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9/7〜AVに頼らない射精

この身体が得意になることがある。電車の窓に映るシルエットは絵に描いたような女の子で、チェック柄の短いスカートを履き、半袖なカッターシャツ、ローファーと長いとも短いとも言えない白靴下。電車が揺れ、咄嗟に吊革を掴むその華奢さ、あどけなさに、守りたいと思わされる。身体はやっぱり私の所有物ではない。私はこの身体をずっと愛していきたい。トンネルを抜け、電線と街並みが凄い勢いで流れていく。引き伸ばされながら存在を失いつつ、私の記憶に居場所を求めてやってくる。私は知らないふりをして騙される。窓から広がる景色の広さが拙く、何か大切なものを隠してる風に感じ、目線を下に晒すと、清潔で滑らかな足が地面から私に向かって伸びていて、靴下との境目がわからないほどに白く、車外からの光も纏って美し、写真を撮るように何度も瞬きした。つんと、顔を上げ一度冷静に考えるふりをし、地面にしっかりと根を張った木の誇らしさと似た感情が、物置を作っている光を蓄えた鉄に住み入る。目、二重瞼の三白眼、まつげが自然なままに伸び伸びと生活しているのが長さから伺え、赤い内眼角の瑞々しさは、浮かんだり沈んだり、潮の満ち引きのようなリズムが。心にはキラキラした、ラメみたいなものが、地平線まで田んぼで耕されてるみたいに増え続けていて、窓の外よりずっと広く、輝いていた。心に隙間ができ、その隙間を空けたままにしておくことがセンスだとも思ったりした。もう一度見下ろす、今度はより俯瞰して見て、お腹から胸のラインが足と調和していて、身体全体が生々しい足のように思えた。たしかめるようにスカートを気遣いながら一度しゃがみ、膝を噛む。歯形がつく。電車の揺れが濃くなり、普段の電車とは違う空気が流れる。肩のこの弱々しさ、胸があるという感覚が無性にいやらしくなる。私は立ち上がり、早歩きで家に帰ってオナニーした。

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