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8/30〜 身体に住む生物たち

スマホを持つと液晶が光り始める。水晶玉みたく、魔法が手元にある。ロック画面には何も入れたくなくて、色や存在さえないものを設定したいけれど、この次元ではたぶん不可能だから仕方なく白、原色の白、限りなく無に近い色を入れている。まず時間、日付が目に入る。時間という社会的なものは、ずっと生に含まれ続け、こうして表示されることに便利さを感じるという反応をしている。指が動かないことを知る。パスワードを設定していない私はほんの少しのタッチでスマホのロックを解除することができるが、そこから先、開いた後何をするかが全くわからない。私はスマホを使い果たしたような感覚になった。気持ちが重たくなってとどってて、鯨のような形にデザインされ、項垂れる自分とは対比され、優雅に泳いでいる。最も力を注ぐものは、隠されて静かに時を待っていて、群群成長している。大きくなって跳ね返ることもなく、ただトンネル効果で、筒が部屋になって今いる場所をわからしてくれる。身体が変わって無反応に指を乗せるようになった時の言葉の隙間、裏側、豊潤さ。どんなものだろう。指が動く。ドアを閉める音に、威圧感を感じ、反応して波を落ち着ける鯨が鳴く。植物みたいな体毛、空を眺めている細胞。選択の機会が訪れて、いつからか育っていた苗。選ぶことはなく、淡々と生きる湯船に揺られ、今を生きるために未来を考え今に戻る繰り返し、鯨が生息、鯨の上で生態系がスパイラル、村みたくなっている。無反応になればなるほど、おおきくなるこの別の身体が私の指を動かす。無反応から始まる所作に、打ち震える魂。スマホのロックが外れる。意味なく、おならを出す。俺は強く生きている。白は最も無から遠く離れ、存在感を放っていた。

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