく、胸に突き刺さって抜けないままでいる。

「別々の人生が、別々に進んでいく」
そんなこと、色んなところで毎日のように起こっている
とても当たり前のことなんだとは思う。
だけど今日だけ、今回の別れだけ、余計なくらいに寂しいのは、なんとも不思議だと思っていたけど、そりゃ、目の前の別れがとてつもなく寂しいのは当たり前のことだな。

別々の人生を、バンドで交差させるからよかったんだ。
楽しい遊び場で、深夜のスタジオで、憧れのステージで、楽器や曲を通して、別々の人生が交差して、絡まり合うのが、楽しくて仕方ないんだ。

その交差すら叶わないほど、遠くに行かないで欲しいんだ。

だけど、多分また僕たちの人生はどっかでぶつかると思う、飽き飽きするほど長いと聞いてます、人生。

マジで終電なんてなかったら、車で来てたら、朝まで残ってももっとおしゃべりしたかった。今でもそう思ってる。

オガワさん、また会う時は小麦色のコンガリでお願いします。

俺たちとりあえず、新宿でバンド続けます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?