自動筆記15 臓器との荷揚げ
関節の間に風が通るのと、筋肉とか神経とか身体のこと、皿の上にある物を食べるだけの自意識に、ふわりと眉間にナイフを刺される。真水が降って大地に衝突して音、屋根がある部屋、音。理解と呼べるような理解はないけれど、そういうことか、と呟ける。全て知ってて、深い所から見て楽しんでることが、白い壁に指の腹を当てるとわかる。扉や橋、誰にも見えない空間に、自由に振る舞える表現に染まった身体がたっぷりあって、すごい。炊きたてのご飯の香り、になりたい。椅子が何億光年先まで並んでる光景に、七味を振る。肩甲骨を開いて、心臓を裏側から、たとえば摂理の中で最上の悦びが未来にあっても、何でもない今を優先する光が注がれる。縦に輪をかけられて、股と頭を引き寄せるように締め付けられて、あまりにも理不尽だから、怒って後頭部をかくって上に押し上げる。空が見える。筋肉痛が愛しく、回復が優しい。流れも方向も印象もない川で、前に泳ぐ魚。あるのは、ヒレと記憶だけ。目を閉じた肉体の中を、ぐんぐん泳ぐ。主人が寝ている時、私は泳いでいる。主人が泳いでいる時、私も泳いでいる。細胞一つ一つが感覚器官で臓器な世界、何気なく生えた草が神。動悸、神。
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