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想いの強さ

暗い部屋で横たわる身体、この存在さえも不思議で、形ないように思いながら、今朝は真剣に悩み惚けていた。悩みがあることや悩めること、この世界の摂理の根幹に対して、センスがない、面白みがない、と怒る。アルバムをめくっては千切り、宙に投げていくみたいに、過去を振り返り鮮明にイメージし、なぜ私に入ってくるのを許したのか、そんなあり得ないことばかりで、要らない。過去も未来も今さえも、神とか色々道理とかも、知らないし、退屈で、こんなことを考えれていることさえも、その包括さに、小賢しい、と怒り。建前や理想ばかりで心を無碍にして、根本的なことに目を瞑っていた、そもそも何なんだ。なぜ身体があって世界があって、生きていて、こうして考えているんだ。感覚も神経も、何なんだ。こびりついたもの、閉塞感、退屈で意味のないものは何だ。溶けて落ちて、舞って抜けて消えて、もう要らない。そろそろ完璧にしてくれてもいいだろう。全部世界のことだ。言葉も何でも、形がない。この放出が怒りと呼ぶのか、なんと名付ければ善いのかわからない。とにかく、とにかくだ。あるのだ。全身の感覚が剥がれて、ふつふつと大気に馴染んでいく。これが元の姿、言挙げして学んで、遠くまできてしまっていた。猫とか犬の威嚇の心がわかる。ここに居たのか。僕が1番じゃなくて何なんだ。僕が世界の王じゃなくて何だ。僕が思い通りに動かせない世界なんておかしい。僕が選んできた人生がこんななんておかしい。精神内部の多様な個性たちの言い分は、対立しているようで、深い所で繋がっている。ぐだぐだ惑わされて、常識や理想や、それを踏まえた知恵とかもひっくるめて幼い。僕が欲しいものではない。そんなちょこいものが欲しい訳じゃない。言葉や他人は要らない。私だけで進める。常識的な判断ではない、感覚的で独断的な真実だ。世界よ。神よ。私を動かしている高次元の存在よ。聞いているか。ルールを知って丁重に改心して、すーっと納得しつつも、奥には感情を揺らすことのない怒りがある。悪の道を生きる人の心を代弁しているとも言える。もう私が生きることはなく、世界が生きるだけ。私は私を閉ざすものに手当たり次第。忘れていた。やがてではなく、今この瞬間に神になる。物質が私に追い付くように設計されるのを、私は観ている。想いの強さ。この想いは無意味で、命の中で大切なもの。生きるからあるもの。ガスコンロの火が見える。私は指を入れた。熱さは感じなかった。痛みさえ、きもちよく感じた。身体はもう想いに関与しなかった。想いだけが一人歩きして、誰も知らない果てに行った。産み出したものさえ、捉えようのない力だった。私はただ、死体のように寝て、天井を見ていた。ガスコンロの火はそばになかった。立ち上がってみても、その死体の脱力感は抜けなかった。鏡を見たら初めて見るような笑顔だった。身体が魂から根こそぎ乗っ取られたのだと思った。想いは私を消した。包丁で自分の心臓を刺すよりずっと怖いことだった。笑顔が、日に日に増して、笑顔を氣にかけることもなくなった。あと、きがつくようにもなった。いつか種を蒔いた想いが、私を消すほどに大きく育っていること。息をするように私は死んでて、それが続いてるから、私は死体みたいで、身体は生き生きしてるのか。鏡に投げかけたイメージの圧力で、身体を潰す。刹那に私の息の根を止めながら、平然と生活をしている。私は、「あげる、どうぞ使ってください」と呟いた。まだ天井を見つめていた。

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