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11/4 自我の巡回超え

身体に埋め込まれた星々みたいな太ももの柔らかさが、酸素に思えていたような些細な針に気づき、観察していた。そのありがたさは、さらなる気づきを生み、バレエの踊りのような趣き側にもスパイラルがあるらしかった。しんとした夜道に、脈動のように通り過ぎる車音。光の点と点を繋ぐ意識は線となり、縛り付けるように重なり合いながら、視界をミイラのように覆い、何もかも青信号で満たされた。閉ざされているからこその広がりは、自分が腕を持ち上げペンを持つ隙間がないままに流れていて、何を描こうかなんて待ってくれない。七次元の映像に四次元の彫刻を彫るように、所作だけではなく速さまで丁寧さを求められていた。目をつぶれば足元には生き物の禍々しさを凝縮したような黒が深海のように広がり、その上で朧げな軸が身体に鋭く重なってゆくのを実感しながら、獣よりも獣な心で、立っている。雨のように隙間をなぞりたくなる造形が上から下へ流れるように引力が働き、その意向に合わせて舞うように身体を委ねた。皮膚にこびりついた使い古された意図が、水彩絵具のように垂れ落ち、骨と骨の隙間や噛み合いが純文学のように洗練された選択だった。抵抗するものがなくなるにつれて、身体が大きく立体的な川のような流れを薄い輪郭で区切ったもののように感じられ、その区切りさえ見えなくなったりした。木のように地面から生え、風に揺れていた。鳥がそばに来たことを喜ぶように、通り過ぎる全てが抱きしめて頬擦りしたくなるほどに、ありがたかった。乱れは、安定を際立たせるように生まれて、席替えのように古くて美しいものを引き連れて旅立ってゆく。現実、というものを現実では無いもので、どうやって表現しようか、という気になった。

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